❖まずは、足元から業務や働き方などを可視化してみよう!
2020.12.24 |投稿者:神内秀之介
道具そのものがどんなに便利で素晴らしいものであっても、使う側の施設や事業所の状況や導入までの下準備、業務運営(執行)体制(ワークフロー)自体を整理しておかなければ、期待した結果や効果を得ることができません。
前回のブログで紹介した「記録の業務改善の失敗」のようなケースであれば、例えばスマートフォンやタブレット端末の入力のフリック入力や外付けキーボードによるタッチタイピングやペン入力、音声入力などの最新方法について、不得意なスタッフ向けの「スマホ・タブレット操作研修」などを実施すること。
また、文書化がそもそも苦手なスタッフや、記録が纏められないため長文化して肝心な中心的なポイントが抑えられていないスタッフ向けには、予め記録の内容を実務に合わせて実施項目や内容をリスト化し選択できる方式のリストダウンタイプにしておくなどの、導入前の事前準備があれば問題は低減されたかもしれません。
このように何が業務の核となる課題で、その原因を把握せずに、単純にI C T機器やソリューションに飛びついて、一気に解決を図ろうとしてもかえって業務負荷を増やしてしまいます。
そこで、導入にあたってはまず、現場の現状をしっかり分析し、スタッフの業務フローやI C T機器などを導入した場合、想定される効果の把握が必要となります。
その上で施設・事業所の施設長・経営者(層)とスタッフ全体で、何のために導入をし、どのような効果を期待するのかという目的や意味を共有しておくことが非常に重要となります。
また、導入するI C T機器やソリューションの内容によっては、利用者や入居者、そして家族などへも丁寧な事前の説明と同意や合意が必要となります。説明もなしに見守りのセンサのカメラが設置されていることや業務中にスマホをいじっているスタッフがいると、監視されている・スタッフが仕事中にスマホでサボっていると勘違いされトラブルが発生する場合も考えられます。事業所・施設側だけでなく関係者一同の理解が必要となります。
最後に、これもこの連載ブログで何度もお伝えしていますが、介護福祉サービスにおける新たなA I・I C T機器などを活用した、業務の効率化・高品質化は避けられない状況で、遠い将来の話ではありません。
ですがその時に、焦って一足飛びに単純に様々な最新機器やソリューションを導入するだけでは、現場の業務効率の向上やサービス品質の向上にはつながりません。
現在のワークフローやサービス内容・関係帳票などの課題を客観的に可視化し、その上でその課題を解決するための一つの道具として、A I・I C T機器の有用性を見極め機器選定検討することが必要です。
その結果、一つの機器・ソリューションで解決できるものなのか、複数の機器の組み合わせが必要なのか、導入のみならず中長期的に鑑みて費用はどれが一番抑えられるか、導入スピードや順番はどのように進めていけば良いのかなどのグランドデザインを持つことが重要です。
ぜひ一度、現在の働き方や業務の提供方法を振り返り、さらなるサービス品質の向上や現在置かれているような非常時対応にも耐えうるような、全体の見直しの中にA I・I C T機器・ソリューションの導入も検討していただければと思います。