初めて介護事業所管理者になった人が知っておきたい10のポイント⑩


2021.03.21 |投稿者:神内秀之介

【ポイント10

提供サービスの質を担保する仕組みができているか。

 事業所において提供されるサービスは、利用者の特性や必要とするニーズ等に応じて柔軟に行われるべきものであり、概ね全体的に標準化できるサービス(支援)内容と、個別的に利用者一人ひとりの特性等に合わせ提供提供(支援)されるべき内容の組合せとなっています。

 標準化とは、画一化とは異なります。提供サービスをスタッフ誰もが必ず行わなくてはならない基本となる部分を共通化することであって、個別的なサービス提供と相補的な関係にあるものです。すべての利用者に対する画一的なサービス提供を目的としたマニュアル化ではありません。

 事業所における利用者の特性等を踏まえた標準的な実施方法等を定め、スタッフの違い等による提供サービスの水準や内容の差異を極力なくし一定の水準、内容を常に実現することを目指すものです。標準的な実施方法を定め、一定の水準、内容を保ったうえで、それぞれの利用者の個別性に着目した対応を行うことが重要となります。

 具体的には標準的な実施方法が、文書化され、スタッフに十分理解されていることが不可欠です。標準的な実施方法には、基本的な相談・援助技術に関するものだけでなく、提供サービス時の留意点や利用者のプライバシーへの配慮、設備等の事業所の環境に応じた業務手順等も含まれ、提供するサービス全般にわたって定められていることが必要となります。

 また、標準的な実施方法に基づいて実施されていることを事業所としてチェックするための仕組みを整備し、標準的な実施方法にあわないサービス提供がされている場合の対処方法についてもあらかじめ定めておくことが重要です。

 さらに、利用者が必要とするサービス内容の変化や新たな知識・技術等の導入を踏まえ、定期的に現状を検証し、必要な見直しを行うことが必要となります。そのためには事業所として検証や見直しの方法や仕組みをあらかじめ定め、これのもとに継続的に実施されることが、提供サービスの質の向上にとって不可欠です。

 全利用者を対象とした標準的なサービス提供の質が担保されているとともに、個別の利用者の特性や状態、必要な支援等の内容に応じたサービス提供において、個別の利用者ニーズ等の適切なアセスメントにもとづく「個別支援計画」、利用者一人ひとりについてニーズと具体的なサービス内容等が記載された個別計画の策定が必要となります(事業によっては、計画書の名称が様々です)。

 具体的には、サービス計画策定の責任者を設置・明確化するとともに、アセスメントから計画の作成、実施、評価・見直しに至るプロセスをあらかじめ定める必要があります。利用者一人ひとりに対する提供サービスの質の向上を継続的に実施するためには、策定した個別支援計画について、PDCAのサイクルを継続して実施することによって、恒常的な取組にしていかなければなりません。

 計画の評価・見直しに関する組織として決定された手順が定められ、実施されている必要があります。評価・見直しを行う時期の設定や記録の方法、実施計画変更の手順と関係職員への周知の方法等が明示されていることが必要です。


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