31.ケアマネ業務に活かすICTツールの選び方


2025.08.26 |投稿者:神内秀之介

〜主任ケアマネジャーが築く「支援の効率化と質向上」〜
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)の業務は、利用者支援、チームマネジメント、多職種連携、書類作成など多岐にわたり、効率的に進めるための工夫が必要です。その鍵となるのがICT(情報通信技術)ツールの活用です。適切なICTツールを取り入れることで、業務負担を軽減し、支援の質を向上させることが可能になります。
しかし、ICTツールを選ぶ際には「使いやすさ」や「実務への適応性」、そしてチーム全体での共有がスムーズに行えるかなどの視点が重要になります。今回は、ソーシャルワークの理念を基に、ケアマネ業務に役立つICTツールの選び方と導入のポイントを考えてみましょう。

1️⃣ ICTツール導入の目的を明確にする
ICTツールは、ただ取り入れれば良いというわけではなく、「何のために使うのか」を明確にすることが重要です。目的が曖昧なままだと、ツールが業務に逆効果となる場合もあります。
• 主な導入目的
o 業務効率化:書類作成、自動化されたスケジュール管理で事務作業の負担を軽減する。
o 情報共有の円滑化:多職種チームとの情報のやり取りをリアルタイムで行えるようにする。
o 業務の可視化:チームメンバーが誰が何を行っているか把握でき、フォローしやすくなる。
• 具体的な導入例
o 「ケアプラン作成の時間を短縮したい」→ ケアプラン作成ソフトを活用。
o 「連絡ミスを防ぎたい」→ タスク管理共有ツールを導入。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「計画性(Planning)」を念頭に置き、導入目的をチーム全員で共有して進めましょう。

2️⃣ ケアマネ業務に適したICTツールを選ぶポイント
ケアマネ業務に適したICTツールを選ぶ際には、現場のニーズや利用者支援の特性を考慮することが大切です。どんなツールが自分たちの業務に最適なのかを判断するためのポイントをご紹介します。
• 選び方のポイント
o 使いやすさ:ITに慣れていないスタッフでも簡単に操作できるツールを選ぶ。
o 多機能すぎない:必要な機能が揃いつつ、シンプルで無駄がないツールがベスト。
o リアルタイム性:情報が瞬時に共有できるか確認する。これにより、多職種連携がスムーズになる。
o セキュリティ性:個人情報を取り扱うため、セキュリティが万全なツールを選ぶ。
• おすすめのツール例
o ケア業務管理ソフト:ケアプラン作成やアセスメントの記録を効率化。
o スケジュール共有アプリ:チーム間で訪問スケジュールや会議日程を簡単に共有。
o チャットアプリ(LINE WORKS、Slackなど):業務連絡や情報共有がしやすい。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「効率性(Efficiency)」を軸に、ツールが業務にどのように役立つかを判断基準にしましょう。

3️⃣ ICTツールを導入する際の工夫
新しいツールを導入する際には、現場での抵抗や不安を減らし、スムーズに馴染ませる工夫が必要です。特に技術の導入に慣れていないメンバーをフォローする姿勢が大切です。
• 導入の工夫
o お試し期間を設ける:実際に触れる機会をつくり、スタッフに「使いこなせる」と感じてもらう。
o 簡単なマニュアルを作成する:画像付きの解説や短い動画を用意し、使い方を分かりやすく伝える。
o 相談窓口を設ける:ツールについての質問や困りごとに答えるサポート体制をつくる。
o 小規模導入から始める:最初は1部署や少人数で導入テストを行い、現場全体に広げていく。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「サポート(Support)」の姿勢を意識し、新しい技術に慣れる過程でチーム全員に安心感を与えましょう。

4️⃣ チーム全体で共有・協力する運用方法を確立する
ツールを導入しても、チームの中で使い方が統一されなければ効果を発揮できません。チーム全員が同じ基準で使えるような「運用ルール」を設け、活用の一貫性を保つことが重要です。
• 運用方法確立のポイント
o ルールを設定する:利用者名の記入方法や記録の詳細さを統一するためのルールを作成。
o 定期的なチェックを行う:記録が漏れず、正しく活用されているかを確認する。
o フィードバックを行う:ツール活用の効果や改善点をチームで話し合い、定期的に運用を見直す。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「協働(Collaboration)」を基盤に、チーム全員でツールを運用するプロセス自体を一つの連携の場と捉えましょう。

5️⃣ ICTツールを活用して得られる「時間」や「心の余裕」を支援に活かす
ICTツールは業務負担の軽減だけでなく、利用者支援に充てられる時間や心の余裕を生み出します。この余裕をどう活かすかも、主任ケアマネジャーとして考えるべきポイントです。
• 生み出した余裕の活用例
o 利用者への丁寧な対応:余裕のある時間を使い、じっくりと利用者や家族と話す時間を確保する。
o スタッフのスキルアップ:研修や勉強会に時間を充て、チーム全体の力を底上げする。
o 職場環境の改善:職員の心身の健康を優先し、働きやすい体制を整える。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「人間の尊厳と価値(Dignity and Worth of the Person)」を守り、ICTをただの道具としてではなく、支援の質を向上させる一環として活かしましょう。

🌟 最後に:ICTツールは「支援力を高めるパートナー」
主任ケアマネジャーとしての役割は、業務の効率化だけではなく、利用者やチーム全体の支援力を向上させることにあります。ICTツールは、そのための強力なパートナーとなる存在です。
ソーシャルワークの理念を基盤に、「どのようなツールが現場に最適か」「そのツールをどう活かすか」を考えながら、柔軟に導入を進めていきましょう。あなたの選んだICTツールがチーム全体の力を引き出し、より良い利用者支援に繋がる未来を築いていく鍵となるはずです。


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