30.他職種との共通言語を育てるコツ
2025.08.25 |投稿者:神内秀之介
〜主任ケアマネジャーが生む「つながる力」〜
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)は、多職種連携の中心的存在として、異なる専門家と共に利用者を支える役割を担っています。医療、福祉、介護、行政など、それぞれの専門分野には独自の用語や視点があり、時には「言葉や価値観の違い」が連携のハードルとなることもあります。
そんな時に必要なのが「他職種との共通言語」を育てる力です。共通言語を通じて多職種の間で理解を深め、一貫した支援の方向性を持つことができれば、利用者へのケアの質は格段に向上します。今回は、主任ケアマネジャーとして「他職種との共通言語を育てるコツ」をソーシャルワークの視点から考えてみましょう。
1️⃣ 共通言語は「理解をつなぐ橋」
多職種連携では、それぞれの専門分野の知識や視点の共有が求められます。しかし、それぞれの専門用語や方法論をそのまま持ち込むだけでは、かえって誤解や対立を招くこともあります。共通言語を持つことは、異なる専門性を「分かりやすい形でつなぐ橋」となります。
• 共通言語の役割
o 理解を促進:他職種が持つ専門知識や経験を、互いに分かりやすい形で共有する。
o チームの一体感を醸成:共通の用語や価値観を持つことで、同じ目標に向かいやすくなる。
o 利用者中心の支援を強化:専門性の違いを超えて利用者を中心に据えた統一感のある支援が可能になる。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「エコロジカルアプローチ」の視点を持ち、利用者を中心として周囲の専門職が協調しやすい環境づくりを心がけましょう。
2️⃣ 「わかりやすさ」が共通言語の第一歩
他職種と連携する際には、自分の専門用語や業界特有の言葉をただ使うのではなく、「誰でも分かりやすい表現」に変換することから始めましょう。言葉を簡素化するだけでなく、具体例を挙げたり、図や資料を活用したりすることも効果的です。
• わかりやすく伝える工夫
o 専門用語を噛み砕く:「アセスメント」ではなく「状況を整理する作業」と説明するなど、分かりやすい言葉に置き換える。
o 具体例を使う:「適切な自立支援」と言うよりも、「〇〇さんが朝の支度を一人でできるようになる」といった具体的な場面を描く。
o 視覚的資料を活用:図表やスライドを活用して、複雑な情報を視覚化し伝える。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「透明性(Transparency)」を意識し、曖昧さを排除しながら明確かつ平易なコミュニケーションを目指しましょう。
3️⃣ 共有すべき「共通の目標」を明確にする
チーム連携において最も重要なのは、すべてのメンバーが共有する「共通の目標」を明確にすることです。専門分野や職種は違っても、「利用者中心のケア」という共通目標を軸にすることで、言葉や視点の違いが小さな問題となります。
• 共通目標を導き出す方法
o 利用者のゴールを明確化:「〇〇さんが自宅で安心して暮らせるために必要なことは何か」といった具体的な目標を設定する。
o 課題と役割を共有:各専門職がチームの中で果たすべき役割を話し合い、共通理解を深める。
o 目的を繰り返し確認:会議などの場で、「この場の目標は〇〇です」と繰り返し共有する。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「利用者中心(Person-Centered)」の理念を大切にし、共通のゴールに向かって全員をまとめるリーダーシップを発揮しましょう。
4️⃣ 相手の言葉を理解しようとする姿勢を持つ
共通言語を育てるためには、自分の言葉を相手に分かりやすく伝えるだけでは不十分です。相手の専門用語や背景を理解しようとする努力も、質の高い連携を生む鍵となります。
• 相手の視点を知るための方法
o 疑問を持つことを恐れない:「それはどのような意味ですか?」と質問することで、新しい知識を得られる。
o 初歩的な内容から学ぶ:相手の専門書や入門資料を読むなど、基礎を学んでおく。
o 専門職の役割を尊重する:「その視点、勉強になります」と感謝やリスペクトの気持ちを伝える。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「相互理解(Mutual Understanding)」の理念を基に、多様な職種の知識や視点に敬意を払いましょう。
5️⃣ 小さな対話を積み重ねて共通文化を育てる
共通言語は、短期間で完成するものではありません。日々のコミュニケーションや対話を積み重ね、チーム独自の共通文化を育てていくプロセスが大切です。
• 共通文化を育むための工夫
o 日常的な交流を大切にする:業務だけでなく、ランチタイムや非公式な会話を通じて親しみやすい関係を築く。
o 成功例を共有する:「この前うまくいった〇〇ケース」で得た知見を話し合い、共有する。
o チームの用語を定める:「共通資料で使う用語を統一する」といったルールを明確にすると、理解が深まる。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「コミュニティ・オーガナイゼーション(Community Organization)」の考え方を活かし、独自のチーム文化を共に築いていきましょう。
🌟 最後に:共通言語がチームを強くする
他職種との共通言語づくりは、すべての支援者が利用者中心の支援を一貫して行うための「土台」となります。その過程で築かれる信頼と協力の絆は、チームの力を何倍にも広げる鍵となるでしょう。
主任ケアマネジャーとして、まずあなた自身がわかりやすい言葉を心がけるとともに、他職種の視点を学び、共有する姿勢を大切にしてください。ソーシャルワークの理念を軸に、チームを一つにつなぎ、多職種連携の力で利用者支援の未来を切り拓いていきましょう。その「言葉の橋」が地域を、そして支援を豊かにします!