初めて介護事業所管理者になった人が知っておきたい10のポイント⑤
2021.02.14 |投稿者:神内秀之介
【ポイント5】
ミドルマネジャーが自分の責任や役割、思いを明確にしているか。
ミドルマネジャーは、施設事業所の経営・管理において、自ら意欲的に理念や基本方針等を踏まえた各計画を実践し、質の高い福祉サービスの実現の役割と責任を果たすことが求められます。
ミドルマネジャーが、施設事業所をリードする立場として、スタッフに対して自らの役割と責任を明らかにすることは、スタッフの信頼関係を築くために欠かすことができない第一段階です。スタッフとの信頼関係が構築されなければ、質の高いサービスの提供や、効果的な経営管理は到底望めません。
施設事業所の事業運営における責任者として、自らの役割と責任を含む職務分掌等について、文書化するとともに、ミーティングや会議、研修において自ら口頭で表明しスタッフに周知が図られていることが必要です。
その際、平常時のみならず、有事(事故や災害時等)におけるミドルマネジャーの役割と責任について及び不在時の権限委任等を含め明確化しているとともにスタッフと共通理解をしていることを相互に認識していることも重要です。
また、昨今介護福祉サービスを提供する施設事業所として、法令等を遵守したコンプライアンス(法令遵守)経営の徹底が強く求められています。事業運営に関係する社会福祉関係法令はもとより、各専門職種の倫理規程や事業所の内規、さらには、社会一般のルールや時には社会的な倫理や道徳のようなものを含むこともあります。
ミドルマネジャーは、自らがそれらの法令や倫理を正しく理解し遵守することによって、施設事業所全体をリードしていく責務と役割を負っています。そのため、遵守すべき法令等を十分に理解し、スタッフ、利用者や家族、ステークホルダー(関係機関・利害関係者)や地域との適正な関係を保持することが求められます。
また、施設事業所において法令違反が発生しないように、法令遵守の体制づくり、教育・研修等を実施し、スタッフに対して遵守すべき法令等を周知し、遵守するための具体的な取組を行うことが求められます。
そのためには、具体的にコンプライアンス(法令遵守)規程の策定、担当者・担当部署の設置、公益通報相談窓口の設置等、倫理や法令遵守の徹底に向けた規程の整備や体制の構築などが求められます。
さらには、事業所として質の高いサービス提供を継続していくために、経営状況やコストバランスの分析に基づいて、経営や業務の効果を高めるとともに、その効果をさらなる改善に向けていかなくてはいけません。人事、労務、財務等、それぞれの視点から常に検証を行い、経営や単純なコスト削減ではない効果的な業務の実現を目指す改善に向けた具体的な取組が必要となってきます。
ミドルマネジャーは、施設事業所の将来性や継続性や経営資源の有効活用という基本的な課題を常に視野に入れて組織を運営していくことに対し、リーダーシップを発揮することが求められます。