初めて介護事業所管理者になった人が知っておきたい10のポイント おわりに


2021.03.28 |投稿者:神内秀之介

これまで、ミドルマネジャーとして活躍するための10のポイント(視点)について学んできました。ミドルマネジャーにはどのような役割が求められているのかを改めて振り返ると次のようなことが言えます。

ミドルマネジャーとは、平たく言えば、「複数の複雑な事柄対し的確に対処していくこと」です。実際的にはスタッフを監督し、組織目標の達成に向けて責任をもつ存在です。ただし、現状ではさまざまな現場の役割をこなしていくことが求められ、その内容は多岐にわたります。

そこで終わりに次の①情報関係・②業務遂行関係・③対人関係・④コンプライアンス関係という4つの視点から整理してみました。

第1は、「情報に関するもの」です。絶えず事業所内外の情報を収集し、事業所をとりまく状況を分析するとともに、直面する課題や機会を明確にしながら、必要な情報を経営トップに迅速かつ的確に伝達し、上司や部下との間で共有することは、経営環境の変化のスピードが早い昨今において極めて重要な役割です。

また、経営トップが示す目標や経営方針、メッセージを自分なりに理解し咀嚼し、自分の言葉としてスタッフにしっかりと伝えて、現場に浸透させ、チームが進むべき方向を指し示す、いわゆる「つなぎ」としての役割を果たすことも重要な基本的役割です。

さらに、経営のグローバル化(多角化)やグループ経営が進展していることから、自事業所外も含めたグループ企業や関係部署との折衝・情報共有、社外の取引先や利用者からの要請への対応も、ミドルマネジャーに求められる大切な役割の一つです。

第2は、「業務の遂行」に関するものであり、大きく分けて、①日常業務の管理や組織が直面する課題を解決するもの、②新規事業やプロジェクトの推進、イノベーションの創出、③経営のグローバル化などへの対応に関するものがあります。日常業務の管理や組織が直面する課題の解決にあたっては、業務遂行と課題解決のためのPDCAサイクルを着実に回すことが求められます。

具体的には、自らの部署の目標設定や課題解決に向けた戦略・方針の策定、スタッフへの指示と監督、業務の進捗状況や達成状況の確認、業務効率化の推進、必要に応じた作業方法の見直しなどが挙げられます。これらがしっかりと実践できなければ、他のどの役割に長けていたとしても、管理者として高い評価を受けることはできないと言っても過言ではありません。

また、高齢化や少子化による消費市場の成熟化や縮小などを踏まえ、消費者のニーズを的確に捉えたサービスの提供や潜在的なニーズの掘り起こし、既存の事業に捉われない新規事業・プロジェクトの企画立案といった、現場発のイノベーティブな提案を経営トップはミドルマネジャーに期待しています。  

第3は、「対人関係」です。わが国の社会保障分野の源泉は「ヒト=人財」であるといわれるように、組織の継続性から考えた場合、スタッフの指導・育成と働きやすい職場環境づくりは、ミドルマネジャーの最も重要な役割です。

具体的には、スタッフ一人ひとりの性格や長所・短所を踏まえた指導・育成、仕事に対する動機づけ、職員同士が積極的に協働するような職場づくりなどが求められます。また、世代間や個人的な価値観、意識、認識のギャップなどから生じる人間関係上のトラブルは、メンタルヘルス不全やパワーハラスメントや各種ハラスメントを招く要因にもなり、職場に与える影響も大きいことから、人間関係上のトラブルの早期発見と早期解決も重要な役割です。

さらに、委託業者をはじめとする社外の関係者(ステークスホルダー)との連携強化や人脈づくりなども、ミドルマネジャーが率先して果たしていくべき役割です。

第4は、「コンプライアンス関係」です。個人情報保護法への対応や、内部統制(規範)、機密情報の漏えい対策、適切な労働時間管理、労働関連法規の遵守、メンタルヘルス対策などは、総務部や人事部などの専門担当部署が主体となって組織的に対応することとあわせて、現場を管理するミドルマネジャーも広くその責任を負っています。もしそのような専門担当部署がなければ、主体的にとりくまなければなりません。

コンプライアンス違反は事業所の存続そのものを揺るがす重大問題にも発展しかねないことから、ミドルマネジャーには職場を管理する者として、正確で丁寧な対応が求められます。日頃から業務に関係する法律の動向や実務上の留意点などについて学び、法制度の改正などが行なわれた際には、迅速に対応できるよう準備をしておくことも重要な役割です。

ミドルマネジャーとして取り組まなければならいないことは多岐にわたり、それも日常の業務を継続しながら修得していかなければならいので、人一倍大変かと思います。しかし、みなさんが変わらなければ、事業所はいつまでたっても変わりません。

一度にすべてのことが出来なくても、何か一つでも出来るようになるように実践し、かつ継続することによって不思議と他の視点も自然と培われていきます。また、それによってスタッフ・事業所も変わっていくことになります。

是非一つのことからでも、あなた自身が熱意をもってコツコツと取り組んでみてください。


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