18.システム理論を活用したケアマネジメント


2025.05.16 |投稿者:神内秀之介

「システム理論」って何?ケアマネジメントにどう役立つの?

こんにちは、新人介護支援専門員の皆さん!
ケアマネージャーの仕事は、利用者さんや家族、多職種との関係性を調整しながら、支援を進めるマルチな役割を担っていますよね。そんな中で「うまく全体をまとめられない…」と感じることもあるかもしれません。

そんな時、役立つ考え方の1つが「システム理論」です。システム理論は、ソーシャルワークやケアマネジメントにおける重要なフレームワークの1つで、個人を「その人を取り巻く環境の一部」として捉え、全体的に支援を考える視点を提供します。

このコラムでは、システム理論を活用したケアマネジメントの基本と、すぐに実践できるポイントを分かりやすくお伝えします!


1. システム理論とは?

システム理論の基本的な考え方は、「すべての要素はつながり合い、相互作用している」というものです。利用者さんの生活を個人だけでなく、家族や地域、社会全体の「システム」の中で捉えることで、より効果的な支援を行うことができます。

システム理論では、以下のような構造が考えられます:

  • 個人システム
    • 利用者さん自身の健康状態、能力、感情、価値観など。
  • 家族システム
    • 家族全体の関係性(支援者、介護者、心理的負担など)。
  • 地域・社会システム
    • 地域コミュニティ、福祉サービス、医療機関、行政など。

これらの全体が一つの「システム」として相互に影響を与え合い、利用者さんの生活が成り立っています。


2. システム理論を活用したケアマネジメントの視点

システム理論を活用することで、ケアマネジメントに以下のような視点を持つことができます:


① 問題を「全体」で捉える
例えば、利用者さんの「食事を拒否する」という問題があった場合、個人の身体状況だけでなく、次のような環境全体を見て考えます:

  • 家族がどのように食事を提供しているか?
  • コミュニケーションに問題があるのではないか?
  • 食事を楽しめる雰囲気や環境が整っているか?

全体を俯瞰することで、より効果的な解決策が見つかります。


② 各システム間のつながりを強化する
利用者さんのために、家族や地域、福祉サービスが連携して機能するよう調整します。たとえば:

  • 家族が利用者さんの支援に無理なく関われるよう、デイサービスを活用する。
  • 地域のボランティア活動に参加することで、社会とのつながりをつくる。

ケアマネージャーは、異なるシステム間の「橋渡し役」として活躍することが求められます!


③ 問題だけでなく「強み」に目を向ける
システム理論では、問題だけでなく、システム全体の中にある「強み」や「資源」に目を向けることが重要です。

  • 地域に信頼できる訪問看護師がいる。
  • 家族の中に特にコミュニケーションが得意な人がいる。
  • 利用者さんが趣味や興味を持ち続けている。

こうした強みを活かすことで、支援はよりポジティブなものになります。


3. 実践で役立つ!システム理論を活かすヒント


① 利用者さんを「システムの中心」に据える
ケアプランを作成する際は、利用者さん自身をシステムの中心に置き、すべての調整を「本人の希望」に基づいて行います。
例:

  • 利用者さんが「家で生活したい」という希望を持つ場合、自宅での生活を支えるために「家族」「地域」「サービス」をどう活用するかを考える。

② チームでの連携を円滑にする
多職種連携は、システム理論の実践において非常に重要です。

  • 情報共有を定期的に行い、全員が同じ方向を向いて進めるよう調整する。
  • 他職種の意見を積極的に聞き、必要に応じて調整役として動く。

③ システム全体のバランスを調整する
例えば、家族が支援に疲れている場合、その負担を軽減するための外部リソース(訪問介護、ショートステイなど)を提案します。システム全体の「バランス」を整えることが、長期的な安定につながります。


4. 成功事例:システム理論を活用した支援


事例:要介護3の利用者Cさん(80代・男性)のケース

  • 課題:Cさんは在宅生活を希望しているが、家族(妻)は高齢で介護疲れが進行。地域とのつながりもほぼない状態。
  • 対応:システム理論を用いて環境を調整した結果、以下のような支援を実現:
    • 訪問介護サービスを導入し、家事負担を軽減。
    • 地域のデイサービスを提案し、Cさんの社会的つながりを再構築。
    • 家族にもレスパイトケア(介護者休息サービス)を利用してもらい、負担を軽減。

結果として、Cさんの在宅生活が実現し、家族も笑顔を取り戻しました。


5. 新人ケアマネージャーへのエール

システム理論は、最初は少し複雑に感じるかもしれませんが、日々の支援に取り入れることで「利用者さんを全体で支える視点」が自然に身についてきます。焦らず、システム全体を見渡す練習を少しずつ続けてみてください!


今日のまとめ:システム理論を活用したケアマネジメント

  • システム理論とは?
    • 利用者さんを取り巻く環境全体を「システム」として捉え、相互作用を意識する考え方。
  • 活用のポイント
    • 問題を「全体」で捉える。
    • 利用者さんを中心に、各システム間のつながりを強化する。
    • 問題だけでなく、環境の「強み」を活かす。
  • 実践のヒント
    • 利用者さんを中心に据えたケアプラン作成。
    • チーム連携を大切にし、情報共有を徹底する。
    • システム全体のバランスを調整する視点を持つ。

最後にひとこと!

「システム全体を動かす視点を持つと、支援の可能性がぐんと広がる。」

新人ケアマネでも大丈夫!少しずつ練習して、利用者さんの生活を豊かにする「つなぎ手」として成長していきましょう。

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