94.調和と責任を育む
2025.07.06 |投稿者:神内秀之介
介護の現場では、チーム全体で利用者さんを支えるケアが不可欠です。一人ひとりのスタッフがそれぞれの強みや役割を持ち寄り、助け合うことで、より質の高いケアを提供することができます。しかし、チームの中での「自分の役割」が明確でないと、業務の重複や抜け漏れが生じたり、自分自身の立ち位置に不安を感じることもあるでしょう。そこで、哲学の視点を取り入れながら、チームケアの中で自分の役割を確認し、責任を持って行動する方法を考えてみたいと思います。
- 自分の「位置」を知る
哲学者ゲオルク・ヘーゲルは、「個々の役割は全体の中で意味を持つ」と述べました。介護の現場でも、チームという「全体」の中での自分の「位置」を知ることが、役割を理解する第一歩です。
たとえば、「私はこの場でチームリーダーとして方向性を示すべきか」「補佐役としてサポートに注力するべきか」といった、自分が果たすべき役割を整理してみましょう。それを明確にすることで、全体の動きの中で自分がどのように貢献できるのかが見えてきます。自分の「位置」を知ることが、責任ある行動へのスタートラインです。
- チームの「目的」を共有する
哲学者アリストテレスは、「最善の行動とは目的を共有することだ」と語りました。チームケアを成功させるためには、チーム全体が目指すべき「共通の目標」を共有することが重要です。
たとえば、「利用者さんに安心と笑顔を届ける」という共通の願いを確認することで、誰がどの役割を果たすべきかがクリアになります。各自が目標に向けて役割を果たすことで、チーム全体の動きが調和し、無駄や混乱が減っていきます。共通の目的が、個々の行動に方向性を与えるのです。
- 自分の「得意」を活かす
哲学者フリードリヒ・ニーチェは、「自分の強みを見つけ、それを最大限に活用せよ」と述べました。チームの中での役割を考える際には、自分自身の得意分野やスキルに目を向けることが重要です。
たとえば、「私はコミュニケーションが得意だから、利用者さんやその家族と会話をする役割を担おう」「私は整理整頓が得意だから、備品管理を担当しよう」といったように、自分の強みを活かせる役割を見つけることで、より自然体でチームに貢献できます。自分自身の得意分野を意識することで、役割がより明確になります。
- 「対話」を通じて確認する
哲学者ハンス・ゲオルク・ガダマーは、「対話は役割を明確にし、理解を深める手段である」と言いました。自分の役割をチームの中で確認するためには、周囲との対話が欠かせません。
たとえば、「この業務は私が担当しますが、他に何かサポートが必要ですか?」といった形で同僚と会話をすることで、自分の役割を確認し合いながら、チーム全体の動きをスムーズにすることができます。また、対話を通じて他のメンバーの役割を理解することで、お互いを助け合いやすい環境が生まれます。対話は、チームの中で円滑な役割分担を構築する鍵となります。
- 振り返りを習慣化する
哲学者ラルフ・ウォルド・エマーソンは、「振り返りの中に成長がある」と語りました。チームケアの中で自分の役割をより良く果たすためには、日々の業務を振り返り、自分の行動がチームにどう影響を与えたかを考えることが大切です。
たとえば、「今日は自分の役割を果たせただろうか」「チーム全体がスムーズに動くために、明日は何を意識しようか」といった問いを自分に投げかけることで、自己成長に繋がる学びを得ることができます。振り返りの習慣が、チーム内での自己役割をより明確にし、成長を促すのです。
まとめ
チームケアの中で自分の役割を確認し、果たしていくためには、「自分の位置を知る」「チームの目的を共有する」「得意なことを活かす」「対話を重ねる」「振り返りを習慣化する」という5つのポイントが重要です。それは、個々の力を最大限に発揮しながら、チーム全体の調和を保つための土台となります。
