108. 問題が起きた時の冷静な対処の仕方
2025.07.20 |投稿者:神内秀之介
介護の現場では、突発的な問題やトラブルが発生することは避けられません。利用者さんの体調の急変や業務の抜け漏れ、チーム内での予期せぬ衝突など、さまざまな形で問題は現れます。そんな時こそ、ミドルマネジャーとしての冷静な対処力が求められます。しかし、焦りや感情に流されてしまうと、状況をさらに複雑にしてしまうこともあります。
ここでは、哲学的な視点を取り入れながら、「問題が起きた時にどう冷静に向き合い、適切に対処するか」を考えてみましょう。
- 問題の「本質」を見極める
哲学者ルネ・デカルトは、「明晰で判明することだけが、真実を映す」と述べました。問題が起きたとき、まずは感情に流されるのではなく、冷静にその本質を見極めることが最優先です。
たとえば、利用者さんから「対応が遅い」とクレームがあった場合、単にスタッフの動きが遅かったのか、それとも業務フロー自体に課題があるのかを探る必要があります。問題の表面的な側面だけでなく、その背景や元となる原因を丁寧に掘り下げることで、的確な対応が見えてきます。本質を見極めることが、冷静で効果的な対処の第一歩です。
- 状況を「俯瞰」で捉える
哲学者アルベール・カミュは、「混乱の中でこそ、冷静な視点が必要である」と語りました。問題が起きたときには、一歩引いて全体を俯瞰する視点を持つことで、適切な判断ができます。
たとえば、業務ミスが発生した場合、それは個人の責任だけに注目するのではなく、チーム全体の連携や確認体制に課題がなかったかを検討します。部分ではなく全体を見渡すことで、短期的な解決だけでなく、今後同じ問題が起きないための改善策を導き出せます。冷静な俯瞰力は、状況を広い視野で捉え、解決へ導く原動力となります。
- 「対話」を通じて解決の糸口を探る
哲学者ハンス・ゲオルク・ガダマーは、「対話は真実を引き出す」と述べました。問題が起きた際には、一人で抱え込むのではなく、関係者との対話を通じて解決策を模索することが重要です。
たとえば、チーム内で意見が食い違った場合、双方の立場や背景を丁寧に聞き取りながら、「どうすれば双方が納得できるか」を話し合う場を設けます。感情的な非難を避け、建設的な対話を重ねることで、問題の本質が見え、解決への道筋が見えてきます。対話は、混乱を整理し、チームの力を引き出す鍵です。
- 感情に支配されない「平静な態度」を保つ
哲学者エピクテトスは、「私たちを乱すのは出来事ではなく、それに対する解釈である」と語りました。問題が起きたときに感情的になると、冷静な判断力が失われがちです。まずは深呼吸をし、自分の感情を一度切り離して状況に向き合いましょう。
たとえば、スタッフ間に衝突が起きた場合、感情的に一方を非難するのではなく、事実と状況を整理し、「何が問題の原因だったのか」を冷静に分析します。落ち着いた態度を示すことで、周囲にも安心感を与え、トラブル解決のための良い雰囲気を作ることができます。平静な心が、問題解決の土台を築きます。
- 「行動」による解決を追求する
哲学者ジョン・デューイは、「考えることは、行動のためにある」と述べました。問題解決のためには、分析や対話に留まらず、具体的な行動につなげることが何より大切です。
たとえば、業務の中でミスが目立つ場合、「チェックリストを導入する」「定期的なミーティングで進捗を確認する」といった実効性のある改善策をすぐに試してみる。アクションを起こすことで、問題が解決に向かうだけでなく、チーム全体が「次は大丈夫」という安心感を得られます。行動することが、問題解決への最終的なステップです。
まとめ
問題が起きたときの冷静な対処には、「問題の本質を見極める」「全体を俯瞰する視点を持つ」「対話を重ねる」「平静な態度を保つ」「行動に結びつける」という5つのポイントが重要です。それは、ただ問題を解決するだけでなく、チーム全体の信頼と成長を育むプロセスでもあります。