14.フィードバックの伝え方と言葉選び


2025.08.09 |投稿者:神内秀之介

〜主任ケアマネジャーが育む「成長のきっかけ」〜
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)として、新人や後進のケアマネジャーを育成する際、フィードバックは非常に重要な役割を果たします。適切なフィードバックは、新人の成長を引き出し、前向きな学びを促す「きっかけ」となります。しかし、伝え方や言葉選びを間違えると、相手のモチベーションを損なうこともあります。このコラムでは、ソーシャルワークの理念に基づき、効果的なフィードバックの方法と、相手に寄り添った言葉選びについて考えてみましょう。

1️⃣ フィードバックは「成長のための贈り物」
そもそもフィードバックとは、他者からの視点を通じて気づきを得る機会です。新人ケアマネジャーにとっては、自分では見落としがちな強みや改善点を知る貴重なチャンスとなります。
• フィードバックの目的を共有する
まずは、フィードバックが「責めるためのもの」ではなく、「成長を支えるためのもの」であることを相手に伝えましょう。たとえば、こんな言葉を使うと良いです:
o 「あなたのスキルをさらに伸ばすために話し合いたいと思っています。」
o 「今回の経験を次に活かすために、少し振り返りをしませんか?」
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「エンパワメント(Empowerment)」の理念を基盤に、相手の成長を支援する視点を常に持ちましょう。

2️⃣ 「ポジティブな気づき」をまず伝える
フィードバックを行う際は、最初に相手の良い点や努力を認める言葉を伝えることが重要です。これにより、相手は「自分が評価されている」と感じ、安心して話を聞けるようになります。
• ポジティブなフィードバック例
o 「〇〇さんの利用者とのコミュニケーションはとても丁寧で、安心感を与えていますね。」
o 「今回のケアプラン、利用者の生活全体をよく考慮しているところが素晴らしいです。」
• ポイント
o 具体的な行動や成果を挙げることで、相手が「何が良かったのか」を明確に理解できます。
o 良い点を伝えた後で改善点に触れると、受け入れやすくなります。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「受容と共感(Acceptance and Empathy)」の理念に基づき、まずは相手の努力を認める姿勢を示しましょう。

3️⃣ 建設的な改善点を伝える
改善を促すためのフィードバックは、相手を否定するのではなく、「次にどうすれば良いか」を一緒に考える建設的な内容にすることが重要です。
• 改善点を伝えるフレームワーク:SBIモデル
フィードバックを具体的かつ前向きに伝えるために、SBIモデルを活用しましょう:
o Situation(状況): 具体的な場面を説明する。
o Behavior(行動): その場で相手が取った行動を伝える。
o Impact(影響): その行動がどのような影響を与えたかを説明する。
例文:
o 「先日のミーティング(Situation)では、〇〇さんが少し急いで説明されていましたね(Behavior)。その結果、利用者のご家族が少し理解が追いつかない様子でした(Impact)。次回は、もう少しゆっくりお話しすることで、よりスムーズなやり取りができると思います。」
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「具体性(Specificity)」を大切にし、相手が何をどう改善すべきかが明確になるようフィードバックを設計しましょう。

4️⃣ 言葉選びに注意し、相手の気持ちに配慮する
フィードバックの内容が適切でも、言葉選びを誤ると相手に誤解を与えたり、傷つけたりすることがあります。相手の気持ちや状況に寄り添いながら、柔らかい表現を心がけましょう。
• 注意すべき言葉(NG例)
o 「何でこんなミスをしたの?」
o 「まだそんなこともできないの?」
o 「どうしてちゃんとやらないの?」
• 配慮した言葉選び(OK例)
o 「今回のケースは難しい場面でしたね。どこが一番大変に感じましたか?」
o 「こういう対応もあるので、次回試してみると良いかもしれません。」
o 「経験を重ねれば、もっとスムーズにできるようになりますよ。」
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「共感(Empathy)」を意識し、相手の立場に立って考えることが、言葉選びの鍵となります。

5️⃣ フィードバックの後は「次の一歩」を示す
フィードバックは、指摘で終わらせず、「次に何をするべきか」を明確に示すことで、実践的な成長につなげることができます。
• 具体的なアクションプランを提案
o 「次回の訪問では、このポイントを意識してみてください。」
o 「次のミーティングで新しい提案を一つ試してみませんか?」
o 「このスキルをさらに磨くために、資料を一緒に見直しましょう。」
• ソーシャルワーク視点でのヒント
ソーシャルワークの「プロセス志向(Process-Oriented)」を基盤に、フィードバックの内容を次の具体的な行動へとつなげましょう。

🌟 最後に:フィードバックは「信頼」の表現
フィードバックは、単なる「評価」のための作業ではありません。それは、相手の成長を真剣に願い、支援する行為そのものです。適切な伝え方や言葉選びを通して、新人ケアマネジャーとの間に強い信頼関係を築き、成長を共に喜び合える関係を目指しましょう。
ソーシャルワークの理念を胸に、誠実で温かいフィードバックを実践することで、新人ケアマネジャーだけでなく、あなた自身もリーダーとしてさらなる成長を遂げることができるはずです。


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