❖システム導入が到達点ではない


2020.11.03 |投稿者:神内秀之介

 前回のblogの経済産業省の定義を私たちの業界に当てはめて再定義すると「事業所施設が福祉介業界を取り巻く環境の激しい変化(ニーズの多様性や超少子高齢化による人材不足等)に対応し、データ(福祉介護現場で発生するさまざまな記録等)とデジタル技術(AI・ICT等)を活用して、利用者(入居者)・家族や地域社会のニーズを基に、事業所施設の設備備品や提供する人的サービス、これまでの福祉介護事業の運営方法や在り方を変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、法人(事業所施設)文化・ 風土を変革し、業界内外の競争上の優位性を確 立すること。それによって事業所施設または法人として安定した収益を得られ、事業の継続性を担保できるような仕組みを作ること」となるのではないでしょうか。

 前回介護報酬が改定された2018年度以降、ますます介護業界におけるICT化は、介護の人材不足という大きな課題を解決するための重要な手段として期待されています。また、業務効率化のために、多くの事業所が介護記録システムや介護ロボットを導入せざるを得なくなる可能性は高くなります。そんなとき忘れてはならないのが、ICT化等はあくまで手段であるということです。システムや介護ロボットの導入やICT化の真の目的は、離職率の低下や定着率アップにつながる職場環境の改善や、利用者や入居者のQ OL向上やADL維持にあります。システム等の導入が到達点ではありません。また、それらの導入に対する職員の向き合い方によっては、 過度な負担を強いてしまうこともあります。

 現場では多くのところではすでに水銀体温計や血圧計から、デジタ ル体温計やデジタル血圧計に変わっていると思います。 ただしそれは全てではないはずです(私がこの業界に入った時には、医療職の方が水銀体温計や血圧計を使って1人ひとり測定していまし た。最近の現場では介護職員がデジタル体温計とカフ式血圧計で測定していました)。そこには、その時々の必要に応じた意味があると思います。どんなに便利で効率的で正確なシステムやツールがあっても、それを活用する本来的な意味や必要性を理解していないと何も役に立ちません。この福祉介護業界に携わる一人ひとりが私たちの業界を取り巻いている現状や環境、政策などにも関心を持って、新しい概念や言葉とそのツールを活用してよりよい業界構築ができていければ、尚良いと思います。

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