❖ここまで進んでいるI C T活用と業務改善・・・前編


2022.01.04 |投稿者:神内秀之介

 この話は昨年の介護新聞の内容なので時が少し戻されますが、2021年度介護報酬改定の主要テーマは、これまで(1)地域包括ケアシステムの推進、(2)自立支援・重度化防止の推進、(3)介護人材の確保・介護現場の革新、(4)制度の安定性・持続可能性の確保の4つとされてきました。

 そしてさらに、これら4つの主要テーマに加えて厚労省は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流向や、大規模な水害など昨今の災害発生状況を踏まえて、「感染症や災害への対応力強化」をテーマに加えることを提案しました。この提案は、多くの委員からも賛成が得られ5つ目のテーマとして議論の中に位置付けられることになりました。

 具体的な厚労省の提案では、災害・感染症対応の強化に向けた論点として、(1)発生時への備えや事業継続に向けた取り組みを推進するために運営基準等も踏まえて考えられる方策、(2)事業継続計画(BCP)の策定を進めるために考えられる方策、(3)災害発生時やCOVID-19対応上の介護報酬の臨時的な取り扱いでICT活用など平時からの取り扱いにすべきものの3点の方策の視点が示されました。

 また、ご承知の通り首相が代わり内閣が新体制になりました(この時は菅さん)。新内閣では、デジタル庁が新設されるなど、様々な分野で平時からのI C T活用がどんどん加速することが予想されます。その後の2020年9月14日の審議会では、「自立支援・重度化防止の推進」など、2020年9月30日の審議会では、「介護人材の確保・介護現場の革新、制度の安定性・持続可能性の確保」などの議論がなされましたが、いずれのテーマの中でも、その課題の解決手段の一つにデジタル化やI C Tなどの活用が明示されています。(思ったほどの加速ではありませんでしたが・・・)

 少し前置きが長くなりましたが、今後私たちが改革の推進スピードに取り残されないためにも、審議会の議論の中や目指している方向性の参考にされている実証実験も含めた最先進事例について知っている必要もあろうかと思いますので、今回は、ここで注目される事例について紹介していこうと思います。

 まずはじめに、すでに沢山の施設で導入が進んでいますが、パラマウントベッドが2016年から販売している「スマートベッドシステム™」の「眠りSCAN」は、ベッドのマットの下に敷いたシートに搭載された非接触センサーによって入居者・利用者の生体情報やベッド上での状態を一元管理し、リアルタイムで情報を測定・管理することができるシステムです。

 マットレスの下に敷いてあるセンサーシートによって、入居者・利用者の在不在、呼吸・心拍・睡眠状態などを連続記録するだけでなく、通信機能を持つ体温計、血圧計、血糖測定器をベッド横の端末機器にかざすことで計測データを自動記録することができる仕組みになっています。

 これらのデータは、スタッフルームにあるパソコンやさらにタブレット活用から遠隔で集中管理することができ、介護職員などが行っているベッドの状態把握(特に夜勤時の巡回)・介護記録業務の負担軽減につなげることができています。

 これらの自動記録は、業務の省力化や効率化だけでなく、転記ミスを防止することができ、さらに睡眠時間は人生の3 分の1を占めると言われているだけあり、特に施設などで生活している入居者にとってベッド上で過ごす時間が多いため、これらの収集した各種データを職員が入居者のベッド上での活動のデータとして分析することで容体急変の予兆を把握するなど、ケアプランの作成やサービス提供の質の向上にもつながるシステムとなっています。

 また、現在ではカメラ機能もオプションでついており日々進化しております。リアクションスピードも良くなってきています。

 まだ実証実験段階ですがNECでは、株式会社NTTドコモとSOMPOホールディングス株式会社、SOMPOケア株式会社と共同で、介護施設における課題解決に向け、介護付きホームで第5世代移動通信方式(所謂5G)を活用して、「介護施設の食堂における入居者の特定と禁食(アレルギー)チェック、および食事時の摂取量記録」に取り組んでいます。

 先ほどの事例では、入居者・利用者の過ごしている時間の多さでは、ベッド上の時間が課題として捉えることができますが、一方サービスを提供している職員・施設側から言うと人手不足の中で、介護職員が携わる業務内容および所要時間では、食事介助関連に多くの時間が割かれている側面があるとタイムスタディなどで判明しています。

 そこでこの実証実験では5Gの活用により「顔認証による来訪者特定」「アラートによる禁食チェック」「食事前後の配膳トレー撮影による摂取量管理の自動化」が実施され、介護職員のピーク時の業務効率化を目指して取り組まれています。これが実現すると、食事関係にかかる様々な課題が包括的に解決できます。

 「顔認証による来訪者特定」「アラートによる禁食チェック」が可能であれば、まだ入居者・利用者の顔や名前が一致していない新人職員やボランティアなどの応援者が、間違えることなく支援ができます。

 また、「食事前後の配膳トレー撮影による摂取量管理の自動化」ができれば、職員間でばらつきのある食事摂取量や残食、栄養の偏りなどについて正確にモニターすることができます。このデータが正確であればあるほど、管理栄養士が行う栄養ケアマネジメントの精度向上や、ケースによっては褥瘡などの改善情報にも役立てることができます。

 さらに、それぞれの生活場面や介護場面だけではなく、施設での介護サービス提供体制全体のワークフローまで含めたイノベーションを提案しているシステムもあります。

 コニカミノルタQ O Lソリューション株式会社が提案するHitomeQケアサポートシステムでは、画像I C Tを基本に行動分析センサーとスマートフォンを軸としたワークフロー変革で施設介護業務全体の効率化を実現するソリューション構成となっています。

 サービス提供業務全体の効率化によって職員の時間的・精神的余裕を創出し、従来のナースコールやマットセンサーなどのあらゆるセンサー類や介護記録システムだけでは実現できなかった介護業務の労働生産性向上や介護職員の働きやすさ向上を目指すシステムとなっています。

 基本的なシステムとして、居室天井にマイクと赤外線カメラとドップラーセンサーが内蔵された行動分析センサーが、常時入居者の状況を見守りしています。入居者の居室内の行動(起床・離床・転倒/転落)を行動分析センサーが認識し介護職員が携帯しているスマートフォンにその時の映像と共に通知し、転倒事故発生時のエビデンス映像の自動記録、ケア実施後すぐにスマートフォンで簡単入力できるケア記録などの機能が備わっています。

 具体的な機能やその機能などを活用し、さらに実証実験も含めた様々な最先進的な取り組みの事例については、次回その他の製品や事例なども含めお伝えしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


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