❖人材確保は、個別の課題ではなく・・・業界全体で


2021.12.28 |投稿者:神内秀之介

 そもそも人材というよりは、若年介護労働者は今後、全くいないと言っていいほどの厳しい現実は前回のブログで確認できたと思います。D X(デジタルトランスフォーメーション)という大きな渦のなか将来的な産業構造が劇的に変化する中で、人がしなければならない・人が直接取り組む仕事が減っていき、介護や福祉のような最後の最後まで人と人との直接的な関係が必要な仕事が、魅力ある業界であり続けることが重要である事は百も承知だと思います。

 そのためには、本質的な魅力の発信と、誤ったイメージの払拭が重要であることは、こちらも前回のブログでお伝えしたところです。

 そこでまずは人材確保の現状を再確認し採用管理と離職者を出さない定着管理について必要があれば着手してみては如何でしょうか。これまでの考え方・方法を少し変えるだけでも効果があるかも知れません。現状に目を向けてじっくりと、しかしスピード感を持って見直してみましょう。

 事業所の雇用管理は、いうまでもなく採用と定着が重要なポイントとなります。 採用し、定着して長く活躍してもらうためには、施設・事業所が求める人材を募集・採用し、その方が活躍できる環境に配属(着任)させることが重要です。

 募集をする際に求職者にとって魅力となるのは労働条件や環境などの就労条件です。もちろん環境には人間関係なども大きく影響します。長期的な視点の下では、育成や評価・ 処遇などのキャリアパス、さらには、経営理念の共有や事業所の価値観の共有が、定着率向上の重要な要素となります。

 例えば、○求人募集を出しているのに応募がない・・・○求人票に何を書いて良いのかわからない・・・○どの媒体に求人票を出せば良いのかわからない・・・○採用したい人材のイメージが湧かない・・というような「採用」に関する悩みがあれば、これまで施設や事業所で行ってきた採用管理の取り組みについて、改善の余地がないかどうか検討してみましょう。

 採用管理には大きく分けると、「募集」と「選考」があります。まず、募集では、表示内容について工夫する必要があります。施設・事業所の求人を求職者がみて「よし、ここに応募しよう」と思うような内容となっているでしょうか。もし、ピンとこない感じがあれば、内容表示を具体的に工夫する必要があります。

 「賃金などの求人条件を明確にする」ことはもちろんですが、「求職者側が知りたい施設や事業所情報を公開する」。求職者側が知りたい情報が何かわからない時は、遠慮なく新人や外部の方に聞いてみることも良いと思います。また、「一緒に働くスタッフや職場のイメージをしっかりと伝える」ことや「施設や事業所の魅力をしっかりとアピールする」ことを躊躇わずに行うことも大切です。

 ここでも自分の施設・事業所の魅力がわからない、または魅力なんてないとおっしゃる方もいらっしゃるかもかも知れません。が、必ず一つ二つと自慢できる魅力があります。しっかりと自分の施設・事業所の魅力を把握し発信しましょう。

 魅力の把握や具体的な発信内容の工夫できても、それだけでは求職者へは伝わりません。どの求人媒体を活用するかについても検討することが必要です。ハローワーク、求人広告、WEB・SNSなど多くの媒体がありますが、採用したい人材層が利用していて効果的にアピールできるものは何か、応募者の反応が高いものは何かなどの観点から検討していくことが必要です。

 今はなんでもWEBで検索だと思っていても、実際には中高齢者層には刺さらないこともあります。新聞広告や折込・フリーペーパー(最近はコロナ禍で手に取る人も限られていますが)などが有効な場合があります。

 また、若年求人者に伝わるように単純にホームページを作成しても、検索され見てもらえないといつまでも情報は伝わりません。年齢層によってもFacebookが良いのか、Twitterが良いのかInstagram・YouTubeが良いのかそれぞれです。さらに検索などがされるためには、日頃から地域や社会一般などの外部に施設や事業所のP R(Public Relations)をして、施設・事業所の認知度や好感度を上げる取り組みを地道に続けていることも、求人をする際に効果を発揮することがあります。検討・工夫してみてはいかがでしょうか。

 次に選考の段階のことを見てみると、募集活動に対して応募があったときに、その応募者に対して、どのように対応しているでしょうか。人手不足のために「応募者をとりあえず採用していく」という考えで、選考をおざなりにしてしまうと、結局採用後にミスマッチによる早期離職や職員間のトラブルに繋がり、全体的にみると無駄な時間と労力を使ってしまうことがあります。

 人員基準が決まっている業態なので、どうしても早期に採用し頭数を揃えなくてはならないことも、ままあるとは思いますが、そこは我慢のしどころで、採用時には仕事の内容や労働条件の説明を丁寧に行い、正直あまり良くない・課題を抱えていると施設・事業者側が感じている話題でも求職者が気になるようなことは正直に事前説明する努力をすることは、後々のため定着につながる重要なポイントとなってきます。

 また、募集している人材のメインターゲットの見直しをすることも、募集枠や選考基準に影響します。これまで、未経験者や無資格は採用しなかったが、育成を見直して採用しようであるとか、長時間や長期雇用が必須としていたところを計画的に短時間や短期間でも採用しようなど、受け入れる側の体制を見直すことは採用拡大につながる有効な方法です。ぜひこの視点も取り入れて検討してみましょう。

 採用につながった、または全然採用できなくて現状維持をしなくてはいけない状況なのに、○折角採用してもすぐに離職してしまう。○同じ職種や部署などで離職が続く。○スタッフが辞める理由が、人事評価や処遇などの不満をよく聞く。○施設・事業所内研修・教育において基準に求められる法定研修を最低限しているだけだとか、能力や専門性向上に注力していて、人材定着の視点がかけているなど。このような事柄に気にかかることがあれば、定着管理に何かしら改善の余地があるかもしれません。

 定着管理には、大きく「配置・配属」、「評価・処遇」、「教育訓練・能力開発」それぞれを施設・事業所の現状にあわせてバランス良く注力する必要があります。

 スタッフが早期に離職してしまうことがある場合には、初めの採用時点でのミスマッチが原因のことも多いですが、採用担当者(面接者)と現場のニーズが合っていないことや、採用し配属後は現場任せになってしまい、現場では業務が忙しく採用者の受け入れに配慮ができないという配置・配属が原因によるケースが見受けられます。

 経験者であればなんとか自分で業務などを見つけ出し居場所や必要性をつかめるかも知れませんが、経験者であっても「自分は歓迎されていないのではないか、受け入れられていない」と感じて早期に退職を決意してしまうこともあります。

 特にあらゆるアンケートなどでも退職理由の上位には職場の雰囲気やコミュニケーションが上がっています。新規の採用者には、全ての既存のスタッフが貴重な仲間・人材として大切に受け入れる姿勢を示す、配慮することが重要です。

 「とりあえず、入居者や利用者のコミュニケーションの相手をしておいては厳禁です。」残念な結果がやってきます。

 評価・処遇について、「スタッフが正当に評価されていると感じられる納得性のある人事評価が行われているか」、「将来展望が持てるキャリアパス・ラダーなどが見えているか」、「長期勤続者に対する思いやりがあるか」など、単に現状の賃金・給与だけではない施設・事業所としてのスタッフに対する職員を大切にしているメッセージの発信・可視化が重要です。

 また、教育訓練・能力開発では、特に早期離職防止に配慮した新人教育を採用時だけではなく、採用時から3年から5年ぐらいは重点的にできる体制を整備することや、必ず教育訓練や能力開発後には、スタッフが育てられている・成長していると実感できる仕組みや体制が構築されることが重要です。

 すでに今回お伝えしたようなことはすでに取り組み済みで、そのような視点・考え方で具体的に随時改善しているところも多いかと思います。ただ、管理やマネジメント業務ができる人材が現場でプレイングマネジャになっている場合などは、わかっていてもなかなか取り組めない状況もあろうかと思います。

 これまでの連載の中でお伝えしてきたI C Tソリューションを活用した業務などの効率は決して人減らしのツール(道具)ではありません。今回のような現場の改善や新しいことに取り組む際には、必ず時間の創出が必要となります。

 その際には、アナログ的に人海戦術で行うことも良いのですが、今は様々な人事系の管理ソフトやアプリも開発されています。業界専用となっていないところもありますが、上手に活用すると随分と楽になることもあります。楽は悪ではありません。そんなところもI C TやA Iの活用を検討してみてはいかがでしょうか。


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