❖AI×ICT×介護の未来・・・本音はいかに【最終回】


2022.01.11 |投稿者:神内秀之介

 今回はこの連載の全体的な振りかえりと、せっかくですので私個人が今回の連載タイトルについて考えている本音について少しお伝えできればと思います。

 初めにこの連載をスタートする頃には、なぜ故に介護・福祉現場にA I・I C T導入が進まないのかの理由について執筆しなくてはと思い、最低限早く理解してもらいたい言葉として、今ではすでにみなさんの耳馴染みになってきた「I T・I C T・I O T・A I・Society 5.0(ソサエティ5.0)・D X(デジタルトランスフォーメーション)・5G・クラウド・ビックデータ・VR・A R・介護現場革新会議・生産性向上ガイドライン」などのキーワードについてお伝えしました。

 まずは、覚えてもらう、慣れてもらうことが必要だと思い、少しとっつきにくい感じでしたが、やはり基本やその専門用語から理解しないと先へ進めないと思い、特に大切な言葉は、何度も繰り返しお伝えしてきました。

 最近では施設や事業所へお伺いすると、お会いした方から、前出の単語がスルッと出てきて、随分浸透してきたんだと嬉しく思っています。

 今となっては、図らずも新型コロナウイルスの流行も相まって、言葉の理解も必要性や導入のスピードも当初より加速したように感じています。その上で、介護・福祉業界にI C T等活用が導入されない考え方(思考・視点)として、導入費用面もさることながら、「共通言語がない」、「事業規模が小さい」、「I C Tリテラシーが低い」、「現場の業務が、煩雑」、「現場の価値観が人的サービス至上主義」などの現状について、把握し共通理解をいただけるようお伝えしてきました。

 こちらについても、再認識や新たに理解してくださる施設や事業所が増え、私の方にも色々と問い合わせも増えいていることから、理解の広がりと感じています。

 その後からの連載は、前向きに導入・共存を検討していただけるように失敗しないための補助金や助成金、好事例や先行事例、先進アイテムやソリューションの紹介など様々な情報提供をさせていただきました。またその時々の時事ネタなんかも好き勝手にお伝えさせていただきました。

 私個人としては、これまでこれだけ様々なことをお伝えしてきたにも関わらず、実は、積極的にどんどん推進していかなくてはならない、いけないと言うよりも、正直仕方がないという感覚が大きいです。

 冷静に考え今現在、人員・人材で困っているということは、すでにこれまでの取り組みが、何らかの理由で十分でない、またはうまくいっていなかった、継続できなかったということで、トップや経営層、また現場も含めて、そういう組織・会社だったという結果で、これを今後、その何らかの理由を改善し新たに取り組もうと思っても、そこに費やす時間と費用とそして具体的なアイデア発案・戦略・実行にそれなりにかかってしまうので、A I・I C Tソリューションの導入しょうがなしというのが正直な感覚です。

 しかし、今後少子高齢化のスピードは更に加速し生産年齢は激減し、頼りの綱だった外国人介護労働者や様々なアクティブシニアや障がい者雇用などの参画が、新型コロナウイルスの騒ぎで減速してしまいました。

 今後は、緩やかに回復してくるとは思いますが期待するスピードで回復するかは不明です。介護人材不足がもっと全体に顕在化するまでに時間的猶予はないと思います。

 そうなった場合、結局今いるスタッフや関係者のスケーラブルが基本路線になります。とは言っても、これまでの視点や考え方、延長線では解決しません。課題を解決するためには、小さくても良いのでイノベーションが必要で、イノベーションを起こすためには、新たな機軸が必要となってきます。

 そこで活用していただきたいのが、A I・I C Tなどのソリューションなのだと思います。

 けれども、そのまま活用することは、全くお勧めいたしません。A I・I C Tソルーションは、この連載で何度もお伝えしていますが、道具(ツール)に過ぎません。使い方次第では、全くの不利益になることもありますし、高価で導入したのは良いが、全く活用や使用をしていない、出来ていない場合も多いからです。

 道具(ツール)の導入にあたっては、介護現場の生産性向上ガイドラインに示されているように、まずは自分たちの現在の現状分析・課題の抽出が大切です。さらに欲張るなら近未来の課題までも見通す必要があります。

 そこまでを最低限しっかりと、組織の一番上から一番下まで協力のうえ把握し全体像全てを共通理解した上で、ではどうやって、それくらいのタイムスジュールで解決するか決めることが大切だと思います。

 またもう一つ私個人がA I・I C Tソリューション導入について考えているところは、あくまでもスタッフ一人一人が成長するまで、組織の育成体制などが整備されるまでの時間稼ぎと、法人・組織としてのビジョンの確立(ケア品質の追求)や、考え方を整理する道具(ツール)として有用だと考えています。

 私たちの仕事・業務が最近ではエッセンシャルワークと評されているように、あまりにもヒューマンタッチで、感情ワークなのでいつの間にか、これまで仕事・業務の考え方・進め方・向き合い方まで、整理整頓・理路整然とされることなく、あまりにも手作りだったのだと思います。いわゆるマネジメントや共通文化のない世界だったのだと思います。

 そう言った意味で、すでに整理整頓されスマートな考え方方法で、A I・I C Tソリューションで取り入れられているアルゴリズムや設計や構造を参考にしても良いのかと思っています。

 究極、ソリューションよりもその製品が作られたプロセスや機能の構成などを参考にするだけで、相当役に立つものだと考えています。

 利用者や入居者の自立や気持ちの高揚には、人と人の熱交換が必要だと考えています。なので、究極のエンターテイメント・サービス業の介護・福祉業界が、これからも人々の手と手で、高品質な介護・福祉サービスの提供を実現するためにも、間接業務や事務作業などは、もう少し一般産業並みのマネジメントや業務改善、スリム化や効率化が最低限必要だと思っています。

 そのためのA I・I C T・デジタル化は、使いようだと思っています。

 人材というか、人員すなわち頭数の問題は避けられません。介護・福祉業界に限らず生産人口が激減するのは待ったなしです。個別に見ると施設・事業所によっては、うまくいっている、これからもうまくけるところもあると思います。

 しかし、地域を全体的に見るとうまくいくところがあるということは、同じ地域ではうまくいかないところでは、かなりの人員不足が想定されるわけで、地域全体の偏りが生まれます。施設・事業所間でのある程度の競争は必要かと思いますが、競争が過ぎると利用者や入居者の不利益につながります。

 どんな小さな施設や事業所でも業界全体の下支えができるような、提供サービスの標準化や均質化が必要になってきます。この連載の初めにお伝えしたD X(デジタルトランスフォーメーション)までは行わなくても、C X(完全に造語ですが、ケアのトランスフォーメーション)は必要になってくると思います。

 いきなりのイノベーションはできません。まずは小さな改善からでも準備が必要かと思います。是非業界全体で、他産業に負けない体質に変わっていけたらと思います。


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