古い施設・事業所の価値を見直す


2025.04.28 |投稿者:神内秀之介

介護の現場では、「古い施設だから…」「昔ながらのやり方が多い」といった声を耳にすることがあります。新しい施設や最新の設備を備えた場所が注目される中で、古い施設や事業所は時に「時代遅れ」と見なされることもあるかもしれません。しかし、フランスの人類学者クロード・レヴィ=ストロースの哲学を通じて考えると、そのような見方には新たな視点を加えることができるのです。

一見無意味に見えるものにも構造がある
レヴィ=ストロースは、一見無意味に見える未開社会のしきたりや習慣も、実は非常に高度な構造や意味があると説きました。同じように、古い施設や事業所にある「昔ながらのやり方」や「古いシステム」も、よくよく見てみると、それなりの理由や背景があり、そこに価値を見出すことができます。例えば、人の手による細やかなケアが今も根強く残っていたり、長年培われたスタッフ同士の信頼感が、利用者さんへの安心感につながっているかもしれません。

変化の中で「勝ち組」と「負け組」が入れ替わる
社会が変化する中で、最新の設備や新しいやり方が勝ち組だと思われていたとしても、それが永続するとは限りません。例えば、技術重視の施設がトラブルで運営が停滞する一方で、古い施設が人と人との絆を活かしたアナログなケアで利用者さんの信頼を得ることもあります。そのように、変化の中で「勝ち組」「負け組」が入れ替わることがあるという視点を持つと、古い施設ややり方に潜む強みを見直すきっかけになるでしょう。

根底のルールは同じでも表層は変化する
レヴィ=ストロースは、社会の根底にあるルールや構造は変わらなくても、表層部分は時代とともに変化すると考えました。同じく、介護の本質――「人を思いやり、支える」というルールは変わりませんが、それをどう実現するかという表層部分は、新しい技術や考え方に柔軟に適応していく必要があります。古い施設であっても、そこにある価値を守りながら、新しいアイデアやICTを取り入れることで、さらに魅力的な事業所へと進化することができるのです。

まとめ
古い施設や事業所に目を向けると、一見時代遅れに見える部分にも、実はその場所ならではの強みや価値が隠れています。レヴィ=ストロースが示したように、変化する社会の中で、何が真の価値を持つのかを見極め、それを活かしていくことが大切です。古い施設でも、根底に流れる「人をケアする」という本質を大切にしながら、新しい変化を取り入れていきましょう。


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