24.情報共有の場づくりと仕掛け方


2025.08.19 |投稿者:神内秀之介

〜主任ケアマネジャーが築く「つながり」が生む安心感〜
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)は、地域包括ケアシステムの中で、利用者、家族、そして多職種が効果的に連携し合うための「ハブ」としての役割を果たします。その中でも、適切なタイミングで必要な情報を共有する「場づくり」は、支援の質を高め、現場の混乱や誤解を防ぐ最も重要な鍵となります。
しかし、多職種が関わる情報共有は、単に情報を伝えるだけでは済みません。安心して情報を共有できる「場」の設計や、効果的な仕掛けが必要です。今回は、情報共有をスムーズかつ意味のあるものにするための方法を、ソーシャルワークの視点からひも解きます。

1️⃣ 情報共有の目的を共有する
情報共有を円滑に進めるためには、その場の「目的」を最初に明確に共有することが重要です。情報を共有する理由や、その場から期待される成果を設定し、全員が同じ方向を向くことで、場の意義が高まります。
• 情報共有の主な目的
o 利用者支援の質の向上:適切で迅速な支援策を講じるために必要な情報を提供。
o 連携の深化:多職種間の信頼関係を強化し、コミュニケーションを促進する。
o 課題の解決:全員で共有することで、多面的な視点から課題を整理し、解決策を見出す。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「共通目標(Common Goal)」を明確にすることで、利用者を中心とした支援に向けて意見を収束させやすくなります。

2️⃣ 安心して意見を出し合える場をつくる
情報共有の場では、参加者全員が安心して意見を話せる環境を整えることが大切です。特に、若手スタッフや多職種間で経験値の差がある場合には、意見の出しやすさに配慮する必要があります。
• 安心感を生む工夫
o 対等な関係性を示す:職種や経験値に関係なく、全員が同じテーブルで議論できることを示す。
o 小さな意見も拾う姿勢:「どんな小さなことでも構いません」と伝え、意見が尊重される雰囲気を醸成する。
o 感謝を表現する:情報提供や意見に対して「ありがとうございます」と感謝を伝えることで、前向きな場を育む。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「共感(Empathy)」を基盤に、相手を尊重し、感情や意見に寄り添った対応を心がけましょう。

3️⃣ 情報共有の形式を工夫する
ただ集まるだけではなく、情報が効率的かつ効果的に伝達され、共有された内容が実際に活用される仕組みを設計することが重要です。
• 情報共有の実践方法
o 定期的な会議の開催:定例のケースカンファレンスやチーム会議を設け、共有したいことを持ち寄る場をつくる。
o 書類・デジタルツールの活用:議題や必要な情報を事前に資料として共有することで、会議がスムーズに進む。
o 参加型の進行:話し手が一方的に説明するのではなく、全員が質問や意見交換に参加できる場を設計する。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「効率性(Efficiency)」を維持しながらも、参加者全員が「自分ごと」として捉えられるようなフォーマットを採用してください。

4️⃣ 情報共有がスムーズに進む仕掛けをつくる
意見や情報が滞りなく共有されるためには、事前の準備やタイミング、ツール選びがポイントとなります。
• 具体的な仕掛け
o 事前アジェンダの提示:何を話し合う場なのかを事前に明確にし、考える時間をつくる。
o ファシリテーションの工夫:意見が出にくい場合には「利用者目線」「別の職種の視点」などで具体的に質問を投げかける。
o 情報の権限を明確化する:プライバシーや機密性に配慮し、どの範囲までどの情報を共有できるか事前に確認する。
• デジタルツールの利用
ZoomやTeamsなどのオンライン会議システム、GoogleドライブやLINE WORKSなどのクラウドツールを活用することで、柔軟に参加しやすい場を提供できます。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「透明性(Transparency)」を意識して、事前に期待されることを伝え、参加者が準備しやすい仕組みを整えましょう。

5️⃣ 共有内容を「行動」につなげる
共有された情報が、ただの共有で終わってしまっては意味がありません。その後の実践につなげるフォローアップこそ、主任ケアマネジャーの腕の見せ所です。
• 行動につなげる方法
o まとめと役割分担:会議の最後に結論を明文化し、誰が何をいつまでに行うかを明確にする。
o 結果のフィードバック:次回の会議で、行動の結果やその効果について振り返る場を設ける。
o 進捗管理:スプレッドシートや進捗管理ツールを活用して、対応状況を可視化する。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「プロセス志向(Process-Oriented)」を活用し、情報共有から実行、さらに振り返りまでの一連の流れを丁寧に追っていきましょう。

🌟 最後に:情報の「つながり」が信頼を育てる
情報共有は、ただ情報を伝えるだけの行為ではなく、多職種や利用者、地域の信頼関係を築く基盤となります。安心して意見が出せる場をつくり、共有された情報を次の行動につなげていくことが、主任ケアマネジャーならではのリーダーシップです。
ソーシャルワークの理念を基盤に、情報を活用してチームや地域をさらに強く「つなぐ」存在として活躍してください。あなたが提供する安心感のある場が、みんなの力を引き出し、利用者支援の未来を輝かせる原動力となるはずです。


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