82.尊敬と対話が生む職場の調和


2025.06.24 |投稿者:神内秀之介

介護の現場は、一人では成り立たないチームプレイの場です。中でも、先輩職員との信頼関係は、日々の業務を円滑に進めるための重要な鍵となります。経験豊富な先輩から学びを得るだけでなく、困ったときに頼れる環境を作ることは、仕事のやりがいにも繋がります。しかし、その信頼関係は一朝一夕で築けるものではありません。哲学の視点を交えながら、先輩職員との信頼関係を深める方法について考えていきましょう。

  1. 「尊敬」を持って接する
    哲学者マルティン・ブーバーは、「人間の本質は他者との関係性の中にある」と述べました。先輩職員との信頼関係を築く第一歩は、その人の経験や知識、努力を尊敬する気持ちを持つことです。

たとえば、先輩の動きを観察し、「なぜこのような対応をしているのだろう」と考えてみることで、その人が持つスキルや知恵に気づくことができます。また、先輩が教えてくれたことに対して「ありがとうございます」「勉強になります」と感謝の言葉を伝えるだけでも、その敬意は自然と相手に伝わります。尊敬は信頼を築く最初の架け橋となるのです。

  1. 「聴く力」を大切にする
    哲学者ソクラテスは、「聞くことは知恵の入り口である」と語りました。先輩職員との信頼関係を築く上で、自分の意見を押し付けるのではなく、まずは「聴く姿勢」を持つことが重要です。

たとえば、先輩が経験に基づいてアドバイスをしてくれた際に、「自分の考えとは違う」と感じても、まずはその言葉に耳を傾けてみましょう。「どうしてこの方法が良いのか」「何を大切にしているのか」を理解しようとする姿勢が、対話を深め、信頼を育てることに繋がります。「聴く力」が信頼の土台を築くのです。

  1. 小さな行動で「信頼」を積み重ねる
    哲学者アリストテレスは、「徳は行動の繰り返しで育つ」と述べました。信頼関係もまた、一つひとつの小さな行動の積み重ねによって築かれるものです。

たとえば、先輩が忙しいときには率先して声をかけて手伝ったり、指示されたことを丁寧にこなすことで、「この人は頼りになる」と感じてもらえるようになります。また、報告・連絡・相談をしっかりと行うことで、「安心して任せられる」と思ってもらえるようになります。日々の中での小さな行動が、信頼の基盤を強固なものにします。

  1. 自分から歩み寄る勇気を持つ
    哲学者フリードリヒ・ニーチェは、「行動することが関係を変える」と説きました。先輩職員との間に少し距離を感じる場合でも、自分から積極的に関わりを持つことで、その関係は変わり始めます。

たとえば、「困ったことがあればいつでも聞いてください」と先輩に声をかけたり、「この仕事について教えていただけますか?」と具体的に相談してみることが、その第一歩となります。最初は緊張するかもしれませんが、小さな勇気が新しい信頼の扉を開くことは間違いありません。自分から歩み寄る姿勢が、関係性を深める大きな力になります。

  1. 「相互の成長」を目指す意識を持つ
    哲学者ハンス・ゲオルク・ガダマーは、「私たちは対話を通じて共に成長する」と述べました。信頼関係は一方的に築くものではなく、相互に学び合い、成長していく中で育まれるものです。

たとえば、先輩から多くを学ぶだけでなく、自分の気づきやアイデアを共有することで、相手に新しい視点を提供することもできます。「学び合い、助け合う関係」を目指すことで、自然と信頼が深まり、お互いを高め合えるパートナーシップが生まれます。信頼とは、単なる頼り合いではなく、共に成長する道筋なのです。

まとめ
先輩職員との信頼関係を築くためには、「尊敬」「聴く力」「小さな行動」「自分からの歩み寄り」、そして「相互の成長」という5つのポイントが鍵となります。それらを日々の実践の中で少しずつ取り入れることで、先輩との距離が自然と縮まり、信頼に溢れた関係を築くことができるでしょう。


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