福祉サービス第三者評価ガイドラインを活用した介護事業経営~利用希望者が安心して選べる福祉サービスの「見える化」を~


2025.08.26 |投稿者:神内秀之介

介護事業において、利用希望者が自分に合ったサービスを選べるように「必要な情報」を適切に提供することは、施設の信頼度を高め、利用者との良好な関係を築く上で欠かせない取り組みです。福祉サービス第三者評価ガイドラインの「Ⅲ-1-(2)-①」では、その情報提供の重要性が強調されています。
利用希望者が安心してサービスを選び、望ましい生活をスタートさせるためには、どのような情報提供が求められるのでしょうか?

  1. 信頼の第一歩は「分かりやすい情報提供」
    利用希望者にとって、福祉サービスの特性や料金、利用条件などをきちんと理解することが施設選びの出発点です。しかし、多くの希望者は介護の専門知識を持たないため、「わかりやすさ」が情報提供のカギとなります。
    具体的には:
    • サービス内容の詳細:施設で提供される支援の具体的な内容(例:食事、入浴、リハビリの頻度)。
    • 費用の透明性:利用料金、追加費用が発生する場合、その項目を項目別に明確化。
    • 施設の特徴:他施設と差別化できるポイント(個別ケア、施設の雰囲気、充実したレクリエーションなど)。
    これらを誰でも理解しやすい形式で提示することで、利用希望者が安心して選択できる環境を作れます。
  2. 利用希望者の不安を「解消する」情報提供
    利用希望者やその家族が抱える不安を解消するには、一方通行の情報提供ではなく、対話型の対応が重要です。例えば:
    • 直接の面談や施設見学の実施:施設の現状を見てもらい、希望者が現場の雰囲気を肌で感じ取れる機会を提供する。
    • 疑問や質問の場を作る:サービス内容やルールについて細かく質問できる時間を確保。
    • 利用者や家族の事例紹介:実際に施設を利用している方の声や成功例を共有すると、利用希望者の不安が軽減されます。
    その人が何で迷っているのか、どんな不安を払拭したいのかを汲み取りながら情報を伝えることで、利用に対する信頼感を生み出します。
  3. 情報提供を支える「仕組み」作り
    利用希望者へ適切に情報を届けるためには、施設全体での仕組みづくりが不可欠です。以下の仕組みを整えることが情報提供の質向上に役立ちます:
    • 分かりやすいパンフレットやウェブサイトの作成
    o サービス内容、料金、利用手続きの流れをイラストや図解で説明。
    o ホームページではバーチャル見学や動画紹介機能を追加し、視覚的に伝える工夫をする。
    • 窓口対応の標準化
    o 職員全員が対応できるよう、利用希望者とのコミュニケーションマニュアルを準備。
    o よくある質問への回答を、誰でも提供できるように内部資料として整備。
    • 見学・体験プログラムの実施
    o 定期的に施設見学やサービス体験を行い、実際の雰囲気を体感してもらう。
    o 見学時には、施設の特徴やこだわりポイントを重点的に説明する担当者を配置する。
    情報提供のわかりやすさと適切さは、施設の信頼を示す大きな指標となります。
  4. 地域や家族との連携で「温もりのある情報」を
    利用希望者は、地域や家族と相談しながら福祉サービスを選びます。そのため、情報提供を行う際には、地域や家族への情報共有も取り入れるべきです。
    例えば:
    • 地域の医療機関や地域包括支援センターと情報を連携し、利用希望者に施設の特徴を知ってもらう。
    • 家族向けに「介護施設の選び方セミナー」など情報提供の場を設け、サービス選びのサポートをする。
    家族や地域とのつながりが深いと、利用希望者も安心感を持てるようになります。

朝10分でできること
短い時間でも以下のように情報提供の質を高めるアイデアを進められます:
• 職員で共有する時間:サービス説明のロールプレイなどを行い、対応スキルを磨く。
• 見学者向けの新しい質問項目の確認:「最近気になるポイント」を職員で話し合い、次の説明に反映。
• 施設の特徴を見直す:「うちの施設ならではの強み」を職員全員で再確認し、統一したメッセージを発信。
毎日の小さな意識付けが、希望者が「ここを選んでよかった」と思える施設運営につながります。

まとめ
利用希望者が福祉サービスの選択に迷わず、安心して自分に合った施設を見つけられるような「分かりやすい情報提供」は、介護事業経営の信頼を築く大切なポイントです。また、適切な情報提供は希望者だけでなく、家族や地域との関係性を深める機会にも繋がります。
「必要な情報を的確に、温もりを込めて届ける」。この基本姿勢を持ちながら、利用希望者とのつながりを今日から一歩ずつ広げていきましょう。朝の10分を活かし、そんな新しい行動を始めてみませんか?

#福祉サービス第三者評価を広げたい


 |  一覧に戻る | 

お問い合わせはこちら

介護経営のコンサルタント顧問契約。
経営者・理事長の経営参謀として、業務効率化から
利用者・入居者獲得まで、
様々な経営のアドバイスを行います。

営業時間:平日火曜日・水曜日・木曜日10時から16時


メールでのお問い合わせ