初めて介護事業所管理者になった人が知っておきたい10のポイント⑧


2021.03.07 |投稿者:神内秀之介

ポイント8】

地域との関係が良好か。

 今後、2040年の地域共生型社会へ到達するためには、まずは2025年・2035年までには、地域包括ケアシステムの構築が必要だとされています。地域包括ケアシステムの中では、利用者が住み慣れた地域の中で、さまざまな住まい・住まい方が自助・互助・共助・公助の中で実践されることが提案されています。

 事業所からの支援によって、利用者の活動範囲を広げ、QOLを高めるための大切なプロセスとして、地域の人々と交流をもち良好な関係を築き、利用者の地域活動への参加を推奨し、利用者が参加しやすくなるための体制整備を行うことが必要となります。

 利用者と地域の人々の交流を促進するということは、地域と事業所の相互交流を促進することになります。事業所が、地域社会の一員として受け入れられるためにも、利用者の地域への参加は大切な視点です。

 また参加だけではなく、受け入れ姿勢も重要です。事業所の特性や地域の実情等に合わせて、ボランティアの受入や学習等への協力を検討・実施することが必要です。地域の人々や学校等におけるボランティア活動は、地域社会と事業所をつなぐツールとして活用できます。

 事業所は、社会福祉に関する知識と専門性を有する地域の社会資源として、地域の学校教育施設や体験教室の学習等への協力がその役割の一つとして考えられます。実際に、様々なボランティアの受入や学習等への協力等を実施するためには、事業所側の姿勢や受入れ方針や体制が明確になっていないと、思いがけないトラブルや事故を誘引する場合もあります。特に利用者と直接接する場面では、十分な準備が必要です。

 また、地域社会において役割を果たしていくためには、関係機関・団体とのネットワーづくりが必要不可欠となります。実際的には、関係機関・団体等の参画のもとで定期的にケース検討会を開催している、地域の定期的な連絡協議会に参加している、地域内の他組織と定期的に連絡会を開催している、などが挙げられます。

 さらに、最近では事業所が、災害時に福祉避難所として指定されている場合や避難所となる場合も想定されているため、日頃から災害時に行政や地域との連携・協力に関する事項を決定・確認しておくことが必要となります。事業所がその機能を活かし、災害時にどのような役割を果たすかについて、自治体や地域住民とあらかじめ定めておくことも必要となっていきます。

 今後地域包括ケアシステムの中で、事業所がその位置する地域において、介護福祉に関する知識と専門性とともにサービスを提供するという公益性を有する組織として、地域社会における役割や機能を発揮するため、また、新たなビジネスチャンスを発掘するために、地域の具体的な福祉ニーズを把握するための取組を積極的に行うことが必要となります。

 地域住民からの意見や要望を把握するために、例えば相談事業を活発化させる。地域交流のイベント時にアンケートを実施する、など積極的に働きかけることが重要です。日常的な介護福祉サービスの実施を通じて、当該提供サービスでは対応できない地域や利用者等のニーズを把握することが重要です。

 把握した福祉ニーズにもとづき、これらの地域課題等を解決・改善するために事業所の公益的な事業・活動を行うことが必要となってきます。特に、社会福祉法人については、既存制度では対応しきれない生活困窮問題等の支援など、地域社会での貢献活動を主体的、積極的に進めていくことが今後より求められます。事業所が、地域住民の主体的な活動を促進・支援するために、その有する機能をもって地域の生活課題・福祉課題を解決・緩和する活動・事業に対しリーダーシップを発揮することが重要となってきます。


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