78.介護職の自己肯定感を高める
2025.06.20 |投稿者:神内秀之介
介護の仕事は、人と人とのつながりの中で行われる尊い職業です。しかし、その特性ゆえに、ときには大きな責任や悩みを感じ、自分の成果や価値が見えにくくなることもあるでしょう。「本当にこれで良いのだろうか」「もっとできることがあったのでは」という思いに駆られる瞬間も少なくないかもしれません。そんな時こそ、哲学が教えてくれる「自己肯定感」を高めるヒントに目を向けてみましょう。
- 自分の価値は他者との関係の中にある
哲学者マルティン・ブーバーは、「人は他者との対話の中で存在する」と語りました。介護の現場では、利用者さんとの日々の関わりが、あなたの仕事の価値そのものです。利用者さんの笑顔や感謝の言葉、何気ない会話の中に、あなたがその人の生活にどれだけ寄り添い、支えているかが映し出されています。
たとえば、利用者さんが「ありがとう」と言ってくれた時、それは単なる礼儀ではなく、あなたの存在がその人の安心や喜びに繋がっている証拠です。その瞬間を大切にし、それを自分の価値の一部として受け止めましょう。自己肯定感は、他者とのつながりの中で育まれるのです。
- 小さな成功に目を向ける
哲学者アリストテレスは、「偉大なことは小さな行動の積み重ねから生まれる」と説きました。介護の仕事は、大きな成果が目に見える形で現れることは少ないかもしれません。しかし、日々の中で行う小さなケアや気遣いが、利用者さんの生活を支える大きな柱となっています。
たとえば、「今日も利用者さんが安心して食事を終えられた」「困っていた同僚をフォローできた」など、小さな成功を一つひとつ振り返り、自分を認めてみてください。それらの積み重ねが、自己肯定感を高める大切なステップとなります。大きなことばかりを求めず、小さな成功に目を向けることが、自分を肯定する力を育てるのです。
- 完璧を求めすぎない勇気
哲学者アルベール・カミュは、「完全は人間の手の届かないところにある」と語りました。介護の現場では、「もっと良いケアができたかもしれない」「失敗してしまった」と自分を責めてしまうこともあるでしょう。しかし、私たちは完璧ではないからこそ、成長できるのです。
失敗や反省は、自分を否定するものではなく、次につなげるための学びとして捉えてみてください。そして、「今できる最善を尽くした」という自分の努力をしっかりと認めましょう。不完全だからこそ前進できるという考え方が、自分自身を肯定する力を与えてくれます。
- 自己対話を習慣にする
哲学者ソクラテスは、「自分自身と対話することが人生を豊かにする」と説きました。自己肯定感を高めるためには、他者との対話だけでなく、自分自身との対話も大切です。
たとえば、一日の終わりに「今日はどんなことを頑張っただろう」「どんな場面で利用者さんの役に立てただろう」と自分に問いかけてみましょう。この振り返りを通じて、自分が日々何を成し遂げているのか、自分の努力がどれほどの価値を持っているのかを改めて確認することができます。自己対話を習慣にすることで、自分への信頼が深まります。
- 自分自身をいたわる時間を持つ
哲学者フリードリヒ・ニーチェは、「自分を愛することがすべての始まりだ」と述べました。介護職として他者のケアに尽力するだけでなく、自分自身を大切にすることも、忘れてはならない自己肯定感を高めるポイントです。
たとえば、休みの日に好きな趣味やリラックスできる時間を設けることで、自分の心と体を整える。「自分も大切な存在」と感じることが、自己肯定感を育む基盤となります。自分をいたわる行為は、他者をケアする力を高めるためにも必要不可欠なのです。
まとめ
介護職の自己肯定感を高めるためには、利用者さんとのつながりを見つめ直し、小さな成功を喜び、完璧を求めず、自分自身との対話を大切にすることが重要です。そして、自分自身をいたわる時間を持つことで、心のバランスを保ちながら仕事に向き合うことができます。
