26.利用者・家族との信頼関係構築の基本


2025.08.21 |投稿者:神内秀之介

〜主任ケアマネジャーが紡ぐ「安心と絆」〜
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)は、利用者やそのご家族との信頼関係の上に支援を成り立たせる重要な役割を担っています。信頼関係がしっかりと構築されていれば、困難な場面に直面しても利用者や家族とともに乗り越えられるだけでなく、支援の質も大きく向上します。とはいえ、信頼は一朝一夕には築けません。小さな行動や言葉の積み重ねが「信頼」の要となります。今回は、ソーシャルワークの視点を基に、「利用者・家族との信頼関係構築の基本」を考えてみましょう。

1️⃣ 信頼関係の第一歩は「傾聴」から
利用者やご家族の声に耳を傾けることは、信頼関係の基本中の基本です。傾聴の姿勢を通じて、「この人は自分の話をしっかり聞いてくれる」と感じてもらえることが信頼への第一歩となります。
• 効果的な傾聴のポイント
o 相手の話を遮らない:話の途中で結論を急がず、すべてを聞き終えてから応答する。
o 相手の気持ちに寄り添う:具体的な事実だけでなく、相手の感情にも注目する。
o 相づちやうなずきで伝える:「なるほど」「そうだったのですね」といった相づちで、関心を伝える。
o 繰り返しの確認:聞いた内容を要約して繰り返し、「ご理解されている」と感じてもらう。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「共感(Empathy)」を基盤に、相手の立場に立ちながら真摯に話を聞きましょう。

2️⃣ 利用者・家族を「パートナー」と考える
支援は、利用者や家族とともに進めていく共同作業です。支援者と支援を受ける側という一方通行の関係ではなく、対等な「パートナー」として向き合う姿勢が信頼を強化します。
• パートナーシップ構築のコツ
o 利用者の自己決定を尊重する:選択や意思を大切にし、本人が主体的に関わる支援を進める。
o 対等さを意識する:「支援してあげる」ではなく、「一緒に考える」というスタンスで関わる。
o 小さな同意を積み重ねる:「このプラン、いかがですか?」と確認を重ね、合意をベースに支援を進める。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「パートナーシップ(Partnership)」の理念を重視し、すべての支援を利用者中心に設計しましょう。

3️⃣ 「小さな誠実さ」を積み重ねる
信頼は、小さな約束を一つ一つ守ることで生まれます。何気ない行動や言葉の一つひとつが、利用者や家族に大きな安心感を与えます。
• 誠実さを示すポイント
o 正確な情報提供:わからないことはごまかさず、「確認して改めてお伝えします」と誠実に応対する。
o 迅速な対応:困りごとや質問にすぐ対応することで、頼れる存在であることを示す。
o 約束を守る:時間の約束、報告の内容など、細かな約束でも丁寧に守る姿勢を徹底する。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「誠実さ(Integrity)」を軸に、相手に真摯に向き合い行動を丁寧に積み重ねることが信頼を生む鍵となります。

4️⃣ 困難な場面ほど丁寧に対応する
利用者や家族との関係には、時にクレームや要望の行き違いが発生することがあります。このような場面をどのように対応するかは、信頼関係を築くうえで非常に大切なポイントです。
• 困難な場面での対応ポイント
o まず相手の話を聞く:最初に不満や苦情をすべて聞き取り、相手の感情を受け止める。
o 感情にも寄り添う言葉を使う:「ご心配なさったのですね」「それはご不安でしたね」といった感情への共感を示す。
o 迅速な解決策を提案する:課題や問題について、解決に向けた具体案を早い段階で示す。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「倫理的判断(Ethical Decision-Making)」を基に、利用者や家族の利益と安心感を最優先に考えた対応を心がけましょう。

5️⃣ 笑顔とフレンドリーさも大切に
信頼関係はシリアスな話だけで築かれるものではありません。日常的な笑顔やフレンドリーなコミュニケーションが、安心感を生む大きな要素となります。
• 日常の関わりで信頼を育むコツ
o 親しみやすい態度:利用者や家族に対して、リラックスして接する。
o 挨拶を欠かさない:訪問や会話の最初には、必ず明るい挨拶を心がける。
o ポジティブな気持ちで接する:「一緒に頑張りましょう」「少しずつ進めましょう」と肯定的な言葉を使う。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「人間の尊重(Respect)」を意識し、相手の存在そのものを大切にするコミュニケーションを心がけましょう。

🌟 最後に:信頼関係は「絆」を生む
利用者や家族との信頼関係は、主任ケアマネジャーにとって最大の「資産」とも言えます。その絆があれば、利用者の最善の利益を追求し、困難な課題にも一緒に向き合っていくことができます。
ソーシャルワークの理念を基盤に、一つひとつの関わりの中で丁寧に信頼を育てていきましょう。信頼は日々の言葉や行動、姿勢の積み重ねの中で深まっていきます。そしてその先に、利用者や家族が安心して支援を受けられる「絆」のある関係が形づくられていくはずです。


 |  一覧に戻る | 

お問い合わせはこちら

介護経営のコンサルタント顧問契約。
経営者・理事長の経営参謀として、業務効率化から
利用者・入居者獲得まで、
様々な経営のアドバイスを行います。

営業時間:平日火曜日・水曜日・木曜日10時から16時


メールでのお問い合わせ