93.「時間と労力の調和」


2025.07.05 |投稿者:神内秀之介

介護の現場は、やるべきことが山積みの日常です。利用者さんのケア、記録の作成、チームとの連携など、1日があっという間に過ぎるなかで、効率よく作業を進めることは欠かせません。しかし、効率を追求しすぎると、人間味が失われたり、疲れが溜まってしまうことも。そこで、哲学者たちの教えからヒントを得て、「効率的に作業を進めるためのコツ」を考えてみましょう。効率性と人間らしさのバランスを取りながら、より良い働き方を目指すための視点をお届けします。

  1. 「優先順位」を見極める
    哲学者アリストテレスは、「最も重要な目的を見失うべきではない」と語りました。介護の現場では、すべての業務が重要に思えるかもしれませんが、まずは「何を優先すべきか」を瞬時に判断できる力を持つことが大切です。

たとえば、利用者さんの体調変化への対応は最優先事項です。また、同僚が困っている時にはチーム全体の効率を考え、サポートに回ることが必要になる場合もあります。一方で、後回しにしても問題がない業務は、適切なタイミングに調整する柔軟性も重要です。目的を見据えた優先順位の設定が、効率的な働き方の土台となります。

  1. 「無駄を省く」という美学
    哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインは、「本当に重要なものだけを残せ」と言いました。効率的に作業を進めるためには、無駄を見つけ出し、それを排除する視点が必要です。

たとえば、同じ物を何度も探さなくて済むように物品を整理整頓したり、会話の中で情報の重複を避けたりすることが挙げられます。また、記録業務では、効率的に書けるテンプレートやツールを活用するのも一つの方法です。「余計なことをしない」という美学を持つことで、必要なことにエネルギーを集中できるようになります。

  1. 「リズム」を意識する
    哲学者フリードリヒ・ニーチェは、「人生は音楽のようなリズムの中で調和を保つ」と述べました。介護の現場で効率を上げるには、作業のペースやリズムを整え、無理なく継続できる流れを作ることが大事です。

たとえば、午前中には集中力が必要な業務を優先し、午後には比較的リラックスできる作業を計画する。あるいは、1時間ごとに小休憩を挟むことで、エネルギーを持続させるなど、体や心の自然なリズムに合わせた働き方が効果的です。自分のリズムを理解し、それに従って作業を進めることで、驚くほど効率が上がります。

  1. 「チームワーク」に頼る
    哲学者ハンス・ゲオルク・ガダマーは、「対話はすべての理解を深める」と言いました。効率的な働き方を実現するためには、個人プレイにこだわるのではなく、チーム全体で協力することが重要です。

たとえば、得意分野を持つ人に任せることで作業時間を短縮したり、お互いに進捗を共有することで抜け漏れを防ぐ、といった工夫が考えられます。チーム内で信頼関係を築き、他のメンバーの力を借りることによって、効率的でスムーズな作業環境が生まれます。「一人で抱え込まず、頼る」ことが効率アップの大きな鍵です。

  1. 「休息」と「余白」を計画に組み込む
    哲学者セネカは、「休息はエネルギーを再び燃え立たせる時間だ」と語りました。効率的に作業を進めるためには、休息や余白の時間を意識的にスケジュールに取り入れることが欠かせません。

たとえば、短い休息を挟むことで集中力をリセットし、次の作業に取り組む効率を高める。また、業務が一段落したときに少し余白を作ることで、利用者さんのちょっとした変化に気づく余裕が生まれます。忙しい時こそ、計画の中に休息を織り込むことで、効率とケアの質を両立させることができます。

まとめ
効率的に作業を進めるためには、「優先順位を見極める」「無駄を省く」「リズムを整える」「チームワークを活かす」「休息を計画的に取る」という5つのポイントが重要です。それは、単なる時間短縮だけでなく、自分の負担を軽くし、仕事における調和を保つための大切な工夫でもあります。


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