84.初めての利用者さん担当で気をつけること


2025.06.22 |投稿者:神内秀之介

介護の現場で初めて利用者さんを担当する時、一歩を踏み出す期待感と同時に、「期待に応えられるだろうか」という不安も抱くことでしょう。しかし、その第一歩は、利用者さんとの信頼関係を築き、あなた自身が介護職として成長する貴重な機会です。このプロセスを豊かで満ち足りたものにするためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか?哲学的な視点を交えながら、その答えを探ってみましょう。

  1. 「初心」の大切さを忘れない
    哲学者ラルフ・ウォルド・エマーソンは、「一歩を踏み出すことがすべての始まりだ」と述べました。初めて利用者さんを担当する際には、「初心」を持つことが何よりも重要です。

初心とは、相手に対して敬意を持ち、真摯に向き合おうとする純粋な気持ちです。利用者さんがどんな生活をしてきたのか、何を大切にしているのかを知ろうとする姿勢は、信頼を築く土台となります。初心を忘れず、自分のケアに込める気持ちが、利用者さんにとっての安心感を作るのです。

  1. 「観察する力」を磨く
    哲学者ソクラテスが説いた「無知の知」とは、「知らないことを認め、問い続ける謙虚さ」を指します。初めて担当する利用者さんについても、最初からすべてを理解しようとするのではなく、観察を通じて少しずつ関係を築くことが大切です。

たとえば、利用者さんの表情や仕草、言葉のトーンを注意深く見ることで、その日その日の気分や体調を知るヒントが得られます。その観察をもとに、「今日は少し疲れているようですね」などと声をかけることで、利用者さんが「自分を見てくれている」と感じられる瞬間が生まれます。観察は、真の理解への第一歩です。

  1. 「聞く力」を育てる
    哲学者ハンス・ゲオルク・ガダマーは、「理解は耳を傾けることから始まる」と述べました。利用者さんの話に耳を傾けることは、信頼関係を築く上で欠かせない技術です。

たとえば、利用者さんが話してくれる日常のエピソードや過去の思い出は、単なる雑談ではなく、その方の価値観や生活のヒントが詰まった貴重な情報源です。「お話を聞かせていただいてありがとうございます」と感謝を伝えることで、さらに心を開いてもらえるかもしれません。聞くことは、相手を尊重し、その人を知るためのもっとも強力な手段です。

  1. 小さな約束を守る
    哲学者イマニュエル・カントは、「約束を守ることは信頼の基盤である」と語りました。利用者さんとの信頼関係を築くためには、小さな約束を守ることが極めて重要です。

たとえば、「後でお茶をお持ちしますね」と言った約束を守ることや、「明日は散歩に行きましょう」といった提案を実行に移すことが、信頼を積み重ねる一歩になります。約束を守ることで、利用者さんが「この人になら安心して任せられる」と感じられるようになります。信頼は、誠実な行動の積み重ねで育まれるのです。

  1. 自分を過信しない
    哲学者アルベール・カミュは、「人間は不完全であるがゆえに成長する」と述べました。初めての利用者さんを担当する際には、「すべてを完璧にこなさなければならない」と思い込む必要はありません。

わからないことがあれば、先輩職員や他のスタッフに遠慮なく相談する勇気を持ちましょう。利用者さんに対しても、「このような対応で大丈夫ですか?」と聞いてみることで、安心感を与えると同時に、学びの機会を得ることができます。自分を過信せず、学び続ける姿勢こそが、より良いケアを生む力となります。

まとめ
初めて利用者さんを担当する時、最も大切なのは「信頼を築く姿勢」です。それは、初心を忘れず、観察し、聞き、約束を守り、わからないことを素直に認めることから始まります。一つひとつの行動が積み重なり、利用者さんとの信頼関係を深める架け橋となるのです。


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