福祉サービス第三者評価ガイドラインを活用した介護事業経営~感染症予防と安全確保の体制づくりで利用者に安心を届ける~
2025.09.06 |投稿者:神内秀之介
介護施設では、高齢者や免疫力の低い方々が多く生活するため、感染症の予防と対応は極めて重要です。特に近年では、感染症の発生が施設全体に与える影響が大きく、迅速な対応が求められています。福祉サービス第三者評価ガイドラインの「Ⅲ-1-(5)-②」では、感染症予防と発生時の利用者の安全確保に向けた体制づくりと取り組みの重要性が強調されています。
では、感染症予防と迅速な対応のためには、どのような体制を整え、日常的な取り組みを行っていくべきなのでしょうか?
- 感染症対策が介護施設にとって重要な理由
感染症が発生すると、利用者の健康に重大な影響を及ぼすだけでなく、施設の運営自体が困難になるリスクがあります。適切な予防と迅速な対応体制が整備されている施設では:
• 利用者や家族に「ここは安心して任せられる」と感じてもらえます。
• 感染拡大を未然に防ぐことで、利用者の安全と職員の働きやすさが守られます。
• 万が一発生しても迅速な対応が取れることで、大きな混乱を防止できます。
感染症対策は、施設全体の信頼と安定した運営を支える基盤といえます。 - 感染症予防と対応のために必要な体制づくり
① 感染症対策マニュアルの整備
感染症が発生した場合に備えて、具体的かつ詳細なマニュアルを整備します。
• 感染予防の基本ルール:手洗い・マスク着用・アルコール消毒の徹底。
• 発生時の対応フロー:感染者が発生した場合の隔離手順、濃厚接触者の対応、医療機関や保健所への連絡フォームを明確に。
• 感染予防グッズの備蓄:マスク、手袋、ガウン、消毒液などが常に十分な量用意されているか定期的に確認。
② 定期的な研修と実地訓練
職員全員が感染症対策の重要性や正しい対応を理解していることが大切です。
• 感染症対策研修:感染症知識、予防策、発生時の対応方法を学ぶ場を定期的に設ける。
• シミュレーション訓練:感染者が出た場合を想定した避難動線の確認や、隔離手順の実地トレーニング。
③ 情報共有と周知徹底
感染症に関する最新の情報を職員や利用者、家族にタイムリーに共有します。
• 医療機関や保健所と連携し、地域での感染状況や新たな予防策を把握。
• 利用者や家族に対しては、施設の取り組みを定期的に説明し、安心感を与える。 - 日常的な予防対策の積み重ねが鍵
感染症対策は、発生時の対応だけでなく、日常的な予防が何より大切です。特に以下のポイントを習慣化しましょう:
① 衛生管理の徹底
• 手指消毒や手洗いを、利用者・職員の両方が習慣化する。
• 共用部分(ドアノブ、手すりなど)の定期的な消毒を行う。
② 健康チェック
• 利用者と職員の健康状態を毎日記録し、体温や体調変化に迅速に対応する。
• 少しでも異変があれば、すぐに上長や医療機関に相談する仕組みを作る。
③ 換気の習慣化
• 屋内の空気を清浄に保つため、定期的に換気を行う。特に密閉空間の空気環境を意識する。 - 利用者と家族の信頼を高める取り組み
感染症対策の取り組みは、利用者やそのご家族にわかりやすく伝えることで信頼関係を深めることにつながります。
• 定期報告:感染対策の取り組み内容を、ニュースレターや掲示物で定期的に知らせる。
• 予防策の協力依頼:手洗いや消毒を利用者や家族にも協力してもらい、施設全体で予防意識を高める。
• 丁寧な説明:感染予防の基本ルールや施設内での対応について、利用者や家族の疑問に丁寧に答える。 - 朝10分でできること
忙しい毎日の中でも、朝の10分を活用して感染症対策を考える時間に充てることができます。例えば:
• 健康状態の確認:利用者や職員の体温・体調変化を共有し合う。
• 消毒ポイントの確認:職員全員で施設内の消毒が行き届いているか話し合い、重点的に消毒すべき場所を確認。
• 日々の対策の振り返り:「昨日の対応で不足していた点はないか?」をチームで話し合う。
小さな努力の積み重ねが、大きな安全を守る力になります。
まとめ
感染症対策の体制整備は、利用者の命を守り、ご家族に安心を提供するために欠かせない取り組みです。日々の小さな行動や予防意識の積み重ねが、大きな安心感を生み出します。また、迅速な対応体制が整った施設は、「信頼できる施設」として利用者や地域社会から支持されます。
「日々積み重ねる行動で、安心の未来をつくる」。朝の10分から始める小さな感染症対策の取り組みを積み重ね、より安全な施設運営を目指してみましょう!
#福祉サービス第三者評価を広げたい