初めて介護事業所管理者になった人が知っておきたい10のポイント⑨


2021.03.15 |投稿者:神内秀之介

ポイント9】

利用者主体のサービスを展開しているか。

 いうまでもありませんが、事業所がサービスを提供するさいに、利用者の意向を尊重すること、さらに、利用者のQOL・自律(立)向上を目指すことは当然の前提となります。そのために事業所において組織内で共通の理解をもつための取組として、倫理綱領の策定等、利用者尊重や基本的人権への配慮に関する組織内の勉強会・研修や、実施する福祉サービスの標準的な実施方法への反映、身体拘束や虐待防止についての周知徹底等を行うことが必要となります。

 また、利用者のプライバシー保護については利用者尊重の基本であり、たとえば、利用者が他人から見られたり知られたりすることを拒否する権利が保護されなければなりません。利用者からの信頼を得るためにも、プライバシー保護に関する具体的な取組が求められます。

 例えば、プライバシー保護と権利擁護に関する取組が、規程・マニュアル等にもとづき実施されていることや、事業所において、万が一プライバシー保護や権利擁護に関わる不適切な事案が生じた場合を想定し、その対応方法等をあらかじめ明確にしておくことが重要です。

 また、介護保険や障害者総合支援法のサービスでは、利用開始にあたり、利用契約が必要となっています。サービス内容や料金等が具体的に記載された重要事項説明書や契約書・パンフレット等の資料を作成するとともに、事業所と利用者の権利義務関係を明確にし、利用者の権利を守ると同時に、事業所にとっても不必要なトラブルを回避することを想定するこが必要です。

 各種モデル契約書の内容やガイドラインや法令・基準等に照らして、適切な重要事項説明書・契約書を整備することが求められています。また、契約の際には必要に応じて成年後見制度や日常生活自立支援事業の活用等を支援するなど、利用者の権利擁護に努めていることも重要です。

 利用者本位のサービスは、事業所が一方的に判断できるものではなく、利用者がどれだけ満足しているかという双方向性の観点が必要です。提供サービスにおいて、専門的な相談・支援が適切に提供される一方、利用者満足を定期的に調査・把握し、これを提供サービスの質の向上に結びつける具体的取組が重要です。具体的な取り組みとしては、アンケートの実施や意見箱の設置、ご利用者窓口の設置などがあります。

 提供する福祉サービスの質を高めるためには、事業所としてあらかじめ定められたルールにしたがって、継続した取組を進める必要があります。日常的に随時出される個々の意見や要望等に対応することも必要ですが、事業所として定期的に調査結果を分析・検討する担当者や担当部署の設置し、定期的な検討会議開催等の仕組みを構築し機能せることで、スタッフの利用者満足に対する意識を向上させ、事業所全体が共通の問題意識のもとに改善への取組を行うことができるようになります。

 利用者からの意見や要望、提案等はたまた苦情解決への対応についても具体的な仕組みをあらかじめ確立することが重要であり、そのために対応マニュアル等の策定が必須です。対応マニュアル等においては、利用者からの苦情や意見・要望、提案等にもとづく提供サービスの質の向上に関する姿勢をはじめ、苦情や意見・要望、提案等を受けた後の手順、具体的な検討・対応方法、記録方法、利用者への経過と結果の説明、公表の方法等がその内容別に具体的に明確化されていることが重要です。

 またこの取り組みが効果的に実施できるためにもマニュアル等については、適宜見直しを行うことが必要となります。また、利用者の自律(立)支援や権利の尊重では、事故の防止にも配慮しなければなりません。さらに、生命と健康を守るためには、感染症の予防と感染症発生時の適切な対応は非常に重要な取組となります。

 事故や感染症対策については、その取り組みの如何によっては、事業所への信頼問題や収益に直接的にダメージを与えます。事故や感染症の予防・対応についてはマニュアル等を整備したうえで、事業所内の対応体制をあらかじめ確立し日々実施していくことが重要です。

 具体的には、①責任を明確にした安全確保のための体制の確立(緊急時の対応体制を含む)、②担当者・担当部署の設置、③定期的な検討の場の設置、④事故及び感染症予防策等の定期的な評価・見直しの実施等が必要です。

 さらに利用者の安全を確保するためには、提供サービス上の事故リスクや感染症対策のみならず、災害時における安全確保のための対策を講じる必要もあります。そのため事業所において、災害時の対応体制(災害時の職員体制、災害時の避難先、避難方法、ルートの確認等)をあらかじめ定めておくことも必要です。
事業所においては、災害時においても、利用者の安全を確保するとともに提供サービスを継続することが求められます。最近よく言われている「事業(福祉サービス)の継続」の観点から、災害等に備えた備蓄リストの作成や資源の確保等事前準備・事前対策、BCPの策定などを講じることが必要となります。


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