17.自治体との連携の築き方と実務対応


2025.08.12 |投稿者:神内秀之介

〜主任ケアマネジャーが地域を動かす「力」と「つながり」を育む〜

主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)として地域包括ケアに携わる上で、自治体との連携は欠かせない要素です。自治体は介護保険制度の運営主体として、地域の支援体制の核を担い、政策立案や財源管理、地域資源の整備を行っています。一方で、現場での課題をいち早く把握し、迅速な対応を求められるのが主任ケアマネジャーです。この両者がしっかりと協力し、信頼関係を築くことで、利用者にとってより良い地域包括ケアの仕組みを実現することが可能になります。

今回は、自治体との連携をどのように構築し、現場でスムーズに対応していくかを、ソーシャルワークの視点からひも解いてみましょう。

1️⃣ 自治体は「パートナー」だと考える
自治体は、私たちが直面する課題を共有し、一緒に解決を目指せる「パートナー」です。リーダーシップを発揮しながら、自治体との距離感を縮め、信頼関係を築くことが、主任ケアマネジャーに求められる最初の一歩です。

自治体と連携する意義

地域資源(福祉施設、医療機関など)を最大限に活用できる。

予算や制度の枠組みを活用し、スムーズな支援が可能になる。

地域全体のネットワークとして利用者を支えることができる。

ソーシャルワーク視点でのヒント
「パートナーシップ(Partnership)」の理念を基に、自治体との関係を「上下関係」ではなく「対等なパートナーシップ」として考え、協力の土台を築きましょう。

2️⃣ 自治体との信頼関係を築くアプローチ
主任ケアマネジャーとして自治体と効果的に連携するには、信頼関係を構築するためのアプローチが重要です。

日常的なコミュニケーションを大切にする

定期的な訪問やミーティングを通じて顔の見える関係をつくる。

メールや電話での小さな連絡でも丁寧な対応を心がける。

課題解決型の提案を行う

現場の課題を分かりやすく整理し、「具体的な提案」として自治体に伝える。

例:「高齢者の買い物支援が不足しており、地域の商店街と協力した支援策を検討したい。」

自治体との共有ポイントを明確にする

利用者のプライバシーを守りながら、重要な情報を共有し、迅速な支援の調整を行う。

顧客ニーズに合わせた情報提供で、双方の理解を深める。

ソーシャルワーク視点でのヒント
「共感(Empathy)」と「相互理解(Mutual Understanding)」の姿勢を持ちながら、自治体と課題意識を共有し、信頼を築き上げていきましょう。

3️⃣ 自治体との実務対応:スムーズな連携のポイント
自治体とのやり取りは、新人の主任ケアマネジャーにとっては少し難しく感じる部分かもしれません。実務対応をスムーズに進めるための具体的なポイントを整理してみます。

① 必要な情報を把握する

自治体で提供されているサービスや補助金、利用者が活用できる制度を理解する。

新しい事業や施策について、常に最新の情報をインプットする。

② 相談・報告のタイミングを意識する

緊急時には速やかに連絡を取り、適切な対策につなげる。

定期的な報告や書類提出を通じて、自治体の信頼を得る。

③ 書類対応を徹底する

提出書類や支援計画の形式は自治体のルールに従い、漏れやミスを防ぐよう心がける。

丁寧かつ分かりやすい記載が、迅速な手続きを後押しする。

ソーシャルワーク視点でのヒント
「透明性(Transparency)」を意識し、責任感を持って正確な情報のやり取りを行うことで、安心感のある連携が実現します。

4️⃣ 課題解決への取り組み:地域の声を自治体へ届ける
主任ケアマネジャーは、現場で感じた課題やニーズを自治体に受け渡す橋渡し役でもあります。その声が地域全体の課題解決につながる可能性があるのです。

課題を伝える方法

現場の状況を具体的に記録し、提案時には「データ」や「具体例」を用いる。

解決策を伴った形で相談することで、自治体が動きやすくなる。

地元住民との関係性を活かす

住民の直接の声を取り入れたプロジェクトを提案し、自治体の協力を得る。

例:「地域住民が一緒に取り組める、介護予防のワークショップを開催したい。」

ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「アドボカシー(Advocacy)」の理念を基に、利用者や地域住民の声を自治体に届ける「代弁者」として力を注ぎましょう。

5️⃣ 自治体との連携から地域包括ケアを進化させる
自治体との連携は、地域包括ケアの進化に直結します。主任ケアマネジャーは、利用者支援という目線を超えて、地域全体の支援環境を築く一翼を担うことで、システム全体の成長に寄与可能です。

視野を広げたアプローチ

利用者の個別支援にとどまらず、地域全体の課題に目を向ける。

自治体と共に事業を企画・運営し、高齢者が安心して生活できる仕組みを進化させる。

ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「地域連携(Community Integration)」を基に、誰もが包括的なケアを受けられる未来を設計するリーダーシップを発揮しましょう。

🌟 最後に:信頼と行動で地域を動かす架け橋になる
主任ケアマネジャーとして自治体と連携を築くことは、利用者、地域、そしてケアシステムの未来をつくる大きな鍵となります。信頼関係を基盤に、現場の声を届け、政策や支援のあり方を共に考える姿勢が重要です。

地域住民の安心を支え、共に動く「連携の架け橋」として、自信を持って一歩ずつ前進してください。その先に、地域全体をより豊かにするケアが待っています。


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