第22章『人を育てるということ・・・制度と物語の交差点』


2025.08.22 |投稿者:神内秀之介

「人材育成って、結局“人を大切にすること”なんですよね」
沙耶がそう言ったのは、法人の人材育成計画の見直し会議のあとだった。
資料には、【評価項目Ⅱ-2】の文字が並んでいた。
「福祉人材の確保・育成」——それは、制度の整備だけでは語りきれない営みだった。

まず、【Ⅱ-2-(1)福祉人材の確保・定着に向けた計画と人事管理体制。】
沙耶は、職員の離職理由を一つひとつ拾い上げ、
“定着”とは“関係性の継続”であると気づいた。
人事管理は、配置や評価だけでなく、
「この職場で働き続けたいと思える理由」を育てることだった。

【Ⅱ-2-(2)職員の就業状況への配慮。】
沙耶は、月に一度の“職員の声を聴く時間”を設けた。
「夜勤明けの気持ち」「育児との両立の悩み」「やりがいと疲れの間」——
その声を、制度に還元する仕組みを整えた。
働きやすさとは、“声が届く”ことから始まるのだ。

【Ⅱ-2-(3)職員の質の向上に向けた体制。】
沙耶は、研修計画を“職員の人生設計”と重ねて考えた。
「この人は、どんな支援者になりたいのか」
「どんな学びが、この人の支援を深めるのか」
研修は“義務”ではなく、“可能性の開花”であるべきだと、彼女は信じていた。

そして【Ⅱ-2-(4)実習生等の育成。】
沙耶は、実習を“未来のケアを育てる時間”と捉え直した。
育てることは、育てられること。
実習生のまなざしが、職員の初心を照らす。
その循環が、職場の文化を育てる。

【評価項目Ⅱ-2】は、制度のチェックリストであると同時に、
“人をどう見ているか”という哲学の問いでもあった。
人材確保とは、「人を“数”ではなく“関係”として捉えること。」
育成とは、「“教える”ではなく“共に育つ”こと。」
人事管理とは、「“管理”ではなく“対話”であること。」

沙耶は、法人の育成方針の冒頭にこう記した。
「私たちは、“制度”と“物語”の両輪で人を育てます。
制度は道を示し、物語は心を動かす。
その両方があって、育成は文化になるのです」

人を育てるということ。
それは、評価項目の達成ではなく、
“この職場で働いてよかった”と誰かが思える瞬間を、
一つずつ積み重ねていくことなのだ。

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