福祉サービス第三者評価ガイドラインを活用した介護事業経営~アセスメントを活かした「個別計画」で利用者の生活を支える~


2025.09.10 |投稿者:神内秀之介

介護現場において、利用者一人ひとりのニーズに応じた福祉サービスを提供するためには、しっかりとしたアセスメントを行い、それにもとづく個別計画を策定することが鍵となります。福祉サービス第三者評価ガイドラインの「Ⅲ-2-(2)-①」では、アセスメントを基に適切に個別的なサービス計画を策定することの重要性が掲げられています。
「一人ひとり違うからこそ、最適なケア計画を」。この考えを中心に、個別計画の策定プロセスについて一緒に深めていきましょう。

  1. 個別計画の重要性とは?
    福祉サービスの実施における「個別的な計画」は、利用者が自分らしい生活を送るための道しるべとなります。個別計画の策定が適切に行われることで:
    • 利用者の本当のニーズを把握
    アセスメントを通じて、利用者が何を望み、生活をどのように改善したいかをきちんと掴むことができます。
    • 目標が明確になる
    個別計画には「目指すべきゴール」を明記するため、利用者・職員双方が実施するサービスの意義を明確に理解できます。
    • ケアの質の向上
    利用者ごとの計画があることで、画一的なケアではなく、個別にカスタマイズされたサービスの提供が可能となります。
    個別計画はただの「書類」ではなく、利用者の人生のサポートを形にする大切な「約束」なのです。
  2. アセスメントを活かした個別計画策定の流れ
    適切な個別計画を策定するためには、以下の流れを踏むことが重要です:
    ① アセスメントの実施
    利用者の生活全般や背景を把握するために、包括的なアセスメントを実施します。
    • 生活の状況:食事・入浴・排泄などの日常生活動作(ADL)を細かく把握。
    • 身体的・精神的状況:健康状態や、心のケアが必要な部分を明確にする。
    • 趣味や希望:個々が楽しめる活動や生活の目標を引き出す。
    具体的な質問を交え、利用者の声をしっかり聞くことが大切です。
    ② サービス計画の策定
    アセスメントで得られた情報を基に、具体的で実現可能な個別計画を作成します。
    • 目標設定:「利用者がどうありたいか」をゴールとして設定(例:「一人で歩く距離を50m伸ばしたい」)。
    • サービスの具体化:どのような支援が必要かを細分化して記載(例:「週3回リハビリトレーニングを実施」)。
    • 関係者との相談・合意:利用者本人や家族とも内容をしっかり共有し、納得を得る。
    ③ 定期的な見直しとモニタリング
    サービス計画は策定したら終わりではなく、定期的に見直すことで、ニーズの変化に対応します。
    • モニタリングを習慣化:利用者の状態や計画内容が適切かを定期的に確認。
    • 継続的改善:課題が見つかった場合には、計画を柔軟に変更する。
  3. 現場で活かす個別計画策定のポイント
    ① 利用者を中心に考える
    計画の中には、利用者の「想い」や「希望」が盛り込まれている必要があります。「利用者目線」を意識することで、質の高い計画が生まれます。
    • 利用者にとって「何ができるようになると嬉しいか」を考える。
    • 家族とのコミュニケーションを通じて、利用者の背景や深いニーズを共有する。
    ② チームでの連携を意識する
    利用者に対するサービスは、職員一人ではなくチーム全体で提供するものです。情報の共有が欠かせません。
    • チームミーティングで利用者ごとのサービス方針を共有する。
    • 記録や報告を徹底し、誰でもスムーズにフォローできる仕組みを作る。
    ③ 見える化で実効性を高める
    策定した計画を職員全員が意識しやすい形にすることもポイントです。
    • 見やすいフォーマットで計画を作成。
    • 履行状況を記録したチェックリストを導入。
  4. 個別計画の成功事例
    事例①:リハビリテーションの目標設定によるやる気向上
    70代の男性利用者が「ひとりで庭に出たい」という希望をアセスメントで語りました。その想いを目標としてサービス計画に明記。週3回のリハビリを組み込み、3か月後には庭への往復が実現。目標が明確になることで、モチベーションが高まりました。
    事例②:苦情を契機に計画を見直し改善
    ある利用者が「もっと自由に散歩がしたい」という意見を表明。この声をきっかけにアセスメントを実施し、計画を見直しました。結果、新しい案内ルートを作成したことで利用者だけでなく全体の満足度もアップしました。
  5. 朝10分で個別計画意識を高める方法
    • 昨日のアセスメント内容を振り返る:利用者の気持ちや気づきが計画に反映されているか確認。
    • 課題共有のミニミーティング:今後のモニタリングで注意すべき部分を職員間で共有。
    • 利用者の声を短く共有:「○○さんの希望としてこんなゴールを設定した」というサクセスストーリーを朝礼で話す。
    朝の短い時間を活用し、職員全員の意識をそろえることで、計画の実効性はさらに向上します。

まとめ
アセスメントを基にした個別の福祉サービス実施計画は、利用者が自分らしい生活を送るための土台を支える重要な役割を果たします。その計画が適切であれば、利用者だけでなく家族や職員にも満足感が生まれ、施設全体の信頼も高まります。
「利用者の想いを形にし、未来を支える計画を」。
その心構えを胸に、今日の朝10分を計画実行の第一歩として活用してみませんか? 小さな行動が、利用者の笑顔につながる大きな変化を生み出します。

#福祉サービス第三者評価を広げたい


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