福祉サービス第三者評価ガイドラインを活用した介護事業経営~サービスの継続性を守り、利用者の安心を支える取り組み~
2025.08.29 |投稿者:神内秀之介
介護施設の変更や家庭への移行など、利用者が生活拠点やサービス内容を変える際には、福祉サービスの継続性を確保しなければなりません。その移行がスムーズでないと、利用者や家族は大きな不安を抱えることになります。福祉サービス第三者評価ガイドラインの「Ⅲ-1-(2)-③」では、こうした移行期の支援において、継続性を重視した対応の必要性が強調されています。
途中でサービスが途切れてしまわないようにするためには、どのような対応策が求められるのでしょうか?
- 福祉サービスの「継続性」がもたらす安心感
サービスの継続性を守ることは、利用者が新しい環境に安定して適応するための大切な要素です。生活が変わるとき、利用者は当然不安を感じます。その不安を和らげるには、途切れのない支援体制が必要です。
例えば:
• 同じケアの質を維持する:拠点が変わっても、これまでと同じサービス内容や品質を提供できるよう配慮する。
• 人間関係のケア:新しい施設や家庭移行後も、これまで支えてきたスタッフとの適度なコミュニケーションを保つ。
• 利用者の不安を軽減する説明:変更後も同じような生活が続けられると具体的に伝える。
これにより、利用者は「自分は守られている」と感じ、安心感を持って新たな環境へ進めます。 - サービスの継続性を確保するための対応例
サービス移行をスムーズに行い、継続性を保つためには、次のような工夫が求められます:
• 詳細な引継ぎ資料の作成
利用者の介護記録や健康情報、好みや生活リズムなどを詳細に記載し、新しい施設や家庭に正確に引き継ぐ。
• 顔合わせや事前打ち合わせ
利用者と新しい施設スタッフが事前に顔を合わせておくことで安心感が生まれます。また、家族への丁寧な情報共有も配慮が必要です。
• 移行初期のフォロー体制の確立
移行後1~2か月間は、旧施設や担当者がフォローし、利用者が新しい環境で適応できているか定期的に確認する。
• 家庭への移行支援
家庭に移行する場合は、家族との関係を密に保ち、必要なサポート(訪問介護・デイサービス等)を柔軟に提供する。家族が不安を抱えて孤立しないよう、地域包括支援センターなどと連携することも大切です。 - スタッフ間の連携が大切
サービスの継続性を守るには、スタッフ間のチーム行動が欠かせません。施設の変更や家庭への移行には多くの情報を共有する必要があり、スタッフ間での連携が滞ると利用者に不安や混乱が生じます。
職員同士のコミュニケーションを円滑にするために:
• 定期的な会議で引継ぎ情報を共有する。
• 利用者の希望や課題を職員間で統一認識する。
• 新しいスタッフへのOJTを通じて、利用者に安心感のある支援が提供できるようにする。
全員が同じ意識で対応することで、継続的なケアの流れがスムーズになります。 - 家族との信頼関係を築く
家庭移行や施設変更では、家族とのコミュニケーションが特に重要です。家族は、自分たちが新しい役割を担う状況に対して不安を持ちがちです。そのため、以下のような対応を心がけましょう:
• 事前に丁寧な説明を行う:「どんなサービスがどのように継続されるのか」を具体例を交えながら共有する。
• 介護スキルを教える場を提供:移行後のケアの基本を家族に教える研修を実施する。
• 問い合わせ窓口の設置:家族が気軽に相談できる窓口を作ることで安心感を提供する。
これにより、家族は「一人で抱え込む必要がない」と感じ、移行後の生活に前向きに臨むことができます。
朝10分でできること
忙しい現場でも、朝の10分を活用することでスムーズな移行のための準備を少しずつ進められます:
• 引継ぎ情報の確認:「利用者の大切なポイント」をスタッフ間で共有。
• 移行スケジュールの進捗確認:移行計画の進行状況を把握し、次のアクションを整理する。
• 昨日の利用者の様子を報告し合う:小さな情報共有が、新しい環境でのケアに役立つヒントになります。
小さな積み重ねが、大きな安心を作り出します。
まとめ
利用者の施設変更や家庭移行において、福祉サービスの継続性を守ることは、利用者や家族が新たな生活に安心して臨むための不可欠な要素です。これを実現するには、丁寧な引継ぎとコミュニケーション、スタッフ間の連携、家族との協力が必要です。
「移行しても安心が続く」。この考えをもとに、利用者や家族の立場に寄り添いながら、朝の10分を活用して準備を進めてみませんか? あなたの行動が、利用者の未来への安心を支える礎になります。
#福祉サービス第三者評価を広げたい