10.医療・福祉連携の橋渡しスキル


2025.08.05 |投稿者:神内秀之介

〜主任ケアマネジャーが地域をつなぐ架け橋となるために〜
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)は、介護現場のリーダーであるだけでなく、医療と福祉をつなぐ「架け橋」としての役割を担っています。地域包括ケアシステムの実現には、医師や看護師などの医療職、介護士や福祉関係者、さらには行政との密な連携が欠かせません。今回は、主任ケアマネジャーに求められる「医療・福祉連携の橋渡しスキル」をソーシャルワークの視点から考えてみます。

1️⃣ 医療・福祉連携の重要性を理解する
まず大前提として、医療と福祉の連携が利用者の生活の質(QOL)を大きく左右することを理解しましょう。利用者の健康面だけでなく、生活支援や心のケアも含めた「包括的な支援」を実現するためには、双方の専門性が融合する必要があります。
• 医療と福祉の視点の違い
o 医療分野:症状の診断・治療、身体的健康を重視。
o 福祉分野:生活の安定や環境整備、心理的支援を重視。
• 主任ケアマネの役割
利用者を中心に、医療と福祉の両分野をつなぎ、必要な支援が適切なタイミングで提供されるよう調整する「連携の司令塔」となることが求められます。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「ホリスティックアプローチ(全人的支援)」の理念を基盤に、医療と福祉を包括的に捉える視点を持ちましょう。

2️⃣ 相互理解を深めるコミュニケーションのスキル
医療と福祉の連携には、異なる専門性や立場を持つ関係者と対話する「コミュニケーション力」が不可欠です。それぞれの専門分野が重視する視点や価値観を理解し、対等な立場で意見交換を進めることが大切です。
• 相手の専門性をリスペクトする
医療職には福祉の視点を、福祉職には医療の重要性をお互いが理解できるよう調整します。たとえば、医療職に福祉的な「生活全体を支える視点」を伝えることが必要な場面もあります。
• 実践のポイント
o 専門用語や難解な説明を避け、互いにわかりやすい言葉で話す。
o 聞き手の立場を尊重し、双方向の対話を心がける。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「共感(Empathy)」をベースに、相手の立場や環境に寄り添ったコミュニケーションを実践しましょう。

3️⃣ 情報共有と調整の力を磨く
医療と福祉の連携では、スムーズな情報共有が成功の鍵を握ります。ただし、利用者のプライバシーを守りつつ、関係者が必要な情報を適切に得られるよう工夫することが重要です。
• 情報共有のポイント
o 利用者や家族の同意を得た上で、必要な情報を関係者と共有する。
o 緊急性や重要性の優先順位をつけて、情報提供のタイミングを調整する。
• 具体的な方法
o 定期的にケースカンファレンスを開催し、利用者の状況を共有する場を設ける。
o ICTツール(ケアプラン管理システムなど)を活用し、リアルタイムの情報共有を実現する。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「誠実さ(Integrity)」を持って情報を取り扱い、利用者を中心に据えた調整を行いましょう。

4️⃣ 地域資源を活用したネットワークづくり
主任ケアマネジャーは、地域の医療・福祉資源を把握し、それらを適切に活用する能力が求められます。地域包括ケアシステムの中で、さまざまな機関をつなげる役割を担いましょう。
• ネットワーク構築のステップ
o 地域の医療機関や福祉施設を訪問し、顔の見える関係を築く。
o 地域の課題や資源を共有する場(研修会、会議など)に積極的に参加する。
o 利用者が必要とする資源を迅速に紹介できる体制を整える。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「地域連携(Community Networking)」を意識し、地域全体で利用者を支える仕組みを構築していきましょう。

5️⃣ 「連携の課題」に向き合う姿勢を持つ
医療と福祉の連携には、多くの課題がつきものです。たとえば、立場や価値観の違い、業務範囲の曖昧さなどが摩擦を生むこともあります。主任ケアマネジャーには、こうした課題に柔軟に対応する力が求められます。
• 課題解決のアプローチ
o 複数の関係者が合意できる「共通のゴール」を明確にする。
o トラブルや誤解が生じた場合、感情的にならず冷静に調整する。
o 関係者間の信頼関係を築くための継続的な努力を惜しまない。
• ソーシャルワーク視点でのヒント
「柔軟性(Flexibility)」を持ちながら、問題を建設的に解決していく姿勢を大切にしましょう。

🌟 最後に:主任ケアマネジャーが地域の架け橋になる
医療と福祉の連携は、利用者の生活や健康を支える土台です。その橋渡し役として、主任ケアマネジャーには高い専門性と調整力が必要ですが、それだけに大きなやりがいを感じられる役割でもあります。
あなたの橋渡しスキルが、利用者やその家族、そして地域全体に安心と信頼をもたらします。ソーシャルワークの理念を基盤に、医療と福祉を強固につなぐ「架け橋」として、力強い一歩を踏み出しましょう!


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