福祉サービス第三者評価ガイドラインを活用した介護事業経営~利用者の安心と安全を守るリスクマネジメント体制を構築する~


2025.09.05 |投稿者:神内秀之介

介護事業において、利用者が安心してサービスを利用し、安全な環境で過ごせるようにすることは、施設の最も重要な義務の一つです。そのためには、予期せぬ事故やトラブルに対応するリスクマネジメント体制の構築が欠かせません。福祉サービス第三者評価ガイドラインの「Ⅲ-1-(5)-①」では、安心・安全なサービス提供を目的としたリスク管理の仕組みを整える必要性が強調されています。
では、リスクマネジメント体制をどのように構築し、実践していけば良いのでしょうか?一緒に考えていきましょう。

  1. リスクマネジメントの重要性とは?
    リスクマネジメントとは、施設内外で起こりうるリスクを予見し、事故の発生を未然に防ぐための措置を講じること、そして万が一の際にも迅速に対応できる体制を整えることです。
    もしリスク管理が行われていない場合:
    • 利用者やその家族に「この施設は危ない」と思われ、信頼が損なわれる可能性があります。
    • 職員がトラブル解決に追われ、サービス提供の質が低下することにもつながります。
    一方で、適切なリスク管理が行われている施設は、利用者への安心感を提供し、職員も働きやすい環境を作ることができます。
  2. リスクマネジメント体制を構築するポイント
    ① リスクアセスメントの実施
    リスクマネジメントの基本は、施設内外で発生しうるリスクを洗い出し、優先的に対策を取るべき箇所を明確にすることです。
    • 物理的なリスク:転倒しやすい床、老朽化した設備や家具、動線の不備など。
    • 人的なリスク:利用者間の衝突や職員のヒューマンエラー。
    • 環境的なリスク:災害(台風・地震など)に対する備えの不足。
    ② リスクマニュアルの作成
    リスクを整理した後、その対応策を文書化したマニュアルを作成します。
    • フローチャート形式で分かりやすく、職員全員が即座に理解できる内容にする。
    • 「緊急連絡先一覧」や「災害発生時の役割分担」などを明記し、実践しやすい形にする。
    ③ 定期的な訓練・研修の実施
    マニュアルがあるだけでは実際の現場で機能しないこともあります。そのため、定期的に研修を行ってシミュレーションや実地訓練を取り入れます。
    • 緊急対応訓練:地震や火災の避難訓練、医療的な事故対応の訓練。
    • ケーススタディ研修:実際に起こったケースを例に、解決策をディスカッションする。
    ④ リアルタイムの情報共有
    日々の業務中にリスクの「芽」が見つかった場合、すぐに情報共有できる仕組みを整えることが大切です。
    • 職員間のコミュニケーションツールを活用(ホワイトボードやアプリなど)。
    • 事故やヒヤリ・ハット事例を共有する環境を作り、全員で意識を高める。
  3. リスク管理の「現場力」を高める取り組み
    リスクマネジメント体制を現場で実際に機能させるためには、利用者や職員の日常に組み込む仕組みが必要です。実例をいくつかご紹介します:
    • 日々のリスクチェックリストの活用
    毎日のルーティーンとして利用者の健康状態や施設設備の点検を行い、小さな異常が見逃されないようにする。
    • ヒヤリ・ハット事例共有会の実施
    職員が体験した「大きな事故になりかねなかった」事例を月に1度共有し、再発防止を徹底。
    • 利用者・家族との話し合い
    定期的に家族を交えたミーティングを行い、安全面に関する意見を収集するとともに、施設の取り組みをアピールする。
  4. 朝10分でできること
    忙しい日々の中でも、朝の10分を活用してリスク管理体制を強化するアクションを始められます。例えば:
    • 昨日のヒヤリ・ハット事例を共有:職員間で情報を簡単に共有し、早期対応を話し合う。
    • リスクチェックの習慣化:日々の点検項目を確認し、異常がないかをチェック。
    • 防災シミュレーションの一部を実施:10分程度でできる避難動線や緊急連絡体制の確認を朝礼時に行う。
    これら、小さな積み重ねがリスク回避能力を飛躍的に向上させます。
  5. 利用者への安心感を広めるために
    構築されたリスクマネジメント体制は、利用者や家族にも正しく認知されているべきです。
    • 定期的に「施設の安全管理取り組み」を周知する場を設ける(説明会やニュースレターなど)。
    • 小さな取り組みも積極的に共有することで、「利用者のことをしっかり考えてくれている」と感じてもらう。

まとめ
リスクマネジメント体制を整えることは、利用者が安心して生活できる環境を提供するだけでなく、施設全体の信頼性を高め、職員がスムーズに業務を進めるための土台となります。
「小さな兆しを見逃さず、大きな安全を創り出す」。この姿勢を大切にしながら、朝の10分から具体的な行動を始めてみませんか?利用者の安心と安全が、施設全体の未来を明るく照らします!

#福祉サービス第三者評価を広げたい


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