43.緊急時連絡体制の整備と訓練方法


2025.09.08 |投稿者:神内秀之介

〜主任ケアマネジャーが築く「つながる支援の基盤」〜
災害や事故といった緊急時には、迅速で正確な情報共有と適切な初動対応が命を守る鍵となります。このような状況で最も重要な役割を果たすのが「緊急時連絡体制」です。特に主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)としては、緊急時に備えて連絡体制を整備し、関係者間の連携をスムーズにする責任があります。
さらに、連絡体制を作るだけでなく、実際に機能するかどうか定期的に確認し、チーム全体で訓練を重ねることが重要です。今回は、緊急時連絡体制の整備と、その実効性を高めるための訓練方法について、ソーシャルワークの視点から考えてみましょう。

1️⃣ 緊急時連絡体制の意義とは?
緊急時連絡体制とは、災害発生時や利用者の急変時などに迅速かつ情報漏れなく関係者と連絡を取り合い、適切な対応を行うための仕組みです。この体制が整っていないと、対応の遅れや混乱が発生し、利用者の安全性に大きなリスクが伴います。
• 緊急時連絡体制の役割
o 迅速な情報共有:発生した事態や状況を関係者間で早急に共有する。
o 対応の指揮と調整:責任者が迅速に指示を出し、的確な対応が行えるよう調整する。
o チーム連携の強化:全員が役割を把握し、混乱なく協力し合える体制を構築する。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「協働(Collaboration)」の理念をもとに、支援者間の連携を強化し、必要な支援を適切に提供できる体制を整えましょう。

2️⃣ 緊急時連絡体制の整備に必要なもの
効果的な緊急時連絡体制を整備するには、実際の現場で機能する具体的な手順や仕組みを構築する必要があります。
• 連絡体制の整備に必要なステップ
o 関係者の連絡先リストを作成する
利用者本人、家族、主治医、介護サービス事業者、地域包括支援センターなどの連絡先を一覧化する。
例: 緊急時連絡先リスト(表形式で名前、電話番号、連絡の優先順位を記載)。
o 連絡の優先順位を決める
利用者の状態や事態の深刻度に応じ、誰にまず連絡すべきか優先順位を明確にする。
例: (1)家族 → (2)主治医 → (3)地域包括支援センター
o 連絡体制のフロー図を作成する
トラブル発生時の具体的な連絡手順を図示し、誰がどのタイミングで何をすべきかを明確化する。
o 緊急時用のツールを用意する
多人数での同時連絡が可能なLINE WORKSやSlackなどの連絡アプリを導入する。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「効率性(Efficiency)」を意識し、関係者間の無駄がないスムーズな連絡体制を構築しましょう。

3️⃣ 緊急時の訓練の重要性
連絡体制が整備されていても、緊急時に機能しなければ意味がありません。そのため、定期的な訓練を実施し、体制の不備や課題を明らかにすることが重要です。
• 訓練の種類
o 机上訓練:想定シナリオに基づいて連絡の流れや対応を確認し、全体の理解度を深める。
o 実地訓練:実際に連絡や避難行動を行い、対応力を向上させる。
• 訓練の実施手順
o シナリオを作成する
災害発生時や利用者急変などの状況を想定し、対応フローを訓練で確認する。
o ルールに基づいて行動する
訓練時には、作成したフローやルールに従い、全員で連携しながら実施。
o 訓練後の振り返りを行う
訓練後にチーム全員で課題や改善点を共有し、次回に活かす。
• 訓練の工夫例
o 訓練中にタイムを計測し、対応スピードを具体的にチェックする。
o スタッフが交替でリーダー役を担当し、リーダーシップの強化を図る。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「予防(Prevention)」を基軸にした訓練で、リスクを最小限に抑える取り組みを行いましょう。

4️⃣ 連絡体制がもたらす利用者の安心感
緊急時連絡体制がしっかりと整備されていることは、利用者や家族が「緊急時でも自分たちは支えられる」という安心感を得る大きな要素となります。
• 利用者や家族への配慮ポイント
o 連絡体制についての説明
「何かあった際にはこのように対応する」という手順を事前に伝える。
o 訓練の見学や参加
家族が訓練を見学できるようにし、連絡体制や行動についての理解を深める機会を提供する。
o 意見や要望を聞き入れる
家族や利用者から出された意見を反映し、体制を柔軟に見直す。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「共感(Empathy)」を重視し、利用者や家族が持つ緊急時に対する不安を解消する姿勢を示しましょう。

5️⃣ 緊急時連絡体制を運用し続けるために
緊急時連絡体制は、一度整備すれば終わりではありません。継続的な運用と改善が必要です。そのためには、体制が機能しているかを常にモニタリングし、適宜改善する仕組みが求められます。
• 体制の維持と改善方法
o 定期的な見直し:利用者状況や相談員の配置変更など、環境の変化に応じて体制を見直す。
o 定期報告の作成:訓練や緊急時の記録を振り返り、成功例や教訓を共有する。
o 新しい技術の導入:より迅速で効果的な支援が可能となるツールや手法の導入を検討する。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「プロセス志向(Process-Oriented)」を意識し、変化する現場ニーズに合わせて連絡体制を更新し続けましょう。

🌟 最後に:安心と信頼の基盤としての連絡体制
緊急時連絡体制は、利用者の命や安全を守るための「命綱」であると同時に、利用者や家族に安心感を提供する信頼の基盤でもあります。主任ケアマネジャーとして、この体制を整備し訓練を重ねることで、災害や予期せぬ事態にも落ち着いて対応できるチームを育てることができます。
ソーシャルワークの理念を中心に据え、利用者や家族、そして地域全体が安心して過ごせる仕組みを構築してください。その取り組みが、支援現場を超えた地域福祉の発展にも繋がっていくでしょう!


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