18.地域資源マップの作成と更新の工夫
2025.08.13 |投稿者:神内秀之介
〜主任ケアマネジャーがつなぐ「地域力」の可視化〜
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)は、地域包括ケアを実現するために、地域資源を活用し、さまざまな場面で橋渡しの役割を担います。その重要なツールとなるのが「地域資源マップ」です。地域資源マップを活用することで、必要な支援やサービスをすぐに利用者につなぐことができ、また地域全体を俯瞰した人と人のつながりを可視化することが可能になります。今回は、地域資源マップの効果的な作成、そして定期的に更新していくための工夫について、ソーシャルワークの理念を基に考えてみましょう。
1️⃣ 地域資源マップの役割を理解する
地域資源マップとは、地域内の医療施設、介護サービス、福祉団体、行政機関、ボランティア団体などを地理情報とともにリストアップし、どこでどのような支援が受けられるのかを示したツールのことです。これを整理し、活用することで、迅速な支援調整が可能になるほか、地域全体の課題を把握することもできます。
• 地域資源マップの主な役割
o 利用者支援の迅速化:必要なサービスを速やかに調整できる。
o 多職種連携の促進:他機関との協力体制を強化できる。
o 地域の課題発見:不足している資源や、活用が進んでいない資源を把握できる。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「エコロジカルアプローチ」に基づき、利用者を取り巻く地域全体を俯瞰し、必要なリソースを網羅する視点が重要です。
2️⃣ 効果的なマップ作成のポイント
地域資源マップを作成する上で大切なのは、ただの「一覧表」ではなく、現場で役立つツールとして設計することです。使いやすさを考慮した工夫を意識しましょう。
• 資源を網羅的にリストアップする
o 医療施設(病院、クリニック、訪問看護ステーションなど)
o 介護サービス(デイサービス、訪問介護、ショートステイなど)
o 福祉団体(地域包括支援センター、ボランティア団体、NPOなど)
o 公共サービス(行政窓口、コミュニティセンターなど)
o 民間リソース(タクシー会社、配食サービス業者、小売店など)
• 視覚的に整理する
o 地図上に資源をプロットし、所在地と連絡先が一目でわかるようにする。
o 番号やアイコンを活用し、資源の分類をわかりやすくする。
o 紙ベースとデジタルデータ(PDFファイルやアプリ)を併用して活用の幅を広げる。
• 検索性に配慮する
o 提供サービスや施設名ごとに検索できる「カテゴリ分け」を行う。
o 利用者のニーズ別(健康、介護、移動支援など)に紐づくフォーマットを考える。
3️⃣ 地域資源マップを定期的に更新する工夫
地域の資源は時間とともに変化します。新しいサービスが生まれる一方で、廃止されるものもあり、常に最新の情報を反映しておくことが重要です。
• 情報収集の手法
o 現地訪問:地域内の施設やサービスを直接訪ね、実際の様子を確認する。
o 定期報告の依頼:関係機関や団体に定期的に情報提供をお願いする。
o 自治体との連携:自治体が発行する地域資源ガイドや最新情報を定期的に取り入れる。
o アンケート調査:地域住民や利用者に地域資源についての意見を聞き、足りない部分や新しいニーズを把握する。
• 更新の頻度
o 半年に1度の定期的な見直しと、緊急性の高い情報については随時更新を心がける。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「環境調整(Environmental Modification)」を意識し、変化に応じて地域全体を調整できる柔軟な仕組みを構築しましょう。
4️⃣ マップ作成を通じて地域とのつながりを深める
地域資源マップを作成・更新するプロセス自体が、地域との信頼関係を築く大切なステップです。つながりを意識しながら作業を進めましょう。
• 関係者を巻き込む
o マップ作成や更新時に、地域包括支援センター、自治体、福祉団体と協働する。
o 地域住民から意見を取り入れることで、地域の特色が反映された現実的なツールとなる。
• マップを共有する
o 作成したマップを関係機関や地域住民と共有し、誰でも活用できるようにする。
o 例:地域ケア会議で配布、デジタル版をメール配信。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「パートナーシップ(Partnership)」の理念をもとに、地域資源マップが共同の成果として機能するよう、多様な関係者を巻き込みましょう。
🌟最後に:地域資源マップがもたらす未来
地域資源マップは、主任ケアマネジャーが地域全体を俯瞰し、より多くの人を支援するための「羅針盤」と言えます。その作成と更新を通じて、地域のつながりを強化し、利用者一人ひとりに迅速かつ的確なケアを届けることができます。
地域の多様な資源を積極的に活用し、共有することで、あなた自身が「ケアのつなぎ手」として地域の信頼を高める存在となるでしょう。ソーシャルワークの理念を基軸に、地域資源マップを活かして、地域包括ケアシステムをより豊かで力強いものにしていきましょう!