第10章『制度の道を歩いてきて、ふと振り返る』
2025.08.10 |投稿者:神内秀之介
そこには、理念の地図が広がっていて、経営の風向きが吹いていた。
それらを繋ぐ道筋が、事業計画の一本線となって現場に伸びていた。
私たちはまず、「福祉サービスの基本方針」と出会った。
それは「誰のために、なぜこのケアを行うか」という土台であり、
ただのスローガンではなく、職員一人ひとりの指先の動きへと浸透していく“理由の言葉”だった。
次に、「理念と組織」
掲げられた言葉が実践に届くまでには時間がかかった。
でも、ケア場面の“気配”を通じて、理念が職員自身の語りと重なる瞬間が訪れた。
それは、制度の言葉が“現場語”に訳されていく過程だった。
その後、「経営状況の把握」と向き合うことになる。
数字の羅列が、職員の定着率や家族の声と結びついたとき・・・
私は初めて、「経営は現場の空気とつながっている」と気づいた。
経営とは、法人の心拍であり、職場の呼吸でもあった。
そして、「事業計画の策定」
中長期ビジョンが、“毎日のケア”という小さな足取りに還元されるとき、
私たちは未来への参加者になる。
単年度の一歩に、自分の手ざわりが混ざり始めた瞬間だった。
さらに、「福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組」へと展開した。
質とは、マニュアルだけでは語れるものではない。
関係性の温度や、利用者の“らしさ”の声・・・それらを拾い直す営みによって、
組織の“らしさ”もまた育っていった。
これら一連の歩みは、制度という背骨をなぞる旅だった。
その背骨にふれた私たちは、いよいよ次の段階・・・
「 組織の運営管理」という、組織の心臓部へと向かうことになる。
運営管理とは、“制度を回す力”であり、
同時に、“制度が人の暮らしを守ることを保証する仕組み”でもある。
理念と方針を、計画に落とし、ケアに宿し、改善へとつなぐ。
その一連の動きを滑らかに維持し、育てていく・・・
それこそが運営管理の役割であり、
私たちが「制度を暮らしにする仕事」と向き合ううえで不可欠な基盤なのだ。
次章からは、いよいよその“制度の運転席”に触れていくことになる。
ケアの温度を途切れさせず、制度のリズムを滞らせないために・・・
組織運営という“しくみの音”に、耳を澄ませて進もうと思う。
#福祉サービス第三者評価を広げたい