❖「省力化」と「効率化」は直接支援のみならず
2021.01.11 |投稿者:神内秀之介
前回までのブログでお伝えしたような直接的な支援にとどまらず、介護の現場には、その自ら提供した直接的な支援などを文書などの記録として残す間接業務があります。
また、ヒヤリハットや事故記録、申し送りなどの記録など、多種多様な記録があります。こういった記録全般の支援・管理ツールとして、すでに多くの事業所や施設で導入されている「介護記録システム」があります。
介護記録システムにも、さまざまなシステムがリリースされていますが、以前のように単純にP Cに向かって記録を入力するものから、いつでもどこでも持ち運びができるタブレットやスマートフォンから入力できるものや、音声で自動入力出来るものまであります。
さらにナースコール やケアコールもシステム化され、例えばWi-Fiネットワークを活用した無縁のコールシステムや、コールの押された時間を自動的に記録し、スタッフが対応するまでの時間や対応した職員、対応にかかった時間までが自動入力され保存されるものもあります。
その時に対応内容までその場でタブレットやスマートフォンで入力することによって、即時のスタッフ間での情報共有や後に利用者や入居者の生活リズムやニーズを掴む基本情報として活用することもできるようになります。
基本情報や利用者・入居者の行動情報が正確に把握できることにより、居宅サービス計画書や施設サービス計画書(またそれに紐づいたさまざまな個別支援計画書)の精度が格段に向上することが期待されます。
計画がお飾りでなく生きた計画になっていきます。また計画立案については、すでに実装され始めたケアプランのA I活用もあげられます。
使い方次第で、入力負担低減、漏れのない記録やアセスメント、文章などの作成負担低減、医療情報の提案による根拠や新たな視点の気づきなどのメリットが調査研究の報告書からあげられています。
関心のある方は、ぜひ『令和元年度老人保健事業推進費等補助金「老人保健健康増進等事業AIを活用したケアプラン作成支援の実用化に向けた調査研究報告書」(令和2(2020)年3月株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所)』(https://www.nttdata-strategy.com/services/lifevalue/docs/r02_01jigyohokokusho.pdf)をご覧ください。
また、調査研究報告書関係でいえば、ケア記録に関する報告書として『令和元年度老人保健健康増進等事業(老人保健事業推進費等補助金)「特別養護老人ホームにおけるケア記録に関する調査研究事業調査結果報告書」(令和2年3月公益社団法人全国老人福祉施設協議会)』(https://mitte-x-img.istsw.jp/roushikyo/file/attachment/327630/re_tokuyou_saishuu_houkokusho.pdf)もありますので、併せて目を通してみてください。
このように、AI・I C Tソリューション導入と活用による大きなメリットとして「省力化」と「効率化」があります。それにより「ICTソリューションによる質の向上」・「ICTソリューションによる業務負荷の低減」・「ICTソリューションが持つ未来的イメージ発信」なども生まれてきます。
さらに好循環ができれば人材の獲得や定着の可能性、総合的なコストの削減効果も期待できるかもしれません。しかし何度もお伝えしていることですが、当然、A I・I C Tソリューションは道具・ツールの一つでしかありません。
導入前の準備や導入後の正しい使用目的や使用方法がなけれあば、むしろ無用の長物になることやかえって業務が非効率になり、職員に悪影響を及ぼすこともあります。いろんな角度から検討して、導入意義や目的を定め事業全体に対する効果や将来的価値を最大限に発揮できるよう活用いただければと思います。