86.新人としての目標の立て方
2025.06.28 |投稿者:神内秀之介
介護職としての一歩を踏み出したばかりの新人時代は、未知のことに溢れています。利用者さんへのケアや職場でのルール、他職種との連携など、覚えるべきことが次々に現れ、焦りや不安を感じることもあるでしょう。しかし、この時期こそ、自分自身を成長させるための目標をしっかりと立てるチャンスです。目標は、ただのゴールではなく、日々の行動を導く「羅針盤」のようなものです。ここでは、哲学的な視点を取り入れながら、新人としての目標の立て方について考えてみましょう。
- 「足元」を見つめる目標を持つ
哲学者ソクラテスは、「最も大切なのは、現実を知ることだ」と語りました。新人としての目標を立てる際には、まず「自分が今できること」と「これからできるようになりたいこと」を明確にすることが大切です。
たとえば、「利用者さんの名前と顔を覚える」「先輩に教えてもらった作業を正確にこなす」といった、小さく具体的な目標を設定しましょう。大きな夢や長期的なビジョンも重要ですが、まずは足元に目を向け、達成可能な目標を積み重ねることが、成長の実感を得るための第一歩です。
- 「なぜ」を問い直す目標を持つ
哲学者フリードリヒ・ニーチェは、「人生の『なぜ』を知れば、どんな『どうやって』にも耐えられる」と述べました。目標を立てる際には、「なぜその目標を達成したいのか」を考えることが重要です。
例えば、単に「利用者さんとのコミュニケーションを上達させたい」と思うだけでなく、「利用者さんに安心感を届けるため」「信頼関係を築くため」といった理由を掘り下げてみましょう。「なぜ」を明確にすることで、目標は単なる作業のリストではなく、自分の行動に納得感を与える指針となります。
- 「成長」を見据える目標を持つ
哲学者アリストテレスは、「成長は行動と習慣の積み重ねによって形作られる」と説きました。新人としての目標は、スキルや知識を高めるだけでなく、自分自身の成長を実感できるものであるべきです。
たとえば、「1カ月後には利用者さんの信頼を得られるような挨拶や声かけを意識する」「3カ月後には一連の業務を自分で計画的に進められるようになる」といった、短期的・中期的な目標を立ててみましょう。その達成が次のステップへの自信となり、成長を実感するモチベーションになります。成長を見据えた目標設定が、新人時代を充実させる鍵となります。
- 「柔軟性」を持った目標を立てる
哲学者ハンス・ゲオルク・ガダマーは、「理解は変化の中で深まる」と語りました。介護の現場では、状況や利用者さんのニーズが日々変化します。そのため、目標も固定的なものではなく、柔軟に調整できるものであるべきです。
たとえば、「利用者さんの体調に応じて、ケアの仕方を工夫する」や「先輩からのアドバイスを吸収し、自分の目標に反映させる」といった、柔軟性を持った目標を設定することで、現場に適応する力が養われます。目標は変化に対して開かれたものである時、より意味のあるものになるのです。
- 「振り返り」の時間を持つ
哲学者ラルフ・ウォルド・エマーソンは、「人生を豊かにするのは、振り返りの中で得た教訓である」と述べました。目標を立てたら、それを定期的に振り返り、進捗を確認しながら次の目標を修正していくことも大切です。
たとえば、「今週は利用者さんとどれだけ会話ができたか」「先輩に相談したことが次の業務にどう活かせたか」といった観点で、自分の行動を見直してみましょう。この振り返りを習慣化することで、目標に向かう過程が単なる作業ではなく、自己成長のストーリーへと変わります。振り返りの時間が、新たな目標を生むきっかけになります。
まとめ
新人としての目標は、「現実を見据えた小さなステップ」「なぜを問い直す目的意識」「成長を感じられる計画」「柔軟性を持った目標」「振り返りを通じた学び」の5つを意識することで、より意味のあるものになります。それは、ただの作業リストを超え、自分自身を高めるための道しるべとなるのです。
