初めて介護事業所管理者になった人が知っておきたい10のポイント③


2021.01.31 |投稿者:神内秀之介

【ポイント3】

経営+運営計画が適切に立案できていますか。

 施設事業所の理念や基本方針を具現化・実現化し、事業を継続するために経営を取り巻く環境等が把握され、分析され、あきらかになった経営課題は、事業計画の策定において反映されなければなりません。

 併せて収支計画も策定される必要があります。立案した計画を実施するためには、財務的な裏づけも必要となるからです。

 理念や基本方針などは、けっして単年度で実現するものではありません。また達成できるような理念や基本方針だとしても、制度改正や報酬改定があるなかで事業を継続されるためには、やはり単年度の計画だけで実現するのは難しく、それを達成するためには3年から5年程度を見通した中・長期的な計画を策定する必要があります。

 中・長期計画の中では、現時点で提供するサービスの更なる充実や課題の解決等のほか、地域ニーズにもとづいた新たなサービスの実施の検討といったことも含めたビジョンを明確にし、そのビジョンを実現するために、組織体制や設備の整備、職員体制、人材育成等に関する具体的な計画を策定する必要があります。

 ここで言うビジョンとは事業所のあるべき姿・ありたい姿、そしてあり得る(実現可能な)姿を統合したもので実現可能で信頼性の高く魅力的で望ましい組織の将来像です。

 そこで、中・長期計画の内容について概ね次のような手順で策定されていることが望まれます。

①理念や基本方針の実現に向けた具体的なビジョンが明確化されている。

②明確化されたビジョンに対して、提供する介護福祉サービスの内容、組織体制や設備の整備、職員体制、人材育成等の現状分析を行い、課題や問題点が明らかになっている。

③明らかになった課題や問題点を解決し、ビジョンを達成するための具体的な目標・戦略が中・長期計画に反映されている。

④その計画の実行と評価・見直しを行う時期や方法(手順)が初めから計画に組み込まれている。これらのことが必要となります。

 また、先ほどふれたように、中・長期の事業計画を実現するためには財務面での裏付けも不可欠といえます。そのため、中・長期の事業計画にしたがって「中・長期の収支計画」を策定することが必要となります。

 収支計画の策定にあたっては、利用者の増減、人件費の増減等を把握・整理するとともに、事業所の建物の増改築や建替え、什器やPCシステム更新や入れ替え等にともなう支出について積立てるなどの、資金使途を明確にすることが必要です。

 制度改正や報酬改定などで不透明で見えないものがありますが、だからといって計画を策定しないのではなく、だからこそ先を見通す情報を収集し、適切な財務分析及び、資金(内部留保等)使途を明確化にしていくことが重要となります。

 そして、中・長期計画が策定されたら、それを着実に実現させるための単年度の事業(運営)計画(併せて単年度の収支計画も)の策定が必要となります。単年度の事業計画では、当該年度における具体的な事業、介護福祉サービス提供等に関わる内容が具体化に明示されていること、また、それらの内容が実現可能であることが不可欠です。日々の事業運営の拠り所となります。

 単年度の事業計画は、毎年度の終了時に実施状況や達成状況についての評価を行うため、内容については、実施状況及び達成状況の評価が可能ができなくては意味がありません。

 定性的な目標だけではく、指標は数値化等、可能な限り客観的で定量的な分析ができるように当初より策定されることが必要です。

 中・長期計画及び単年度計画は、経営者や役員、ミドルマネジャーなどのごく一部の人々が策定や評価を実施するのではなく、スタッフの参画・理解のもとに組織的な取組を進める体制構築することが重要です。

 事業運営を円滑に進めるためには、スタッフが事業計画を十分に理解していることが必須となります。

 そのため、事業計画の策定については、関係スタッフの参画や意見の集約・反映の仕組みが組織として定められ、機能させる必要があります。

 また、内容によっては利用者等の意見を集約して各計画に反映していくことも求められます。あわせて、各計画の実施状況について、評価・見直しの時期、関係スタッフや利用者等の意見を取り込めるような手順が事業所にマニュアルや手順書として定めておくことも重要となります。

 それぞれの計画は、スタッフだけではなく利用者や家族へのサービスの提供に関わる事項でもあり、各々の計画の主な内容については、利用者や家族等に周知し、理解を促すための取組も必要です。

 主な内容とは、提供サービスの質や量に関する事項、施設・設備を含む居住環境の整備等の利用者の生活に密接にかかわる事項です。

 利用者や家族等への説明にあたっては、事業所やスタッフなどと全く同じものを活用するのではなく、専門的用語や難しい表現は出来るだけ避け、理解しやすいもの作成するなどの工夫や配慮が必要となります。

 また、計画を利用者や家族へ説明する際には、理念や基本方針なども改めて説明し理解を促すことも重要となります。


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