22.チームマネジメント術:多職種連携を活かす


2025.08.17 |投稿者:神内秀之介

〜主任ケアマネジャーがつくる「信頼の輪」〜
多職種連携は、地域包括ケアを支える上で不可欠な要素です。主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)は、医療職、福祉職、介護職、さらには行政や地域住民まで、多様な職種や背景を持つメンバーをつなぐハブのような存在です。しかし、それぞれの専門性や立場の違いが、時にはコミュニケーションや意見調整の課題を生むこともあります。今回は、主任ケアマネジャーとして多職種連携を活かし、チームを効果的にマネジメントする方法をソーシャルワークの視点で考えてみましょう。

1️⃣ 多職種連携の意義を理解する
まずは、多職種連携の本質的な目的を明確にしましょう。それは、「利用者中心の包括的なケアを実現すること」です。それぞれの職種が持つ専門性を最大限に活かし、孤立した支援ではなく、協力し合うことで利用者の生活の質を向上させます。
• 多職種連携の意義
o 視点の多様化:医療・福祉・介護のさまざまな専門知識を融合することで、包括的な支援が可能になる。
o 負担の分散:一人の支援者に業務が集中せず、チーム全体で支える仕組みをつくる。
o ケアの質の向上:全員が同じ情報を共有することで、一貫性のある支援が提供できる。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「エコロジカルアプローチ」に基づき、利用者を取り巻く支援ネットワーク全体を活用するという視点を持ちましょう。

2️⃣ チーム内の「関係性」を築く
主任ケアマネジャーがリーダーとしてまず取り組むべきは、チーム内に「信頼の輪」をつくることです。信頼関係がなければ、多職種間での本音の議論や、円滑な連携は難しくなります。
• 信頼関係を築く方法
o 挨拶や感謝の言葉を欠かさない:日常的なコミュニケーションから信頼が生まれます。
o 役割や専門性を尊重する:相手の立場を理解し、違いを受け入れる姿勢を示す。
o 率直な意見交換を促す:安心して意見を出し合える雰囲気をつくる。たとえば、「どのように考えていますか?」といった質問で会話を始める。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「パートナーシップ(Partnership)」の理念を大切にし、対等で協力的な関係を築いてください。

3️⃣ コミュニケーションをデザインする
多職種連携では、スムーズな情報共有とコミュニケーションが不可欠。主任ケアマネジャーとして、全員が参加しやすい仕組みをデザインしましょう。
• 効果的なコミュニケーションのポイント
o ケースカンファレンスの活用:利用者の課題を共有し、全員で支援方向を話し合う場を定期的に設ける。
o 情報共有ツールの導入:デジタルツール(チャットアプリや共有カレンダー)を活用し、最新情報やタスクを全員で確認できるようにする。
o フィードバックの工夫:会議や連絡の後に「〇〇さん、あの話とても参考になりました」といったフィードバックを入れると、雰囲気が良くなります。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「共感(Empathy)」を基盤に、相手の意見や提案に耳を傾けつつ、分かりやすい言葉で情報を伝えることを意識しましょう。

4️⃣ チーム全体の目標を共有する
チームマネジメントでは、全員が同じ方向を向いて取り組むための「共通目標」を掲げることがポイントです。利用者の生活の質を改善するためには、チーム全員が共通のビジョンを持つことが大切です。
• 目標の共有方法
o 利用者のゴールを明確にする:「〇〇さんが1人で外出できるようになる支援をしましょう」といった具体的な目標を設定。
o 各自の役割を明確化する:全員が自分に期待されている仕事を理解できるようにする。
o 進捗を共有する:定期的な会議や報告で、どのような成果が出ているかを確認する。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「目標志向(Goal-Oriented)」の理念を活かし、短期・中期・長期の目標を通じてチームが一体感を持てるようにしましょう。

5️⃣ 対立や課題への対応力を高める
チーム内では、意見の対立や課題が生じることもよくあります。主任ケアマネジャーには、調整役としての高い対応力が求められます。
• 対立を解消する方法
o 中立的な態度を保つ:特定の意見に偏らず、全員の立場を理解する。
o 根本的な原因を探る:意見の違いが生じた背景を冷静に分析し、整理する。
o 共通の目的を再確認する:「この支援は〇〇さんの生活のために必要です」と焦点を利用者中心に戻す。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「調和(Harmony)」の理念を基に、対立を建設的な議論に転じさせるスキルを活用しましょう。

🌟 最後に:連携がもたらす「相乗効果」を楽しむチームづくり
主任ケアマネジャーとして、多職種連携の真ん中に立ち、チーム全体をまとめることは簡単ではありません。しかし、異なる専門性を持つメンバー同士が協力することで、支援の可能性が何倍にも広がります。この「相乗効果」を引き出すのは、主任ケアマネジャーのファシリテーション力と信頼のマネジメントです。
ソーシャルワークの理念を大切に、利用者の生活の質を高めることを共通のゴールに据えながら、チーム全員が働きやすい環境をつくり出してください。多職種連携の力を最大限に活かすことで、利用者にも地域にも、そしてチームメンバーにも大きな安心感と支援力を届けることができます。その未来をぜひ、あなたの手で動かしてください!


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