84.職場の「暗黙のルール」にどう対処するか


2025.06.26 |投稿者:神内秀之介

介護の現場で働く中で、明文化されていない「暗黙のルール」に戸惑いを感じたことはありませんか?職場の文化や慣習、いつの間にか受け継がれている「やり方」は、時に新しい環境に飛び込んだ人にとって理解しづらいものです。しかし、その「暗黙のルール」には、職場を支えるための意図とともに、変化や見直しが求められる側面も含まれています。ここでは、哲学的な視点を通じて、「暗黙のルール」にどう対処し、より良い職場環境をつくる方法について考えてみましょう。

  1. 暗黙のルールを「理解」する
    哲学者ソクラテスの「無知の知」は、「知らないことを認め、それを問い続ける謙虚さ」を教えてくれます。暗黙のルールと向き合う最初のステップは、それを「知ろうとする」姿勢を持つことです。

たとえば、新しい職場で「なぜこの手順が重視されているのだろう?」と思う場面があったら、ただ批判的に捉えるのではなく、その背景や意図を探ることが重要です。暗黙のルールには、多くの場合、職場の歴史や、利用者さんにとっての最善を考えた上で生まれた理由が隠されています。まずは、観察と質問を通じて、暗黙のルールの本質を理解することが信頼関係を築く始まりとなります。

  1. 「共感」と「調和」を意識する
    哲学者マルティン・ブーバーは、「人間の本質は他者との対話の中にある」と語りました。暗黙のルールに対処する際には、職場のメンバーとの対話を通じて、共感と調和を大切にすることが重要です。

たとえば、「どうしてこの方法が多く使われているんですか?」と先輩や同僚に話を聞くことで、そのルールを大切にしている理由や、それが職場内での調和を保つ役割を果たしていることに気づくことがあります。そして、共感を示しつつ自分の視点も共有することで、新しい意見や改善の余地を穏やかに提案できる関係が生まれます。暗黙のルールを対立の種ではなく、調和のきっかけとして捉えることがポイントです。

  1. 自分の「スタンス」を考える
    哲学者ジャン=ポール・サルトルは、「人は自分の選択によって自らを定義する」と述べました。暗黙のルールに向き合う中で、自分がそのルールをどのように受け止めるかを考えることも大切です。

たとえば、そのルールが自分のポリシーや介護の在り方と一致している場合は、それを取り入れて自分の働き方に活かせば良いでしょう。一方で、もしそのルールが業務効率を妨げたり、利用者さんのためにはならないと感じた場合は、「自分はどう行動すべきか」を再考してみてください。自分の軸を失わず、ルールと共存するスタンスを明確にすることが必要です。

  1. 改善の余地を「提案」へと変える
    哲学者ハンス・ゲオルク・ガダマーは、「対話は新しい理解を生む」と述べました。暗黙のルールに違和感を感じた場合、それをただ受け入れるだけでなく、職場全体の改善に繋がる提案を対話の中で行うことができます。

たとえば、「こうしたやり方も試してみませんか?」と建設的な提案をすることで、最初は暗黙のルールに従っていた人たちにも新しい視点を共有することができます。この時、否定的な姿勢ではなく、相手を尊重しつつ「より良い方法」を模索する姿勢が信頼を得る鍵となります。提案を通じて職場全体の成長に貢献することが、より良い環境を作る一歩です。

  1. 自分自身の成長の糧とする
    哲学者フリードリヒ・ニーチェは、「困難は成長の糧である」と語りました。暗黙のルールと向き合うプロセスは、必ずしも簡単ではありません。しかし、それを乗り越えることで、自分自身の成長へと繋がります。

たとえば、暗黙のルールを理解し、その中で柔軟に対応するスキルや、職場全体を見渡して改善点を提案する力は、介護職としてだけでなく、一人の人間としての成長をもたらします。暗黙のルールを「乗り越えるべき壁」ではなく、「成長のきっかけ」として捉えることで、仕事の意義が深まります。

まとめ
職場の暗黙のルールにどう対処するかは、介護の現場で働く上で重要なテーマです。そのルールを理解し、共感を持って受け入れつつ、必要に応じて改善の提案を行う姿勢が、信頼と調和を生み出します。そして、そのプロセスを自分自身の成長の糧として捉えることで、人生そのものが豊かになるのです。


 |  一覧に戻る | 

お問い合わせはこちら

介護経営のコンサルタント顧問契約。
経営者・理事長の経営参謀として、業務効率化から
利用者・入居者獲得まで、
様々な経営のアドバイスを行います。

営業時間:平日火曜日・水曜日・木曜日10時から16時


メールでのお問い合わせ