❖改めて介護事業所の生産性向上とは⁈
2021.02.19 |投稿者:神内秀之介
生産性の向上とか業務改善というと、トヨタ式の「KAIZEN」なんて言葉に代表されるように一般的には、普段の取り組んでいる業務のやり方を工夫することで、現状のまさに今行っている業務から「ムリ」「ムダ」「ムラ」の「3M」を無くし、現状の業務をより安全に、より正確に、より効率的に行うことや、様々な負担を軽減することなどを目的として取り組む活動のことを指します。
生産性は、一般的にOutput(成果)/Input(単位投入量) の分数で表しますが、実際の生産性を向上させるためには、「Input」(単位投入量)と「Output」(成果)の間にある過程「Process」に着目して、その過程のについて所謂(いわゆる)「改善」に取り組むことの重要性が指摘されています。
単純に一つの成果を生み出すために投入する費用(コスト)を少なくするというよりは、その費用(コスト)の中に、時間や人的手間などの経営リソース(ヒト・カネ・モノ・トキ・シラセ)を含めてその投入過程を如何(いかに)に改善するかを重要視します。
ただし介護・福祉の場合、一般の工場の生産ラインなど改善の視点や方法をそのまま同じ方程式に当てはめ取り入れることはできません。そこで、介護福祉業界に関する業務改善の進め方について改めて検討が必要となります。
とは言っても一からその考え方や方法を検討する必要はありません。ご存知の方もたくさんいらっしゃるでしょうがすでに厚生労働省のホームページに介護業界の生産性向上(業務改善)のガイドラインなどが公開されています。(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00013.html)
このガイドラインなどが作成された経緯ですが、今となってはもう課題とさえ言えず、現象になっていますが、少子高齢化が加速する中で、生産人口が激減し、労働集約型の介護業界の産業化と生産性向上が急務であることから、すでに「経済財政運営と改革の基本方針2017」(平成 29年6月9日閣議決定)において「実際に生産性向上に取り組む地域の中小企業、サービス業に対する支援を図る」、という方針が介護事業所における生産性向上についてということで示されていたことを受けて。
その後、平成30年・令和元年とサービス種別毎にICT化・介護ロボットの活用による業務の効率化、業務プロセス・作成、文書の見直し等の調査研究を実施することで、介護事業者が組織的に生産性向上に取り組みやすくするためのガイドラインが作成され公開されました。
公開された当初はそれなりに一時的に話題となりましたが、残念ながら業界をあげて盛り上がったというほどではなく、今日に至っています。A I・I C Tソリューションの導入が加速していない現状からすると火を見るよりも明らかだと思います。ただ、皮肉にも今回の新型コロナウイルス禍において再度見直されているのではないかと思われます。