83.研修を「学びの場」に変える


2025.06.25 |投稿者:神内秀之介

介護の仕事は、人と人とが真剣に向き合う現場であり、そこには常に成長の余地があります。技術や知識はもちろん、利用者さん一人ひとりに寄り添うケアの質を高めるためには、学び続ける姿勢が重要です。その中でも、研修はスキルアップのための貴重な機会です。しかし、研修をただの義務や形式的なものとして捉えるのではなく、「成長の場」として活用することで、より豊かで実りある時間に変えることができます。ここでは、哲学の視点を交えながら、介護技術のスキルアップのための研修活用術を考えてみましょう。

  1. 学ぶ「目的」を明確にする
    哲学者アリストテレスは、「目標を持つことが行動を意味あるものにする」と語りました。同じように、研修を受ける際には、自分が何を学びたいのか、その目的を明確にすることが重要です。

たとえば、「移乗の方法をもっと効率的に覚えたい」「利用者さんの認知症ケアについて新しい視点を知りたい」など、自分の興味や課題に合わせて目標を立てることで、研修内容に対する集中力が増し、自分にとっての学びが深まります。「なぜ学ぶのか」を意識することで、研修の時間が意味のあるものに変わります。

  1. 「受動的」から「能動的」へシフトする
    哲学者デカルトは、「考えることが人間の本質である」と述べました。研修は、ただ話を聞くだけの受動的な場ではなく、自分自身が積極的に関わる能動的な場と捉えましょう。

たとえば、講師や他の受講者に質問をしたり、自分の現場での経験を共有することで、研修の内容がより自分の仕事に直結する形で理解できます。また、学んだことをその場で試してみる姿勢を持つと、研修が「知識の習得」から「実践的な技術の習得」へと深化します。学びの主役は自分自身であるという意識を持つことが、スキルアップの鍵となります。

  1. 学びを現場に「持ち帰る」
    哲学者ソクラテスは、「知識は行動を伴うことで意味を持つ」と語りました。研修で学んだことを現場でどのように活かすかを考えることが、スキルアップの真価を発揮するポイントです。

たとえば、研修で習った技術を翌日から試してみる、同僚と共有して改善点を話し合う、あるいは利用者さんにフィードバックをもらうといった形で、学びを現場で具体的な行動に変えていくことが大切です。「学びを現場に持ち帰り、行動に移す」ことがスキルを定着させ、さらに深めるステップです。

  1. 研修を「対話の場」として捉える
    哲学者ハンス・ゲオルク・ガダマーは、「対話は理解を深める力を持つ」と述べました。研修は、講師や他の受講者との対話を通じて、より深い学びを得る場でもあります。

たとえば、講師の話にただ耳を傾けるだけでなく、「こういうケースではどうすれば良いですか?」と質問を投げかけたり、受講者同士で意見を交換したりすることで、多様な視点や新しい発見を得ることができます。研修を「対話の場」として活用することで、知識はより深まり、実践的な力へと変わるのです。

  1. 「振り返り」を習慣化する
    哲学者フリードリヒ・ニーチェは、「行動の意味を知るには振り返りが必要だ」と述べました。研修が終わった後、「何を学んだのか」「この内容をどう現場で活かすのか」を振り返る習慣を持つことが大切です。

たとえば、研修のポイントをメモにまとめたり、「学んだことをいつ、どのように試すか」をスケジュールに組み込むことで、学びが明確になります。また、振り返りを通じて、「次はどんなことを学びたいか」という新たな目標も見えてきます。研修後の振り返りが、学びを次のステージへと進化させる力となります。

まとめ
研修を通じて介護技術をスキルアップするためのポイントは、「目的を明確にする」「能動的に学ぶ」「学びを現場で活かす」「対話を大切にする」「振り返りを習慣化する」という5つのステップに集約されます。それは単なる研修参加を越えて、自分自身の成長を意識した哲学的な営みです。


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