96.チームのモチベーションを高める方法
2025.07.08 |投稿者:神内秀之介
介護現場のミドルマネジャーとして、チーム全体のモチベーションをどう高め、良い雰囲気を作るかは、日々直面する課題のひとつではないでしょうか。利用者さんへのケアを優先する中で、スタッフの疲れや悩みを感じ取ることもあるでしょう。そのような状況で、メンバーが楽しく、やりがいを持って働ける環境を作ることが、チーム全体の成長とケアの質を向上させるカギとなります。ここでは、哲学的な視点を交えながら、チームのモチベーションを高める方法を考えてみましょう。
- 「共通の目的」を共有する
哲学者アリストテレスは、「すべての行動は、ある目的に向かう意識によって意味を持つ」と語りました。チームのモチベーションを高めるためには、まず全員が共通の目標やビジョンを共有することが大切です。
たとえば、「利用者さんが毎日笑顔で過ごせる施設を目指す」「安心と信頼を提供するケアを追求する」といったシンプルでわかりやすい目的を、日々の業務の中で確認し合う場を作りましょう。この共通の目的が、メンバー全員を一つにし、自分たちの仕事が「誰のために」「何のために」行われているのかという原点を明確にします。目的を共有することが、モチベーションの源泉となるのです。
- 「個々の貢献」を認める
哲学者ジャン=ポール・サルトルは、「人は行動を通じて自らの価値を発見する」と述べました。スタッフ一人ひとりの努力や成果を認め、それを言葉にして伝えることは、モチベーションを高めるための強力な手段です。
たとえば、「利用者さんから好評だった食事の配膳、あなたのおかげでスムーズでしたね」「先日の夜勤、チームを上手くまとめてくれてありがとう」と具体的な行動や成果を褒めることで、スタッフは「自分は必要とされている」と感じることができます。こうした承認の言葉が、メンバーのやる気を引き出します。個々の貢献を認めることは、チーム全体の活気を支える重要な柱です。
- 「対話」を重ねる
哲学者ハンス・ゲオルク・ガダマーは、「対話は相互理解を深める手段である」と語りました。チームのモチベーションを高めるには、メンバーとの対話を通じて、それぞれの気持ちや考えを理解することが欠かせません。
たとえば、日々の業務の中で、「最近どう感じていますか?」「困っていることがあれば教えてください」というように、個別に声をかける時間を作ることが必要です。また、ミーティングで意見を積極的に引き出し、「自分の声が届いている」と感じてもらうことで、スタッフが主体的に動けるようになります。対話を重ねることで、メンバーの心に寄り添い、信頼とモチベーションを築くことができます。
- 「小さな成功」を共有する
哲学者フリードリヒ・ニーチェは、「成長は小さな成功の積み重ねである」と説きました。日々の中で生まれる小さな成功をチーム全体で共有することは、モチベーションを高める一つの方法です。
たとえば、「今日は利用者さんが笑顔で『ありがとう』と言ってくれましたね」「トラブルなくスムーズに業務を終えられたのは、みんなの協力のおかげです」といった形で、小さな成果やポジティブな出来事をみんなで喜ぶ習慣を作りましょう。このような成功体験の共有が、メンバー一人ひとりの仕事への前向きな気持ちを育てます。小さな成功をみんなで分かち合うことが、チームの士気を高める力となるのです。
- 「休息と余白」を大切にする
哲学者セネカは、「休息は心と体を再生させる時間だ」と語りました。介護の仕事は忙しく、ストレスを感じやすい職場です。そのため、時には休息や余白を意識的に取り入れることも、モチベーションを高めるために必要です。
たとえば、スタッフのシフトを調整して休みを確保したり、業務の合間にリラックスできる場を設けることで、心身の余裕を取り戻せるようにする。また、雑談や笑顔の絶えないコミュニケーションが生まれる環境を作ることで、職場全体が明るくなります。休息を大切にすることは、長期的な活気とモチベーションを支える基盤です。
まとめ
チームのモチベーションを高めるためには、「共通の目的を共有する」「個々の貢献を認める」「対話を重ねる」「小さな成功を共有する」「休息と余白を大切にする」という5つのアプローチが重要です。それは、単なる業務効率の向上だけでなく、メンバー一人ひとりが自分の役割に誇りを持ちながら、楽しく働ける職場を作るための鍵でもあります。
