66.利用者の尊厳を守るための心構え
2025.07.03 |投稿者:神内秀之介
「尊厳を守るケアが、利用者さんの生きる力を引き出す」
こんにちは、新人介護支援専門員の皆さん!
ケアマネージャーとして働く中で、「利用者さんの尊厳を守る」という考え方は、常に心に刻んでおきたい最も大切なテーマのひとつです。でも、その「尊厳」とは具体的に何を指すのでしょうか?実際の現場では、いろいろな状況の中で「どうすれば利用者さんの尊厳を守れるのか?」と迷うこともあるかもしれません。
尊厳を守るケアは、利用者さんの生きる力を引き出し、その人らしい暮らしを支える原動力となります。今回は、「利用者の尊厳を守るための心構え」についてお話しします。あなたの日々の業務にちょっとしたヒントを加え、利用者さんの笑顔をさらに輝かせるお手伝いができれば幸いです!
1. 尊厳を守るとは?その意味を考える
まずは、「尊厳を守る」とはどういうことなのか、その基本の考え方を整理してみましょう。
①「その人らしさ」を尊重する
- 尊厳とは、その人がその人らしく生きる権利を守ることです。利用者さんの個性、価値観、好み、生活スタイルを尊重することが基本になります。
- 例:利用者さんが長年の趣味である「園芸」を続けられるようにサポートする。
② 小さな意思決定を大切にする
- 利用者さんが自分で選び、自分で決める機会を提供することが、尊厳を守る第一歩です。たとえ小さな選択でも、その積み重ねが利用者さんの生きがいを支えます。
- 例:「今日はどんな服を着たいですか?」と選択肢を提示する。
③ 平等で配慮のある接し方をする
- 年齢や障害に関係なく、利用者さんをひとりの人間として対等に扱うことが大切です。決して上から目線にならず、相手の立場に立った配慮を心がけましょう。
- 例:利用者さんの話を遮らず、しっかりと耳を傾ける。
2. 尊厳を守るための心構え:5つのポイント
では、利用者さんの尊厳を守るために、ケアマネージャーとしてどのような心構えを持つべきなのでしょうか?以下の5つのポイントを意識してみてください。
① 利用者さんの背景を知る
- 利用者さんがどんな人生を歩んできたのかを理解することが、尊厳を守る第一歩です。
- 例:
- その人の趣味、仕事、家族関係、価値観を知ることで、ケアプランも「その人らしい内容」に近づけられます。
② 「できること」に注目する
- 利用者さんが「できないこと」ではなく、「できること」に目を向け、それを伸ばすサポートを心がけましょう。
- 例:たとえ歩行が難しくても、車椅子を使って買い物に出かける機会を提案する。
③ 小さな声に耳を傾ける
- 利用者さんが発する小さな声や仕草に敏感になり、しっかりと応えることが大切です。それが尊厳を守るための基本となります。
- 例:「最近、食事が楽しめなくなった」といった言葉に気づき、食事内容を見直す。
④ 無理を強制しない
- ケアプランやサービスを押し付けるのではなく、利用者さんの気持ちに寄り添いながら選択肢を示しましょう。
- 例:「デイサービスが嫌だ」という利用者さんには、在宅で受けられるリハビリを提案するなど柔軟に対応する。
⑤ 利用者さんのペースを大切に
- 介護やケアは時間との戦いになりがちですが、利用者さんのペースを優先することが尊厳を守る上で重要です。
- 例:歩行訓練の際、利用者さんのスピードに合わせて一緒に歩く。
3. 現場での実践例:尊厳を守るケアのストーリー
エピソード:認知症の女性が取り戻した「その人らしい生活」
- 背景
認知症を患う80代の女性Nさんは、長年食べるのが好きだった甘味を家族が「健康に良くない」と制限していました。Nさんは、それ以来笑顔が減り、デイサービスに行くのも嫌がるようになりました。 - ケアマネの取り組み
ケアマネージャーはNさんのこれまでの生活背景を知り、「甘味を楽しむことがNさんの生きがいだったのでは?」と考えました。家族に相談し、適度な範囲で甘味を楽しむ食事プランを提案。家族も「全てを制限する必要はない」と考えるようになり、Nさんが喜ぶ和菓子を少量提供するようにしました。 - 結果
Nさんは次第に笑顔を取り戻し、デイサービスでもお茶やお菓子を楽しむようになりました。家族も「無理な制限をしていたことに気づけて良かった」と感謝の気持ちを伝えました。
4. 尊厳を守るケアの効果とは?
利用者さんの尊厳を守るケアには、さまざまなポジティブな効果があります。
① 生きがいや意欲が高まる
- 利用者さんが自分らしく過ごせることで、生きる力が引き出されます。
② 心身の健康が向上する
- 自分らしい生活を送ることで、ストレスが軽減され、身体的・精神的な健康が促進されます。
③ 利用者さんと家族、チームの信頼関係が深まる
- 尊厳を守るケアは、利用者さんや家族、そして多職種チームとの信頼関係を築く基盤となります。
5. 新人ケアマネへのエール:尊厳を大切にしたケアを!
① 「その人らしさ」を軸にしたケアを考えよう
- ケアマネージャーの役割は、利用者さんの「その人らしさ」を最大限尊重し、それを支えることです。
② 小さな気づきを大切に
- 利用者さんの表情や言葉に敏感になり、「何を大切にしているのか」を見つけてください。
③ 利用者さんの声をチームと共有しよう
- 利用者さんの希望や価値観をチームで共有し、ケアに反映することで、より良い支援が実現します。
6. 今日のまとめ:利用者さんの尊厳を守るために
- 尊厳を守るケアは、「その人らしさ」を尊重することが基本。
- 小さな意思決定を大切にし、利用者さんが自分で選ぶ機会を作ろう。
- 利用者さん一人ひとりの背景や価値観を理解することが重要。
- 無理を強制せず、利用者さんのペースに寄り添う姿勢を持とう。
最後にひとこと!
「利用者さんの尊厳を守るケアが、あなたの仕事の誇りになる。」
新人ケアマネージャーの皆さん、日々の業務で迷うことがあっても、「尊厳を守る」という軸があれば、自然と利用者さんの笑顔につながる道が見えてきます。大切なのは、利用者さん一人ひとりがその人らしく生きられるようにサポートすること。その取り組みこそが、あなたの仕事のやりがいを育む力になります。一緒に心あるケアを実践していきましょう!
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