82.動物介在療法の導入と留意点
2025.07.19 |投稿者:神内秀之介
「癒しを届ける“動物たちの力”をケアに活かす」
こんにちは、新人介護支援専門員の皆さん!
ケアマネージャーとして働く中で、利用者さんの心に寄り添い、生活の質(QOL)を向上させるために、「どんな新しいアプローチを取り入れたら喜んでもらえるだろう?」と考えることはありませんか?そんなとき、動物介在療法(Animal-Assisted Therapy=AAT)という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか?
動物介在療法は、犬や猫、ウサギなどの動物たちが持つ「癒しの力」を活用して、利用者さんの心や体にポジティブな影響を与える療法です。動物たちとの触れ合いは、利用者さんに笑顔や安心感をもたらし、孤独感やストレスを軽減する効果が期待されています。
今回は、「動物介在療法の導入と留意点」をテーマに、導入のメリットや注意すべきポイント、実際の導入例をご紹介します。動物たちの力を借りて、利用者さんの生活に新しい息吹を届けましょう!
1. 動物介在療法とは?
動物介在療法(AAT)とは、動物との触れ合いや関わりを通じて、身体的・精神的な健康を促進し、生活の質の向上を目指す療法です。医療や福祉の現場で広く活用されています。
① 動物の癒しの力
- 動物には、人の心を和らげ、ストレスを軽減する力があります。特に犬や猫のようなペットは、安心感や親しみを与え、孤立感を和らげる効果が期待されています。
② 身体機能の向上
- 動物との触れ合いを通じて、手を伸ばす、撫でる、散歩をするなどの身体活動が促進され、リハビリテーションの一環にもなります。
③ コミュニケーションを引き出す
- 動物との交流を通じて、利用者さんが自然に会話を楽しんだり、自分の気持ちを話すきっかけが生まれます。
2. 動物介在療法を導入するメリット
動物介在療法を導入することで、利用者さんにどのような良い影響を与えられるのでしょうか?
① 精神的な安定とリラックス効果
- 動物との触れ合いは、笑顔や安心感をもたらし、不安やストレスを和らげる効果があります。特に認知症の方やうつ状態の方に効果的と言われています。
② 孤立感の軽減
- 動物との交流が一つの「つながり」を生み出し、孤立感を軽減します。また、動物を介して他の利用者さんや家族とのコミュニケーションも深まります。
③ 生活のリズムや意欲の向上
- 動物と過ごす時間を楽しみにすることで、毎日の生活に活気が生まれ、「また会いたい」という前向きな気持ちが育まれます。
3. 動物介在療法を導入する際の3つのステップ
動物介在療法をケアプランに取り入れるには、次のステップが重要です。
① 動物介在療法を導入できるリソースを探す
- 地域の動物介在療法を提供している団体や専門家を探し、連携を図りましょう。動物介在療法士や動物セラピストが在籍する団体が参考になります。
- 調べ方:
- 地域包括支援センターや自治体に相談。
- インターネットで「動物介在療法 地域名」で検索。
② 利用者さんのニーズを把握する
- 動物介在療法が利用者さんに適しているかを、ヒアリングや観察を通じて把握します。動物と触れ合うことに対するアレルギーや不安がないかも確認しましょう。
- 質問例:
- 「動物はお好きですか?」
- 「昔、ペットを飼っていましたか?」
③ 専門家と連携してプランを作成
- 動物介在療法を取り入れる際は、動物の専門家や施設スタッフと協力して、無理のないプランを作成します。
4. 動物介在療法を導入する際の留意点
動物介在療法を導入する際には、以下のポイントに注意する必要があります。
① 衛生管理の徹底
- 動物の健康や清潔を保つことが重要です。利用者さんが動物と触れ合う際は、アレルギーの有無や感染症予防に配慮しましょう。
② 利用者さんの環境に配慮
- 動物が苦手な利用者さんがいる場合、その人に負担がかからないような環境設定を心掛けます。
③ 動物と利用者さんの安全を確保
- 動物が過剰に興奮しないよう、適切なトレーニングを受けた動物を選びましょう。また、利用者さんが動物に対して無理な接触をしないよう注意が必要です。
5. 実践例:動物介在療法で笑顔が増えた認知症の女性のケース
エピソード:犬との触れ合いで日常に喜びが戻った80代女性
- 背景
80代女性のAさんは、認知症が進行し、家族以外とのコミュニケーションが減少していました。家族からは「母がもっと楽しい時間を過ごしてほしい」という相談がありました。 - ケアマネの取り組み
- 地域の動物介在療法団体を紹介
地域にある動物介在療法を提供するNPO団体を連携先として選びました。 - Aさんの希望を把握
Aさんが昔犬を飼っていたことを確認し、「犬との触れ合いプログラム」を提案。 - 最初の参加をサポート
初回はケアマネが付き添い、Aさんが犬と触れ合う際のサポートを行いました。
- 地域の動物介在療法団体を紹介
- 結果
Aさんは犬を撫でながら笑顔を見せ、「昔飼っていた犬を思い出す」と話しました。その後も定期的にプログラムに参加し、家族も「母に明るい表情が増えた」と喜びの声を上げました。
6. 新人ケアマネへのエール:動物たちと一緒に利用者さんを支えよう!
① 小さな一歩から始めよう
- 動物介在療法が初めての場合は、短時間のプログラムや動物の写真を使った交流など、簡単な活動からスタートしてみましょう。
② 地域のリソースを探して連携を
- 動物介在療法を提供する団体や専門家とのネットワークを作ることで、スムーズに導入できます。
③ 利用者さんの変化を楽しもう
- 動物介在療法を通じて、利用者さんに笑顔や喜びが増える瞬間を大切にしてください。その変化が、ケアマネとしてのやりがいにつながります。
7. 今日のまとめ:動物介在療法をケアに取り入れるために
- 動物介在療法は、心と体を癒し、生活の質を向上させる力がある。
- 地域の動物介在療法の専門家と連携し、利用者さんに適したプログラムを提案しよう。
- 導入時には、衛生面や安全性に十分配慮することが大切。
- 動物との触れ合いを通じて、利用者さんの笑顔や喜びを引き出そう!
最後にひとこと!
「動物たちの癒しの力が、利用者さんの心に新しい風を吹き込む。」
新人ケアマネージャーの皆さん、動物介在療法は、利用者さんの生活に彩りを加え、心身の健康を支える素晴らしいアプローチです。動物たちの力を借りて、利用者さんの生活に笑顔と安心感を届けるケアを目指していきましょう!
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