45.感染症拡大時の対応と事業所運営戦略
2025.09.10 |投稿者:神内秀之介
〜主任ケアマネジャーが築く「安全」と「継続」の支援体制〜
近年、感染症が拡大するパンデミックの状況を目の当たりにした私たちは、特に高齢者や支援が必要な方々にどれだけ重大な影響を及ぼすかを痛感しました。感染症拡大時には、迅速で的確な対応を行い、利用者とスタッフの安全を確保しつつ、支援を止めないための運営戦略を立てることが必要です。
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)として、感染リスクを最小限に抑えるための感染対策と、利用者支援を継続するための組織的な運営戦略を導入することが求められます。今回は、感染症拡大時の対応方法と、事業所運営における具体的な工夫について、ソーシャルワークの視点を基に考えてみましょう。
1️⃣ 感染症拡大時の主任ケアマネジャーの役割
感染症拡大時、主任ケアマネジャーが中心となり、利用者の安全確保と事業所の運営を維持するための対策を講じる必要があります。
• 主任ケアマネジャーの責務
o 感染予防対策の徹底:利用者や関係者がルールを守り、安全を保てる仕組みを構築する。
o リスク管理:利用者、スタッフともに感染リスクが高まらないようにケアプランを見直し、必要に応じてサービス内容を調整する。
o 情報共有と協力体制の構築:自治体や地域包括支援センター、医療機関と情報を密に共有し、必要な支援体制を確保する。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「予防(Prevention)」を大切に、未然に感染リスクを回避するための計画を立てましょう。
2️⃣ 感染症対策の基本:3つの柱を徹底する
感染症対策の基本は、「発生を防ぐ」「拡大を防止する」「安全を維持する」という3つの柱に基づいています。それぞれの具体的な取り組みを整理してみましょう。
- 発生を防ぐ対策
• 衛生管理の徹底
o 手洗い・アルコール消毒、マスク着用の励行。
o 設備や福祉器具の定期的な清掃・消毒。
• 体調管理の徹底
o スタッフと利用者の毎日の健康チェック(検温、症状確認)。 - 拡大を防止する対策
• 接触機会を減らす工夫
o 対面でのサービス提供を最小限に抑え、必要に応じたリモート支援を利用。
o グループ活動を一時中止、または人数制限を設ける。
• 適切なゾーニング
o 感染が疑われる場合は速やかに隔離し、感染経路を遮断する。 - 安全を維持するための準備
• 感染が発生した場合のマニュアル整備
o 感染者が出た場合の対応フローを全員に周知する。
• 物資の備蓄
o マスク、手袋、消毒液、体温計、防護服などをすぐに使えるように準備。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「効率性(Efficiency)」を念頭に、簡潔かつ迅速に対応できる仕組みを整えましょう。
3️⃣ ケアプランの柔軟な調整が鍵
感染症拡大時には、利用者の状況や安全を考慮しつつ、柔軟にケアプランを調整することが求められます。このプロセスでは、利用者や家族との十分な話し合いが不可欠です。
• ケアプランの調整ポイント
o サービス形態の変更
必要に応じて訪問介護を縮小し、電話やオンラインでの健康チェックや相談を行う。
o サービス頻度の調整
感染リスクが高い場合、一部サービスの頻度を減らし、間接的な支援で補完する。
o 新たな支援方法の模索
緊急時連絡体制の強化や、衛生物資の提供など、状況に応じた柔軟な対応を行う。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「個別化(Individualization)」を基礎に、利用者の状況に合わせた柔軟なプラン調整を心がけましょう。
4️⃣ 事業所運営の持続可能性を確保する戦略
感染症拡大時の事業運営では、利用者支援を継続しつつ、事業所そのものが安全で安定した状態であることが重要です。そのための組織戦略を考えてみましょう。
• 運営戦略の具体例
o スタッフの配置調整
感染リスクを考慮し、担当者ローテーションを導入して現場負担を分散。
o リモートワークの活用
記録作成や会議など、現地で行う必要がない業務をオンラインへ切り替える。
o 公的支援の活用
感染症対策の補助金や助成金の申請を行い、運営資金を補填する。
o 経営状況の定期チェック
利用者負担や介護報酬の状況を確認し、長期的な視点で経営計画を見直す。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「持続可能性(Sustainability)」を中心に考え、長期間の支援を見据えた事業運営を目指しましょう。
5️⃣ 利用者と家族への丁寧な情報提供
感染症拡大時には、不安や混乱が広がりやすいため、利用者や家族に安心感を提供するための情報発信が大切です。
• 情報提供のポイント
o 正確かつタイムリーな情報を発信
信頼できる公式情報(厚生労働省や自治体)が発信元であることを確認。
o わかりやすい言葉で説明
専門用語を避け、利用者や家族が具体的なイメージを持てる形で伝える。
o 相談窓口の明示
問題や不安があればすぐに相談できる場所を提示し、迅速に対応できる環境を整える。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「共感(Empathy)」を意識し、利用者や家族の不安を軽減する『とことん寄り添う姿勢』を示しましょう。
🌟 最後に:想定外を想定した支援体制作りを
感染症拡大時は、想定外が起こり得る危機に対して冷静に対応する力が試される時です。主任ケアマネジャーとしての役割は、利用者と家族、スタッフを守るための安全策を講じながら、地域包括ケアの核として支援体制を維持・強化することです。
ソーシャルワークの理念を基盤に、感染症対策を通じて「安心」「安全」「支援継続」を確保できる環境を築いていきましょう。その取り組みが利用者の生活を守り、また地域全体の信頼と福祉の向上につながる一歩を支えることになるのです!












