29.チームにおける対話型リーダーシップ


2025.08.24 |投稿者:神内秀之介

〜主任ケアマネジャーがつくる「信頼と協働」の職場〜
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)は、職場のリーダーであるだけでなく、チーム全員が安心して働き、成長できる環境づくりの要(かなめ)となる存在です。そのリーダーシップを発揮するために、指示命令型の「トップダウン」ではなく、多職種の意見を尊重し、対話を通じて協働を促す「対話型リーダーシップ」がこれまで以上に求められています。
対話型リーダーシップとは、リーダーが一方的に決定を下すのではなく、チームメンバーと相互に意見を交換しながら意思決定を進める手法です。今回は、ソーシャルワークの理念を基に、主任ケアマネジャーとして実践すべき対話型リーダーシップのポイントをご紹介します。

1️⃣ 対話型リーダーシップとは?
対話型リーダーシップは、チームの全員が「主体的に貢献し、自分はこのチームの一員だ」と感じられる環境を目指したリーダーシップのスタイルです。リーダーとして必要な指示を与えつつも、メンバーの声に耳を傾け、共に考え最善策を模索するアプローチが特徴です。
• 対話型リーダーシップの3つの特徴
o 相互尊重:リーダーとメンバーが対等な存在として意見を交換する。
o 共に考える:リーダーが一人で答えを出すのではなく、チームで課題を共有し解決を模索する。
o 柔軟性:計画や方針の見直しを臨機応変に行い、状況に適応する能力を持つ。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「パートナーシップ(Partnership)」を基軸に、決定権や発言権を全員で共有するチームづくりを進めましょう。

2️⃣ 傾聴の力が対話を支える
対話型リーダーシップには、リーダーが「一番話す存在」である必要はありません。それよりも重要なのが「一番よく聴く存在」であることです。傾聴を通じて、メンバーが安心して意見を述べられる環境を提供することが重要です。
• 効果的な傾聴スキル
o 話を遮らず聞く:意見が全て出尽くすまで焦らず待つ。
o 感情に寄り添う:「その点、気になるのはよく分かります」と共感を示す。
o 要約し確認する:最後に、「つまりこういうことですね」と整理して確認し、相手に理解された感覚を与える。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「共感(Empathy)」を軸に、あらゆるメンバーの声を心から受け止める姿勢を持ちましょう。

3️⃣ チームの主体性を引き出す関わり方
対話型リーダーシップでは、すべてをリーダーが指示するのではなく、チームメンバーの主体性を引き出し、成長を促すことが求められます。自分で考え、行動する力が育つことで、チーム全体のパフォーマンスも向上します。
• 主体性を引き出す方法
o 意見を求める場を設ける:常に「みなさんはどう思いますか?」と問いかけ、全員が考える機会をつくる。
o フィードバックを行う:提案や意見に対して、「とても良い視点ですね」「こうしたらもっと良くなりそうです」と具体的なフィードバックを伝える。
o 小さな成功体験を重視する:些細な取り組みに対しても評価し、ポジティブな体験を積み上げる。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「エンパワメント(Empowerment)」の理念を取り入れ、メンバー一人ひとりが自信を持って行動できるようサポートしましょう。

4️⃣ 多様な意見を活かすファシリテーション
チームの中には、人によって異なる背景や専門性があります。対話型リーダーシップでは、これらの多様な視点をまとめ、チーム全体が共通のゴールに向かえるようファシリテーションを行う力が求められます。
• ファシリテーションのポイント
o 全員が発言できる場をつくる:声が大きい人だけでなく、発言しにくい人にも話す機会を与える。
o 対立を建設的に扱う:意見が異なった場合は、「それぞれの視点をどう生かせるか」を考える方向に誘導する。
o 議論を整理する:「現時点で共有できたのは〇〇ですね」と要点をまとめ、全員の理解を合わせる。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「調停(Mediation)」を意識し、対話を通じて多様な意見をまとめ、支援に活かしましょう。

5️⃣ 対話の結果を行動につなげる
対話型リーダーシップでは、会話が目的ではなく、対話を通じて具体的な行動を引き出し、その行動が活かされる仕組みをつくることがゴールです。
• 行動につなげる方法
o 目標を明確にする:会議や話し合いの最後に、「次は〇〇を目指して進めましょう」と具体的な目標を設定する。
o 個々の役割を明確にする:「この部分は〇〇さんにお願いしてもよろしいですか?」と具体的なタスクを割り振る。
o 進捗を確認する:定期的に進捗状況を確認し、必要に応じてフォローアップを行う。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「プロセス志向(Process-Oriented)」を意識し、対話で得られた結果を実行につなげるプロセスを大切にしましょう。

🌟 最後に:対話が生む「信頼と成長」のチーム
対話型リーダーシップは、チームメンバーが自信を持ち、協働しながら成果を出すための力強い手法です。一方通行のリーダーシップではなく、双方向の対話を通じてお互いを理解し、信頼関係を築いていく中で、職場全体に安心感と連帯感が生まれます。
ソーシャルワークの理念を基盤に、対話の時間を大切にし、チームメンバーと共に歩むリーダーシップを発揮しましょう。その結果、利用者支援の質はさらに向上し、チームはより強固な繋がりを持つ、成長する集団へと進化していきます。あなたの「対話」が次の一歩を創り出すきっかけとなるのです!


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