1.主任ケアマネジャーに求められる視点とは
2025.07.27 |投稿者:神内秀之介
主任介護支援専門員、通称「主任ケアマネジャー」。そのポジションには、単なる経験値の高さだけではなく、ソーシャルワークの本質に基づく複眼的な視点が求められます。新人主任ケアマネジャーの皆さんが「何を大切にすべきか」を5つの視点から考えてみましょう。
1️⃣ 利用者の「生活全体」を見る視点
ケアマネジャーとしての役割は、利用者の「生活の質(QOL)」を高めることにあります。しかし、主任ケアマネジャーとしては、さらにその先を見据える必要があります。
利用者が抱える課題や目標は、単なる介護サービスの枠を超え、生活のあらゆる側面に広がっています。たとえば、「孤立感をどう解消するか」「地域で役割を持つ喜びをどう取り戻すか」といった視点を持ちながら支援に取り組むことが重要です。
2️⃣ 地域との「ネットワーク」を広げる視点
主任ケアマネジャーは、地域包括ケアシステムの「中核的存在」です。利用者を取り巻く医療、福祉、自治体、そして地域住民との連携を通じて、支援の質を高める「橋渡し役」としての視点が求められます。
たとえ小さな取り組みであっても、「地域資源をいかに活用するか」「住民参加をどう促すか」を考えながら、地域全体の支援体制を構築していきましょう。
3️⃣ 後進育成の「教育者」の視点
主任ケアマネジャーは、単独で優れたスキルを発揮するだけではなく、後進の指導・育成を通じてチーム全体の質を向上させます。
教育者として必要なのは、「フィードバックの技術」と「共感的理解」です。新人ケアマネジャーがどのような壁に直面しているのか、その心情に寄り添いながら、的確なアドバイスや成功体験を共有することで、チームの成長を支える視点が不可欠です。
4️⃣ 「倫理的な判断」を優先する視点
ソーシャルワークの理念において、「利用者中心」という視点は何よりも重視されます。利用者の尊厳や意思を尊重しつつ、同時に介護保険制度や法規のルールを遵守していく。このバランスを保つためには、日々の業務において常に「倫理的判断」が求められます。
難しいケースに直面した際は、「誰のための支援か」を問い続け、利用者の声を中心に据えた判断を心がけましょう。
5️⃣ 「柔軟性」と「創造性」の視点
介護現場は、予測不可能な状況が日常的に発生する場です。主任ケアマネジャーには、その場面ごとに柔軟に判断し、利用者やチームにとって最善の解決策を導く能力が求められます。また、ただ現状を守るだけでなく、新しい支援の形を模索する「創造性」も重要です。
具体的には、ICTの導入や地域での新しい支援活動の提案など、未来志向の取り組みを積極的に行う姿勢を持ちましょう。
🌟 最後に:主任ケアマネジャーは「変化のカタリスト」
主任ケアマネジャーは、現場の最前線と地域全体をつなぐ「変化のカタリスト(触媒)」ともいえる存在です。利用者を中心とした「社会的包摂」の理念を胸に、現場や地域に新しい価値を創造できる力を育てていきましょう。
「主任」という肩書に囚われず、常に柔軟な視点で、地域や人々の笑顔を生み出す存在であり続けてください。