57.家族ケアの重要性とその限界


2025.06.24 |投稿者:神内秀之介

「家族ケアは大切。でも、それだけで解決できるわけじゃない。」

こんにちは、新人介護支援専門員の皆さん!
ケアマネージャーとして日々の業務に取り組む中で、家族からこういった相談を受けること、ありませんか?

  • 「介護は家族がやるべきだと思うけど、もう限界です…」
  • 「もっと親孝行をしたいけど、仕事で時間が取れない…」
  • 「私が頑張ればなんとかなると思ってたのに…」

家族は、高齢者のケアにおいて重要な役割を担っています。でも、家族だけに全ての介護を託すのは、時に限界があり、負担が大きすぎる場合もあります。

今回は、「家族ケアの重要性」と「その限界」について考えながら、ケアマネージャーとしてどうサポートできるかを探ってみましょう。利用者さんだけでなく、家族も笑顔になれるケアを一緒に目指していきましょう!


1. 家族ケアの重要性:なぜ家族の支えが必要なのか?


① 信頼関係があるからこそできるケア
家族は、利用者さんにとって最も身近で安心できる存在です。特に認知症の方にとって、信頼関係が確立されている家族のケアは大きな安心感をもたらします。


② 日常生活のサポートがしやすい
食事、洗濯、掃除、買い物といった日常的なケアは、自宅で生活する高齢者にとって欠かせません。家族がこれをサポートすることで、利用者さんは住み慣れた環境で生活を続けられます。


③ 経済的な負担を軽減できる
家族がケアに関わることで、一部の介護費用やサービスの利用を抑えられる場合もあります。これは他の費用がかかる家庭にとって大きな助けとなります。


④ 精神的な支えとなる
家族が側にいるだけで、利用者さんは安心感や幸福感を得ることができます。また、家族との交流は高齢者の孤立や不安感の軽減に役立ちます。


2. 家族ケアの限界:どんな課題があるのか?

家族の力はとても大切ですが、家族だけに頼ってしまうと、さまざまな課題が生じることがあります。


① 介護負担によるストレスや疲労

  • 長時間の介護や夜間のサポートが続くと、家族自身が心身ともに疲れ果ててしまうことがよくあります。
  • 特に一人で介護を抱える「介護者の孤立」は深刻な問題です。

② 家族の仕事や生活への影響

  • 介護が原因で仕事を辞めたり、プライベートな時間が削られることがあります。これにより、経済的な不安がさらに増す場合も。
  • また、家族間で「介護の分担」や「誰がどれだけ関わるべきか」という問題が発生し、関係がギクシャクするケースもあります。

③ 専門的なケアが難しい場合も

  • 認知症の進行や、身体的な介護の難易度が高い場合、家族だけでは適切なケアを提供できないこともあります。
  • 専門的な知識や技術が必要になる場面では、家族ケアだけでは限界が生じます。

④ 感情的な負担が増える

  • 「親やパートナーを自分が支えなければならない」という責任感やプレッシャーが、家族に過度な負担をかけることがあります。
  • 介護者自身が体調を崩してしまうケースも少なくありません。

3. ケアマネージャーとしてのサポート方法

家族ケアの限界を補うために、ケアマネージャーとしてできる具体的なサポートをご紹介します。


① 家族への相談窓口になる

  • 家族の不安や悩みを聞くことで、感情的な負担を軽減することができます。
  • 「話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になった」と言われることもしばしばあります。

② 適切なサービスを提案する

  • 家族だけで全てを抱え込まないように、デイサービス、ショートステイ、訪問介護などのサービスを提案します。
  • 例:
    • 「週2回デイサービスを利用してみませんか?」
    • 「家事代行サービスで掃除をお願いするのも一つの手ですよ。」

③ 介護リソースを紹介する

  • 地域包括支援センターや自治体が提供する介護情報を活用し、家族に役立つリソースを紹介しましょう。
  • 例:介護者向けの講座や、相談会、サポートグループの紹介。

④ 家族とチームを作る意識を持つ

  • 「家族は一人で抱え込む必要はない」というメッセージを伝え、多職種と連携してチームで支える体制を整えます。
  • 家族をケアプランの一部として巻き込み、無理のない範囲で参加を促します。

⑤ 家族ケアができる範囲を明確にする

  • 家族の役割と、専門職やサービスの役割を明確に分けることで、家族の負担を減らします。
  • 例:「入浴はヘルパーにお願いして、家族は食事の準備だけを担当する」など、役割分担を具体化。

4. 実例:家族ケアを補完した成功事例


事例:介護負担を軽減した長男のケース

  • 背景:一人で90歳の母親を介護していた長男が、仕事との両立が難しくなり、ストレスを抱えていました。
  • ケアマネの対応
    • デイサービスを週2回導入し、母親に外出と交流の機会を提供。
    • 夜間の見守りを訪問介護サービスに依頼。
    • 地域包括支援センターを通じて、長男が介護者向けのメンタルヘルス講座に参加。
  • 結果:負担が軽減された長男は仕事と介護を両立できるようになり、母親もデイサービスを楽しむようになりました。

5. 今日のまとめ:家族ケアの重要性と限界を知り、より良い支援を目指そう!

  • 家族ケアは、利用者さんにとって安心感や支えとなる重要な役割を果たす。
  • しかし、家族だけに頼りすぎると負担が大きく、支援の限界が生じる場合もある。
  • ケアマネージャーとして、家族が抱える負担を軽減する方法を提案し、チームで支える意識を持とう。
  • 利用者さんだけでなく、家族の笑顔と健康もケアの目標にしよう!

最後にひとこと!

「家族とともに支え合い、チームでケアを作り上げる。」

新人ケアマネージャーの皆さん、家族ケアは介護の大切な柱ですが、それだけで支えきれない部分があることも理解してあげてください。ケアマネージャーとして、家族の声を聞き、負担を軽減するアイデアを提案することで、利用者さんも家族も共に安心して暮らせる社会を作ることができます。一緒により良いケア環境を目指していきましょう!

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#チームで支える福祉


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