福祉サービス第三者評価ガイドラインを活用した介護事業経営~利用者の声を活かす「苦情解決の仕組み」で信頼される施設へ~
2025.08.31 |投稿者:神内秀之介
介護事業を運営する上で、どんなに良いサービスを提供していても、利用者やその家族からの不満や改善要求が発生することは避けられません。重要なのは、それにどのように対応し、信頼へとつなげるかです。福祉サービス第三者評価ガイドラインの「Ⅲ-1-(4)-①」では、苦情解決の仕組みが確立し、周知され、適切に機能していることの重要性が述べられています。
では、苦情対応がどのように施設経営の質を高め、信頼を築く力になるのか考えていきましょう。
- 苦情解決は「信頼づくり」の大切な一歩
苦情というとネガティブに聞こえるかもしれませんが、実は利用者から寄せられる声は、施設を改善するための「宝の山」といえます。適切に苦情を解決し、その結果を利用者に伝えるプロセスは、「この施設は私たちを大切にしてくれている」という信頼感を提供します。
また、苦情の対応次第で以下のようなメリットが得られます:
• 利用者の満足度向上:「聞いてくれる」「対応してくれる」と感じてもらえる。
• サービスの質の向上:苦情を改善点として捉え、具体的なサービス改善につなげることができる。
• 職員の意識向上:苦情の内容を共有し、全員で課題解決に取り組む事で職員の成長も促される。
苦情は、捉え方次第で「成長のチャンス」となります。 - 苦情解決の仕組みづくりのポイント
苦情解決を効果的に行うには、利用者が「声を上げやすい環境」と、それを迅速に処理する体制の両方が求められます。以下のポイントを押さえた仕組みを整えましょう:
① 苦情受付の窓口を明確に周知する
• 専任の担当者や連絡先を公表:施設内の掲示板やパンフレットに、苦情を受け付ける窓口情報を記載。
• 意見箱の設置:匿名の意見も受け付けられる環境を整えることで、利用者の声を拾いやすくする。
② 苦情対応のフローの明確化
苦情が寄せられた際の対応フローを具体的に策定。例:
• 苦情を記録する。
• 関係する職員での情報共有。
• 解決策を話し合い、実行する。
• 苦情を申し出た利用者へのフィードバックを行う。
この流れを職員全員が理解し、統一した対応ができるようにしておくことが重要です。
③ 定期的な振り返りと改善
苦情から得た改善ポイントを定期的に見直し、サービス向上策につなげる。改善内容は「私たちはこんなことを解決しました」という形で利用者や家族にも周知すると、信頼度がさらに高まります。 - 苦情解決を「機能させる」ための工夫
仕組みがあっても、それを実際に活かせなければ意味がありません。苦情解決を機能させるための取り組み例をご紹介します:
• 利用者への周知を徹底する:施設パンフレットや説明会で、苦情窓口の具体的な利用方法を積極的に紹介する。
• 苦情の年間分析を行う:どんな苦情が多いのかデータを可視化し、重点的に改善すべきポイントを明確にする。
• 職員への研修を実施する:苦情対応の基本的なスキルや考え方を学ぶ場を作り、対応スキルを向上させる。 - 苦情から信頼につながるコミュニケーション術
苦情を受けた際の対応は、単なる問題解決ではなく、信頼関係を築く貴重な対話の時間とも言えます。対応時に心がけたいポイントは以下の通りです:
• 相手の話を最後まで聞く:途中で遮らず、「受け止める姿勢」を大事にする。
• 感情に共感する:困りごとに対して「お気持ち、よくわかります」と声を掛けるだけで、相手の安心感が高まります。
• 約束した内容を必ず守る:「〇〇日までにお返事します」といった対応期限を守り、信頼を築く。
• 常に笑顔と丁寧さを忘れない:一つひとつの対応が施設全体の評価を左右します。
このように、利用者との誠実なコミュニケーションを意識することで、苦情を「信頼の機会」に変えることができます。
朝10分でできること
忙しい毎日の中でも、朝の10分を活用して苦情解決の仕組みを見直し、円滑に機能させる工夫ができます。例えば:
• 職員同士で最近の苦情や対応事例を共有:「こんな声があったけど、どう対応した?」と意見を交換。
• 苦情対応フローの確認:新人や担当者が対応に迷わないようにフローを復習。
• 意見箱のチェックと次のアクション確認:意見箱に届いた内容を振り返り、今朝からできる改善を考える。
日々のこうした小さな行動が、信頼を築く基盤となります。
まとめ
苦情対応は単なる問題解決ではなく、「利用者の声を活かして、より良い施設を築く」ための大切な取り組みの一つです。適切でスムーズな対応は、「本当に利用者を大切にしている施設だ」という信頼を生む力があります。
「利用者の声を信頼のチャンスに変える。」その姿勢を忘れずに、朝の10分からスタッフ全員で行動を始めてみましょう。その取り組みが、介護事業経営においてさらに強い絆を生む礎となります。
#福祉サービス第三者評価を広げたい