138.部下のキャリア形成を支援する方法
2025.08.19 |投稿者:神内秀之介
介護の現場で日々業務に追われる中、部下一人ひとりのキャリアについてゆっくり考える時間を持つのは、決して簡単なことではありません。しかし、スタッフが「自分の仕事がどのように将来につながるのか」を見出せないままでは、日々のモチベーションが低下し、離職につながる可能性もあります。
部下のキャリア形成を支援することは、ただ個人の未来を考えるだけではなく、職場全体の成長や雰囲気の向上にもつながる、大切な取り組みです。ミドルマネジャーであるあなたには、部下が自分の可能性や目指す道を見つけられるように、「未来を共に描く」存在となることが求められます。ここでは、キャリア形成を支援するリーダーとしての在り方を考えてみましょう。
- 部下の「強み」と「興味」から未来を探る
キャリア形成を支援する第一歩は、部下が「何が得意で、何に興味を持っているのか」を知ることです。自分では気づいていない強みや潜在的な可能性を、上司が見つけ、引き出すことが重要です。
たとえば、「あなたのコミュニケーション力は、利用者さんやご家族との関係構築に素晴らしい効果を発揮していますね。将来はそういったスキルをもっと活かしたいと思いませんか?」といった形で、部下の長所を具体的に伝えることで、自分の可能性について新たな視点を持たせることができます。 - 定期的に対話を持つ
部下のキャリアについて話し合う時間を「特別なもの」にするのではなく、日常業務の中で気軽に相談できる機会を作ることが大切です。職場の状況を理解しながら、定期的に対話の場を持つことで、部下は「自分の成長やキャリアに関心を持ってくれている」と感じることができます。
たとえば、「最近、この業務をやってみてどうだった?」「今後何か挑戦してみたいことはある?」といった質問を投げかけながら、未来に向けて一緒に考える時間を定期的に取りましょう。会話の中で信頼が深まり、部下が心の中にある悩みや希望を打ち明けやすくなります。 - 目標設定を「小さなステップ」に分解する
大きなキャリア目標がありながらも、それに向かう道筋が分からないと、目標は単なる「夢」で終わってしまいます。部下が具体的な行動を取れるように、一緒に目標を「小さなステップ」に分解することが重要です。
たとえば、「将来的にリーダーシップを取りたい」という部下がいれば、まずは「チーム内で業務を他のスタッフに教える立場を経験する」「小規模なプロジェクトを任される」といった具体的なステップを段階的に設けることで目標が現実のものとなります。小さな成功体験が、自信とさらなる挑戦心を育てます。 - 成長の「見える化」を手伝う
日々の業務の中で、部下自身がどのように成長しているのかに気づくことは難しいものです。マネジャーがその成長を「見える形」にして伝えることが、キャリア形成への自信を後押しします。
たとえば、「この前の利用者さん対応では、何を注意して行動しましたか?」「以前は苦手だったこの業務が、今では自然にこなせていますよね」と具体的な例を挙げて伝えることで、部下自身も成長を実感できるようになります。成長を「見える化」することで、次の目標への意欲が高まります。 - 部下の「選択」を尊重する
キャリア形成を支援する際に忘れてはならないのは、最終的に「決めるのは本人」であるということです。上司としてアドバイスする中で、方向性を押し付けるのではなく、自分で考え、選択できるように支援する姿勢が重要です。
たとえば、「あなたの今のスキルを活かすならこの方向性が良いかもしれないけれど、どう思いますか?」と問いかけながら、選択肢を広げてあげる。こうすることで、「自分で選んだキャリア」という実感と責任感が生まれ、より主体的な成長が期待できます。
まとめ
部下のキャリア形成を支援するには、「強みと興味を引き出す」「定期的な対話の機会を設ける」「目標を小さなステップに分解する」「成長を見える化する」「選択を尊重する」という5つのポイントを意識することが重要です。それは、部下自身の未来を支援するだけでなく、チーム全体に成長と前向きなエネルギーをもたらす取り組みです。